山崎佳代子
日本の詩人、翻訳家
山崎 佳代子(やまさき かよこ、1956年9月14日[1] - )は、日本の詩人、翻訳家。セルビア共和国のベオグラード大学文学部教授。 セルビア文芸協会会員(副理事)[2]。夫山崎洋は、ユーゴスラビア研究者・翻訳家で、その父はユーゴスラビア人記者だったブランコ・ヴケリッチである。
略歴
編集石川県金沢市生まれ、静岡県静岡市育ち[3]。1979年北海道大学文学部ロシア文学科卒業後、ユーゴスラビアの奨学金を得て[4]サラエボ大学文学部でユーゴスラビア文学史を学ぶ。リュブリャナ(スロベニア共和国)の民謡研究所への留学を経て[5]、1982年 ~1986年、ベオグラード大学大学院に在学。在学中の1985年から助手を務め[6]、その後文学部日本学専攻教授となる。
2003年に『1920年代の日本アヴァンギャルド詩の発展、セルビア文学との比較考察』で同大学にて博士号(比較文学)を取得[2]。近現代日本の詩や『古事記』を旧ユーゴスラビアに翻訳紹介している[7]。ベオグラードで山崎洋と結婚し、3人の息子を設けた[4]。
詩人としても活躍しており、1996年に詩集『鳥のために』で第1回中原中也賞候補。2010年9月、第76回「国際ペン東京大会」のセミナー「スラヴ文学と環境」では、パネリストを務めた[8]。
2015年『ベオグラード日誌』で第66回読売文学賞紀行部門を受賞[9]。2019年『パンと野いちご:戦火のセルビア、食物の記憶』で第29回紫式部文学賞を受賞[10]。
セルビアでの受賞も多数(「セルビア・ペン海外翻訳功労賞」、セルビア翻訳者協会「翻訳功労賞」、セルビア文学者協会「国際詩人モラヴァ賞」受賞。)
著書
編集- 『スロベニア語基礎1500語』(編)大学書林、1985年。ISBN 978-4-475-01096-2
- 『解体ユーゴスラビア』朝日新聞社<朝日選書>、1993年。ISBN 978-4-02-259576-8
- 『ある日、村は戦場になった:バチュガから届いた子どもたちのメッセージ』創美社、1995年。ISBN 978-4-420-21003-4
- 『詩集 鳥のために』書肆山田、1995年。
- 『詩集 産砂rodina』書肆山田、1999年。ISBN 978-4-87995-472-5
- 『詩集 薔薇、見知らぬ国』書肆山田、2001年。ISBN 978-4-87995-518-0
- 『そこから青い闇がささやき』(エッセイ集)河出書房新社、2003年。ISBN 978-4-309-01564-4
- 『そこから青い闇がささやき:ベオグラード、戦争と言葉』筑摩書房<ちくま文庫>、2022年。ISBN 978-4-480-43833-1
- 『秘やかな朝』書肆山田、2004年。ISBN 978-4-87995-617-0
- 『詩集 アトス、しずかな旅人』書肆山田、2008年。ISBN 978-4-87995-733-7
- 『詩集 みをはやみ』書肆山田、2010年。ISBN 978-4-87995-803-7
- 『ベオグラード日誌』書肆山田、2014年。ISBN 978-4-87995-894-5
- 『戦争と子ども』(三男・山崎光が絵を担当)西田書店、2015年。ISBN 978-4-88866-596-4
- 『パンと野いちご:戦火のセルビア、食物の記憶』勁草書房、2018年。ISBN 978-4-326-85194-2
- 『詩集 海にいったらいい』思潮社、2020年。ISBN 978-4-7837-3726-1
- 『詩集 黙然をりて』書肆山田、2022年。ISBN 978-4-86725-024-2
- 『ドナウ、小さな水の旅:ベオグラード発』左右社、2022年。ISBN 978-4-86528-354-9
翻訳
編集- ダニロ・キシュ『若き日の哀しみ』東京創元社、海外文学セレクション、1995年。ISBN 978-4-488-01607-4
- ダニロ・キシュ『若き日の哀しみ』東京創元社 創元ライブラリ、2013年。ISBN 978-4-488-07072-4
- ダニロ・キシュ『死者の百科事典』東京創元社、海外文学セレクション、1999年。ISBN 978-4-488-01625-8
- ダニロ・キシュ『死者の百科事典』創元ライブラリ、2018年。ISBN 978-4-488-07077-9
- 『ダニロ・キシュ「庭、灰」/イタロ・カルヴィーノ「見えない都市」』池澤夏樹個人編集「世界文学全集Ⅱ-06」河出書房新社、2009年。ISBN 978-4-309-70958-1。後者は米川良夫 訳
- イヴォ・アンドリッチ『イェレナ、いない女 他十三篇』(田中一生・山崎洋と共訳)幻戯書房〈ルリユール叢書〉、2020年。ISBN 978-4-86488-209-5
外国語訳・解説
編集- ドラゴスラヴ・ミハイロヴィッチ『南瓜の花が咲いたとき』(山崎洋訳)未知谷、2005年。ISBN 978-4-89642-131-6
- 白石かずこ『小さな惑星= Мала планета : 白石かずこ詩撰集』Међународни фестивал поезије Смедеревска песничка јесен(発行)、Смедерево(出版地=スメデレヴォ)2010年
脚注
編集- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.468
- ^ a b イベント「セルビアと日本 響き交わす現代詩」主催:東京大学文学部現代文芸論研究室・スラヴ語スラヴ文学研究室。2013年11月15日開催
- ^ 『現代日本人名録』による。著書では静岡生まれとしている。
- ^ a b 第66回読売文学賞の人びと 随筆・紀行賞「ベオグラード日誌」 山崎佳代子さん 58読売オンライン、2015年02月12日
- ^ あとがきたちよみ『パンと野いちご』勁草書房編集部、2018年5月16日
- ^ 『現代日本人名録』2002年
- ^ 『ベオグラード日誌』著者紹介
- ^ “日本ペンクラブ”. web.archive.org (2011年11月12日). 2023年7月19日閲覧。
- ^ 読売文学賞:小説賞に川上弘美さん「水声」など決まる - 毎日新聞2015年2月1日
- ^ 第29回紫式部文学賞 『パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶』|宇治市 2022年5月29日閲覧。