小林距離
数学の分野における小林距離(こばやしきょり、英: Kobayashi metric)とは、小林昭七により1967年に導入された、複素多様体上のある擬距離のことを言う。それはカラテオドリ距離の双対と見なすことが出来、複素解析空間や概複素多様体へと拡張されている。
タイヒミュラー空間上では、小林距離はタイヒミュラー距離と一致し、単位球上では、ベルグマン距離と一致する。
平坦なアフィン構造や射影構造に対して、同様の擬距離を小林は1977年に構成し、その後(正規)射影接続へと一般化した。本質的に同じ構成法は(正規、擬リーマン)共形接続へと応用され、さらに最近では、一般的な(regular)放物幾何学へと応用されている。
定義
編集X を複素多様体としたとき、小林距離 d は、単位円板 D から X へのすべての正則写像 f に対して
を満たすような X 上の擬距離のうち最大のものとして定義される。ここで は D 上のポアンカレ計量における距離を表す。
引用文献
編集- Kobayashi, Shoshichi (1967). “Intrinsic Metrics on Complex Manifolds”. Bull. Amer. Math. Soc. 73: 347–349 .
- Kobayashi, Shoshichi (1970), Hyperbolic manifolds and holomorphic mappings, Pure and Applied Mathematics, 2, New York: Marcel Dekker Inc., ISBN 978-0-8247-1380-5, MR0277770
参考文献
編集- Lang, Serge (1986). “Hyperbolic and Diophantine anaysis”. Bulletin of the American Mathematical Society 14 (2): 159–205. Zbl 0602.14019 .