天元戦
天元戦(てんげんせん)は、新聞5社連合(北海道新聞社、中日新聞社、神戸新聞社、徳島新聞社、西日本新聞社)及び日本棋院・関西棋院が主催する囲碁の棋戦で、タイトル戦のひとつ。挑戦手合の勝者は天元のタイトル称号を得る。
天元戦 | |
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公式戦(七大タイトル) | |
前身 |
日本棋院選手権戦 関西棋院選手権戦 |
概要 | |
主催 | 新聞三社連合、日本棋院、関西棋院 |
優勝賞金 | 1200万円 |
挑戦手合 | 五番勝負 |
棋戦形式 | 28名+αによる本戦トーナメントで挑戦者決定 |
持ち時間 | 3時間 |
秒読み | 5分前より |
創設年 | 1974年 |
開催時期 |
挑戦手合: 10-12月 本戦: 1-9月 |
公式サイト | 日本棋院 天元戦 |
記録 | |
現天元 | 一力遼(第50期) |
名誉称号 |
林海峰(名誉天元) 井山裕太(名誉天元資格) |
最多優勝 | 井山裕太(8期) |
最長連覇 | 林海峰、井山裕太(5連覇) |
概略
編集前身は日本棋院選手権戦。創設にあたり、関西棋院でおこなわれていた関西棋院選手権戦(神戸新聞社主催)も統合された。
トーナメント戦による勝者がタイトル保持者と五番勝負を行い、優勝者を決める。毎年11月から12月にかけて五番勝負を行うことから、一年間の碁界を締めくくるタイトル戦である。名称は碁盤の中心点である「天元」から採られている。
トーナメント制である上に、同様の十段戦・王座戦・碁聖戦に比べて本戦トーナメントの出場枠が多い(28名+α)のが特徴で、小林光一・片岡聡・柳時熏・羽根直樹・河野臨・関航太郎ら若手が初タイトルとして戴冠することが多い棋戦となっている。
第1期から5期までは、トーナメントの優勝者が天元を名乗る制度であった(決勝戦が五番勝負)。1980年の第6期から、現在の挑戦手合五番勝負になった。
2009年の第35期から、七大タイトル戦では王座戦に続き、持ち時間3時間制を導入した。
2014年の第40期から、七大タイトルの序列4位から5位へ降格した[1]。また2023年以降は序列が4位に変更となる予定。
名誉天元
編集天元戦を5連覇以上した棋士は、60歳以降に「名誉天元」を名乗る権利を得る。
棋士 | 通算 | 連覇 | 年 | |
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1 | 林海峰 | 5期 | 5連覇 | 1989-1993 |
2 | 井山裕太 | 8期 | 5連覇 | 2015-2019 |
歴代天元位
編集棋士 | 生年 | 初奪年 | 通算 | 連覇 | |
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1 | 藤沢秀行 | 1925年6月14日 | 1975 | 1期 | |
2 | 小林光一 | 1952年9月10日(72歳) | 1976 | 5期 | 2連 |
3 | 島村俊廣 | 1945年4月18日 | 1977 | 1期 | |
4 | 加藤正夫 | 1947年3月15日 | 1978 | 4期 | 4連 |
5 | 片岡聡 | 1958年8月3日(66歳) | 1982 | 2期 | 2連 |
6 | 石田芳夫 | 1948年8月15日(76歳) | 1984 | 1期 | |
7 | 趙治勲 | 1956年6月20日(68歳) | 1987 | 2期 | 2連 |
8 | 林海峰 | 1942年5月6日(82歳) | 1989 | 5期 | 5連 |
9 | 柳時熏 | 1971年12月8日(53歳) | 1994 | 4期 | 3連 |
10 | 工藤紀夫 | 1940年8月2日(84歳) | 1997 | 1期 | |
11 | 羽根直樹 | 1976年8月14日(48歳) | 2001 | 3期 | 3連 |
12 | 山下敬吾 | 1978年9月6日(46歳) | 2004 | 2期 | |
13 | 河野臨 | 1981年1月7日(43歳) | 2005 | 3期 | 3連 |
14 | 張栩 | 1980年1月20日(44歳) | 2003 | 1期 | |
15 | 結城聡 | 1972年2月11日(52歳) | 2010 | 1期 | |
16 | 井山裕太 | 1989年5月24日(35歳) | 2011 | 8期 | 5連 |
17 | 高尾紳路 | 1976年10月26日(48歳) | 2014 | 1期 | |
18 | 一力遼 | 1997年6月10日(27歳) | 2020 | 3期 | 2連 |
19 | 関航太郎 | 2001年11月28日(23歳) | 2021 | 2期 | 2連 |
歴代挑戦手合
編集年度は五番勝負が行われた年。第6期から挑戦手合制に移行。左が勝者、◯●は勝者から見た勝敗。網掛けはタイトル保持者、もしくは前期優勝者。
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記録
編集- 最年長天元は、第3期島村俊宏の65歳。当時の史上最高齢タイトル記録でもあった。
- 最年少天元は、第47期関航太郎の20歳。
- 最多連続在位は林海峰、井山裕太の5期。
- 挑戦手合い制度が採用される以前の第4期までは、天元のタイトルホルダーはトーナメント1回戦で敗退すると言うジンクスがあった。しかし、それを克服して第5期で天元連続獲得を達成したのが加藤正夫である。第6期からは挑戦手合い制度に移行した。
- 山下敬吾は2003年、2005~2007年と挑戦権を獲得しており、本戦トーナメントにおいて22連勝の記録を持っている。
- 趙治勲は第36期まで36期連続本戦出場した[注 1]。
昇段規定
編集- 六段以下の棋士が、天元挑戦権を獲得した場合、七段に昇段する。
- 七段の棋士が天元位を獲得した場合、八段に昇段する。
- 八段で、他のタイトルを1期獲得している棋士が天元を獲得した場合、九段に昇段する。
この規定により、2005年に河野臨、2021年に関航太郎が八段へ、2020年に一力遼、2022年に関が九段へと昇段を果たした。また2003年にこの規定ができた際、柳時熏は過去の天元位4期獲得の実績により、七段から九段へと昇段している。
国外の天元戦
編集他国にも似た名称の棋戦があり、優勝者には天元のタイトルが与えられる。
そのほか国際棋戦があり、中国と日本の天元が対局する「日中天元戦」は1988年から2002年まで開催、中国と韓国の天元が対戦する「中韓天元戦」は1997年から開催されている。
関連項目
編集- 日本の囲碁タイトル在位者一覧
- 王位戦 (将棋)・女流王位戦 - 3社連合の主催による将棋の棋戦
脚注
編集注釈
編集- ^ 天元位在位時を含む。第37期予選で林漢傑に敗れ、本戦出場ならず。