大森善清
江戸時代の京都の浮世絵師
来歴
編集師系不明、京都の人。西川祐信とほぼ同時期の元禄15年(1702年)から正徳6年(1716年)にかけて絵本や浮世草子の挿絵などを描く。画風は江戸の鳥居清信や菱川師宣のものを取入れている。善清が手がけた挿絵本は『しだれ柳』、『あやね竹』、『宇都山小蝶物語』、『新武者物語』、『新薄雪物語』が在名本で、この他にも無署名で本の挿絵を担当したと考えられていたが、近年の研究により絵本を20点余り描いていたことが確認されている。
作品
編集版本
編集- 『しだれ柳』墨摺一帖 ※元禄15年(1702年)刊行。国立国会図書館、ニューヨーク公立図書館、町田市立国際版画美術館所蔵
- 『あやね竹』墨摺三帖 ※元禄15年刊行。大阪府立大学、シカゴ美術館など所蔵
- 『宇都山小蝶物語』八冊 ※森田吟夕作、宝永3年(1706年)刊行
- 『新武者物語』八巻 ※挙堂作、宝永6年刊行
- 『新うす雪物語』五巻 ※蘭嵠子作、正徳6年(1716年)刊行
肉筆画
編集作品名 | 技法 | 形状・員数 | 所有者 | 年代 | 款記・印章 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
立美人図 | 紙本着色 | 1幅 | 奈良県立美術館 | 1700-05年(元禄後期から宝永前期) | 印章「大森」(白文円印)・「善清之印」(朱文方印) | 無款ながら印章が伴っており、善清の基準作 |
緑台美人図 | 紙本着色 | 1幅 | 東京芸術大学大学美術館 | 款記「大森善清」 印章「善清」(白文円印) | 山東京伝後賛 | |
都万太夫芝居図 | 紙本着色 | 六曲一隻 | 早稲田大学演劇博物館 | 1700-05年(元禄後期から宝永前期) | 無款 | 「主として人物や松の描写の類似から、善清による元禄後期から宝永前期の作品と推定したい」[1] |
遊女と禿図 | 紙本着色 | 1幅 | 京都府立総合資料館(京都文化博物館管理) | 1700-05年(元禄後期から宝永前期) | 無款 | 無款だが、旧蔵者の吉川観方が善清筆とし、他の善清作品との比較から真筆としてよい作品[2]。 |
脚注
編集参考文献
編集- 水谷不到 『古版小説挿画史』 大岡山書店、1935年 ※「大森善清」(142頁)
- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
- 浅野秀剛 『菱川師宣と浮世絵の黎明』「第六節 京の絵師、大森善清」、東京大学出版会、2008年、pp.251-291、ISBN 978-4-13-080210-9