VII型曲面
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数学では、VII型曲面(英:surfaces of class VII、直訳:7型局面)は、非代数的複素曲面で、(Kodaira 1964, 1968)で研究され、小平次元 −∞ を持ち、第一ベッチ数が 1 である。VII型曲面(自己交点数が -1 である非有理曲面)の極小モデルは、VII0 型の曲面(英:surfaces of class VII0)と呼ばれる。全ての VII型曲面は、一意な VII型極小曲面に双有理同値であり、この極小曲面を有限回点でブローアップすることで得ることができる。
概要
編集「VII型」という名前は、(Kodaira 1964, theorem 21) から来ており、そこでは極小曲面が I0 から VII0 という番号の付けられた 7つのクラスへ分類されている。しかしながら、小平のクラス VII0 は、小平次元が −∞ であるという条件が付いていなく、代わりに幾何種数が 0 という条件が付いている。結果として、彼の VII0 というクラスは、例えば、第二種小平曲面などのいくつかの他の曲面を含む。現在は、第二種小平曲面は小平次元が −∞ ではないので、VII型とは考えられていない。VII型の極小曲面は、(Kodaira 1968, theorem 55)での曲面のリスト上の番号 "7" のクラスである。
不変量
編集不正則数 q は 1 で h1,0 = 0 であり、全ての多重種数はみな、0 である。
ホッジダイアモンド:
1 0 1 0 b2 0 1 0 1
例
編集ホップ(Hopf surface)は、C2−(0,0) の自由に作用する離散群 G による商であり、第二ベッチ数は 0 である。最も簡単な例は、G を整数とし、2 のべきによる乗法として作用させることを考えると、対応するホップ曲面は S1×S3 と微分同相となる。
井上曲面(Inoue surface)は、H を上半平面とした C×H が普遍被覆となる(従って、それらは自己同型群による普遍被覆空間の商である)ような VII型曲面である。井上曲面の第二ベッチ数は 0 である。
井上・ヒルツェブルフ曲面(Inoue–Hirzebruch surface)や榎木曲面(Enoki surface)や加藤曲面(Kato surface)は、VII型曲面の例であり、b2 > 0 である。
分類と大域球状シェル
編集第二ベッチ数 b2 = 0 の極小な VII型曲面は、Bogomolov (1976, 1982) により分類され、ホップ曲面(Hopf surface)、または、井上曲面(Inoue surface)である。b2 = 1 である曲面は Nakamura (1984) により、曲面が曲線を持っているという仮定の下で分類された。曲面が曲線を持っているという前提は、後に、Teleman (2005) で証明された。
大域球状シェル(global spherical shell) (Kato 1978) とは、曲面の中に滑らかな 3-球面を持ち、3-球面の補空間が連結で、近傍が C2 の球面の近傍に双正則であることを言う。大域球状シェル予想は、正の第二ベッチ数を持つ全ての VII0 型曲面は、大域球状シェルであろうという予想である。大域球状シェルを持つ多様体は、全て加藤曲面(Kato surface)である。この事実は良く知られているので、この予想が証明されたとすると、VII型の分類を導くことになる。
正の第二ベッチ数 b2 を持つ VII型曲面は、多くて、b2 本の有理曲線を持つことができ、大域球状シェルを持つと、持つ有理数の数と第二ベッチ数が一致する。逆に、 Georges Dloussky, Karl Oeljeklaus, and Matei Toma (2003) は、正の第二ベッチ数 b2 を持つ極小な VII型曲面は、ちょうど b2 本の有理曲線を持つならば、大域球状シェルを持つことを示した。
第二ベッチ数が 0 となる VII型曲面に対し、最初のホップ曲面は大域球状シェルであるが、第二のホップ曲面と井上曲面は、大域球状シェルではない。理由は、基本群が無限巡回群ではないからである。後者の曲面上の点でブローアップすると、大域球状シェルを持たない第二ベッチ数が正の非極小 VII型曲面が得られる。
参考文献
編集- Barth, Wolf P.; Hulek, Klaus; Peters, Chris A.M.; Van de Ven, Antonius (2004), Compact Complex Surfaces, Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete. 3. Folge., 4, Springer-Verlag, Berlin, ISBN 978-3-540-00832-3, MR2030225
- Bogomolov, Fedor A. (1976), “Classification of surfaces of class VII0 with b2=0”, Izvestiya Akademii Nauk SSSR. Seriya Matematicheskaya 10 (2): 273–288, ISSN 0373-2436, MR0427325
- Bogomolov, Fedor A. (1982), “Surfaces of class VII0 and affine geometry”, Izvestiya Akademii Nauk SSSR. Seriya Matematicheskaya 46 (4): 710–761, doi:10.1070/IM1983v021n01ABEH001640, ISSN 0373-2436, MR670164
- Dloussky, Georges; Oeljeklaus, Karl; Toma, Matei (2003), “Class VII0 surfaces with b2 curves”, The Tohoku Mathematical Journal. Second Series 55 (2): 283–309, doi:10.2748/tmj/1113246942, ISSN 0040-8735, MR1979500
- Kato, Masahide (1978), “Compact complex manifolds containing "global" spherical shells. I”, Proceedings of the International Symposium on Algebraic Geometry (Kyoto Univ., Kyoto, 1977), Tokyo: Kinokuniya Book Store, pp. 45–84, MR578853
- Kodaira, Kunihiko (1964), “On the structure of compact complex analytic surfaces. I”, American Journal of Mathematics (The Johns Hopkins University Press) 86 (4): 751–798, doi:10.2307/2373157, ISSN 0002-9327, JSTOR 2373157, MR0187255
- Kodaira, Kunihiko (1968), “On the structure of complex analytic surfaces. IV”, American Journal of Mathematics (The Johns Hopkins University Press) 90 (4): 1048–1066, doi:10.2307/2373289, ISSN 0002-9327, JSTOR 2373289, MR0239114
- Nakamura, Iku (1984), “On surfaces of class VII0 with curves”, Inventiones Mathematicae 78 (3): 393–443, doi:10.1007/BF01388444, ISSN 0020-9910, MR768987
- Nakamura, Iku (1984), “Classification of non-Kähler complex surfaces”, Mathematical Society of Japan. Sugaku (Mathematics) 36 (2): 110–124, ISSN 0039-470X, MR780359
- Nakamura, I. (2008), “Survey on VII0 surfaces”, Recent Developments in NonKaehler Geometry, Sapporo
- Teleman, Andrei (2005), “Donaldson theory on non-Kählerian surfaces and class VII surfaces with b2=1”, Inventiones Mathematicae 162 (3): 493–521, doi:10.1007/s00222-005-0451-2, ISSN 0020-9910, MR2198220