大井川和彦

日本の政治家、経産官僚、第19・20代茨城県知事 (1964-)

大井川 和彦(おおいがわ かずひこ、1964年昭和39年〉4月3日 - )は、日本政治家経産官僚茨城県知事(公選第19・20代)。無所属[1]

大井川 和彦
おおいがわ かずひこ
内閣広報室より公表された肖像
生年月日 (1964-04-03) 1964年4月3日(60歳)
出生地 日本の旗 日本 茨城県土浦市
出身校 東京大学法学部
ワシントン大学ロースクール
前職 国家公務員経済産業省
ドワンゴ取締役
所属政党 無所属
称号 法学士
法学修士
公式サイト 茨城県知事 大井川かずひこ

茨城県の旗 公選第19・20代 茨城県知事
当選回数 2回
在任期間 2017年9月26日 - 現職
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来歴

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茨城県土浦市生まれ[2]土浦市立真鍋小学校に入学後、父親の転勤のため、日立市立宮田小学校に転校した。日立市立宮田小学校、茨城大学教育学部附属中学校茨城県立水戸第一高等学校東京大学法学部卒業[2]1988年通商産業省(現経済産業省)入省[2]1996年ワシントン大学ロースクール修了(国費留学)[2]1998年、通商産業省の初代シンガポール事務所長に就任[2]

2003年、経済産業省を退官し、同年よりマイクロソフトアジア執行役員[2]。マイクロソフト(現日本マイクロソフト)執行役常務を経て、2010年よりシスコシステムズ(日本法人)専務執行役員[2]2016年ニコニコ動画の運営会社であるドワンゴの取締役に就任した[2]

茨城県知事

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2016年12月、翌年に施行される茨城県知事選挙への立候補に向け、自由民主党茨城県連が大井川を擁立する方向で最終調整を進めていることが報道された[3]2017年3月1日水戸市内で記者会見を開き、正式に茨城県知事選への立候補を表明した[4]。大井川の出馬検討が報じられた段階では、現職の橋本昌は自身の進退を明らかにしていなかったが、4月5日に橋本知事も出馬を表明[5]7月19日公明党からも推薦を受けたが[6]、対する橋本知事は茨城県市長会や茨城県町村会、連合茨城、茨城県医師連盟、茨城県歯科医師連盟等から推薦を受けた[7][8]。なお、連合茨城には大井川も推薦依頼を出していたが、連合茨城は大井川を推薦せず、橋本知事を推薦した[9]

告示日の8月10日日本原子力発電東海第二発電所の再稼働の是非について、明確な見解を示してこなかった橋本知事が「認めない方向にかじを切りたい」と表明[10]。これに対し、大井川は「賛成でも反対でもない」というスタンスに終始し、再稼働の是非を明確に示さなかった[11]。公約では「新しい茨城」を掲げ、多選禁止条例の制定や18歳までの一部医療費の無料化、つくばエクスプレスの県内区間の延伸検討等を主張した[12]

8月27日に投開票が行われ、大井川が橋本知事ら2候補を破り、初当選した[13]。茨城県知事選で、新人が現職の知事を破って当選するのは58年ぶり[12]。当選後の会見で、記者から「自民党の傀儡知事になるのではといわれたが」と質問されたのに対し、色をなして「何をもって傀儡というのか。今までの橋本県政もほとんど自民党が支持してやってきたが、橋本県政は傀儡だったのか」「非常に愚問だ」などと反論した[14]9月26日、茨城県庁に初登庁し、正式に茨城県知事に就任した。茨城県知事の交代は1993年の橋本知事の初当選以来、24年ぶり[15]

2021年9月5日投開票の知事選で日本共産党推薦候補を破り再選。

2024年2月20日、茨城県は、大井川が転倒し頭部を打撲したことによる急性硬膜外血腫で同月17日に入院したと発表した。当面はテレワークなどで業務を行い、一部の公務は副知事が代理対応する[16][17]

県政

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  • 2018年4月より県庁の決裁事務の電子決裁化を指示し、同7月には99.1%の電子決裁化を達成した[18]
  • 2019年6月24日LGBTなど性的少数者のカップルが婚姻に相当する関係にあると認める「パートナーシップ宣誓制度」を7月1日から導入すると発表した。都道府県ベースでは全国初となる[19]。制度導入に反対を示してきた茨城県議会の最大会派「いばらき自民」[20]からは「残念だ」との声が上がった[21]
  • 当選時は東海第二原発の再稼働については「有権者の判断に委ねる」として中立の立場であり、2019年2月日本原電の経営陣と対談した際にも県の安全審査で結論が出る前から再稼働ありきで話を進める原電側の姿勢には不快感を表明していた[22]。一方で、東海村山田修村長が2019年10月、原子力専門の雑誌「エナジー・フォー・ザ・フューチャー」における新潟県刈羽村品田宏夫村長との対談で、東海第二発電所の再稼働容認や反原発論者に対する「全ての外部電源を遮断して、自家発電だけで生活してもらわなくては。自宅から一歩も出てはいけない」などといった発言[23]をしたことに対しては「一般論だと認識している」と述べるに留まった[24]
  • 2021年5月12日の記者会見で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から、東京五輪出場選手や関係者が新型コロナウイルスに感染した際に受け入れる専用病床の確保を求められたが、「(茨城)県民より選手を優先できない」として要請を拒否したことを明らかにした。あわせて、東京五輪開催の是非については「必ずやらなければいけないことではない。状況に応じて中止の判断もあり得る」「大阪府が陥っているような医療崩壊に近い状況で五輪だけを開催するならば、国内だけでなく世界から理解を得られない」との見解を示した[25]

人物

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脚注

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  1. ^ 総務省 地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等
  2. ^ a b c d e f g h i j プロフィール│大井川かずひこ(大井川和彦)WEB SITE
  3. ^ “「ドワンゴ」取締役・大井川和彦氏、茨城知事選に擁立へ 自民県連が最終調整…元経産官僚の顔も”. 産経新聞. (2016年12月4日). https://web.archive.org/web/20161204183205/http://www.sankei.com/politics/news/161204/plt1612040020-n1.html 2018年9月17日閲覧。 
  4. ^ “茨城知事選、大井川氏が立候補表明 橋本氏出馬は「望むところ」”. 産経新聞. (2017年3月2日). https://www.sankei.com/article/20170302-WHPFH3O6GJJBXFIR3UPU2G4HB4/ 2018年9月17日閲覧。 
  5. ^ “茨城知事選:橋本氏が7選目指し出馬表明”. 毎日新聞. (2017年4月5日). https://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00e/010/297000c 2018年9月17日閲覧。 
  6. ^ “茨城知事選'17:公明、大井川氏推薦 自民との連携を優先/茨城”. 毎日新聞. (2017年7月19日). https://mainichi.jp/articles/20170719/ddl/k08/010/136000c 2018年9月17日閲覧。 
  7. ^ “茨城知事選:選挙戦スタート 現新3氏が立候補”. 毎日新聞. (2017年8月10日). https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170810/k00/00e/010/245000c 2018年9月17日閲覧。 
  8. ^ “茨城知事選、橋本氏に推薦状続々 県町村会、県医師連盟など”. 産経新聞. (2017年4月28日). https://www.sankei.com/article/20170428-PCX2W52ZNFLIRLLWFXGLSLRCTI/ 2018年9月17日閲覧。 
  9. ^ “連合茨城が橋本氏推薦 県政を評価”. 産経新聞. (2017年6月16日). https://www.sankei.com/article/20170616-GFI3BYFKPJOQHDMIFTVIA5THDE/ 2018年9月17日閲覧。 
  10. ^ “茨城知事選:現職の「再稼働NO」に波紋”. 毎日新聞. (2017年8月15日). https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170815/k00/00m/010/116000c 2018年9月17日閲覧。 
  11. ^ “知事選 候補者アンケート(下)”. 東京新聞. (2017年8月17日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201708/CK2017081702000182.html 2017年9月13日閲覧。 
  12. ^ a b “知事に大井川氏 刷新訴え初当選 橋本氏の7選阻む”. 茨城新聞. (2017年8月28日). https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15038318846602 2018年9月17日閲覧。 
  13. ^ “【茨城県知事選】自公推薦新人の大井川和彦氏が初当選 現職の7選阻む”. 産経新聞. (2017年6月16日). https://www.sankei.com/article/20170827-B66EDYVEDJN67I2KSUM7FC4IGI/ 2018年9月17日閲覧。 
  14. ^ “【ニュースの深層】「自民傀儡」か「物言う知事」か 茨城・大井川和彦県政が26日スタート”. 産経新聞. (2017年9月23日). https://www.sankei.com/article/20170923-EOHG47AYQVNIXPOUY5SIKKYXJI/ 2018年9月17日閲覧。 
  15. ^ “大井川県政スタート 初登庁 「挑戦する茨城に」”. 茨城新聞. (2017年9月27日). http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15064191473038 2017年9月27日閲覧。 
  16. ^ “茨城県知事、頭部打撲による急性硬膜外血腫で入院”. 日本経済新聞. (2024年2月20日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC198560Z10C24A2000000/ 2024年2月20日閲覧。 
  17. ^ “茨城県の大井川知事が入院・手術 転倒し頭部に血腫”. 茨城新聞. (2024年2月20日). https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=17084109659894 2024年2月20日閲覧。 
  18. ^ 重政紀元 (2018年9月24日). “ハンコよさらば! 茨城県庁の決裁、ほぼ100%電子化”. 朝日新聞. https://digital.asahi.com/articles/ASL8Z6T48L8ZUJHB00D.html 2019年6月24日閲覧。 
  19. ^ “茨城県でパートナーシップ制度 自民反対も知事が独断”. 朝日新聞. (2019年6月24日). https://digital.asahi.com/articles/ASM6S3DFSM6SUJHB006.html 2019年6月24日閲覧。 
  20. ^ “茨城県がLGBT差別禁止を明文化 東京に次いで2例目”. 産経新聞. (2019年3月25日). https://www.sankei.com/life/news/190325/lif1903250028-n1.html 2019年3月25日閲覧。 
  21. ^ 鈴木学 (2019年6月24日). “県議会自民「残念」「注視」 県パートナーシップ制度”. 東京新聞. https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201906/CK2019062502000166.html 2019年6月25日閲覧。 
  22. ^ “原電、東海第2再稼働を表明 茨城知事は不快感”. 日本経済新聞. (2019年2月22日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41600470S9A220C1000000/ 2021年5月12日閲覧。 
  23. ^ “原発不要なら「自宅から出るな」 東海村長、雑誌対談で”. 朝日新聞. (2019年11月16日). https://www.asahi.com/articles/ASMCH6Q4YMCHUJHB00J.html 2021年5月12日閲覧。 
  24. ^ “東海村村長発言、知事「一般論と認識」”. 東京新聞. (2019年11月13日). https://www.tokyo-np.co.jp/article/10914 2021年5月12日閲覧。 
  25. ^ “五輪選手の病床確保の要請を拒否 茨城知事、五輪組織委に”. 共同通信. (2021年5月12日). https://web.archive.org/web/20210512044102/https://this.kiji.is/765070003032244224?c=39546741839462401 2021年5月12日閲覧。 

外部リンク

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