多死社会(たししゃかい)とは、進展した高齢化により死亡数が急増し、総人口が減少していく社会[1]死亡する可能性の高い年齢平均余命)に達すると共に死亡者が急増するとされる。

2022年、推計より2年早く日本は多死社会に突入した[2][3]

概要

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日本は諸外国に先駆けて、2018年に全都道府県が超高齢社会(65歳以上の人口が総人口の21%以上)に突入した[4]総務省統計局の人口推計によると、2011年を境に人口が急激に減少していることが確認出来る。また、年齢階級別においては、15歳未満の年少人口および生産年齢人口(15歳から64歳)は減少し、65歳以上人口は若干の増加傾向にある。

統計

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死亡数 死亡率 人口減少数
2022(令和4) 1,568,961 12.9 -798,214
2023(令和5) 1,575,936 -848,659

地域別統計

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[5]

都道府県別死亡率ランキング(2022年)
都道府県 死亡率 死亡数 推計人口
  秋田県 18.6 17,256 893,908
  高知県 17.1 11,472 654,558
  青森県 16.8 20,118 1,162,310
  岩手県 16.5 19,342 1,142,310
  山形県 16.3 16,883 1,008,775
  島根県 16.1 8031 640,342
  和歌山県 16.0 14,308 878,255
  山口県 15.9 20,687 1,277,821
  徳島県 15.7 10,968 684,145
  鹿児島県 15.4 23,925 1,530,193
  宮崎県 15.4 16,111 1,029,108
  愛媛県 15.4 19,993 1,273,488
  福島県 15.4 27,394 1,740,165
  長崎県 15.2 19,309 1,249,433
  富山県 15.1 15,052 994,799
  新潟県 15.1 32,313 2,095,497
  鳥取県 14.9 10,434 530,469
  大分県 14.9 16,266 1,084,087
  香川県 14.7 13,552 916,082
  北海道 14.6 74,431 5,048,416
  長野県 14.4 28,503 1,985,446
  熊本県 14.4 24,427 1,695,193
  福井県 14.3 10,519 738,283
  山梨県 14.1 11,090 789,534
  佐賀県 14.1 11,204 787,076
  岐阜県 13.9 26,175 1,911,884
  三重県 13.8 23,341 1,709,629
  静岡県 13.6 47,334 3,520,616
  岡山県 13.6 24,901 1,829,545
  茨城県 13.5 37,256 2,808,468
  栃木県 13.4 24,992 1,881,282
  群馬県 13.4 26,589 1,888,208
  奈良県 13.3 17,166 1,283,679
  石川県 13.0 14,316 1,097,539
  広島県 12.9 34,940 2,715,111
  京都府 12.7 31,491 2,519,954
  兵庫県 12.6 66,541 5,333,911
  大阪府 12.5 106,277 8,771,654
  宮城県 12.4 28,040 2,244,807
  福岡県 12.2 61,302 5,098,452
  千葉県 11.8 72,258 6,275,564
  埼玉県 11.5 82,221 7,329,133
  愛知県 11.2 81,183 7,465,813
  神奈川 11.0 98,829 9,222,326
  滋賀県 11.0 15,043 1,400,747
  東京 10.4 139,264 14,200,331
  沖縄県 10.4 15,054 1,467,756
政令指定都市別死亡率ランキング(2022年)
死亡率 死亡数 推計人口
  北九州市 13.9 12,865 907,399
  静岡市 13.6 9276 671,515
  新潟市 12.9 10,071 765,494
  堺市 12.5 10,234 806,263
  大阪市 12.4 34,239 2,795,562
  浜松市 12.0 9386 774,483
  神戸市 11.9 17,978 1,492,017
  札幌市 11.9 23,562 1,956,119
  京都市 11.8 17,137 1,437,092
  名古屋市 11.2 26,121 2,332,248
  岡山市 11.2 8047 712,571
  熊本市 11.2 8238 737,641
  千葉市 11.1 10,818 985,059
  相模原市 11.0 8008 723,414
  横浜市 10.4 39,388 3,771,005
  広島市 10.2 12,158 1,179,585
  仙台市 9.9 10,830 1,095,744
  さいたま市 9.9 13,235 1,351,633
  福岡市 8.9 14,469 1,659,098
  川崎市 8.8 13,586 1,552,270
政令指定都市 11.3 309,646 27,702,880

将来推計

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2010年に約120万人であった年間死亡数は、2025年まで着実に増加を続け、団塊世代が80歳代後半となる2030年代には160万人を超える見通しだ。これ以降も年間150万人以上と高止まりする[6]。これは太平洋戦争期間中の年間平均死亡者数に匹敵する[7]

多死社会の中でも特に事態が著しい時期は、2038年から2042年と予想されており、この時期の年間死亡数は約168万人と推計されている[8]。この頃には日本の人口減少は著しく、毎年の人口減少数は、国内の大都市の人口に相当する約90万人に達すると推計されている[9][10]

多死社会では火葬場の不足が懸念されており、人口の多い都市部、特に首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県)では深刻な状況となることが予想されている[11][12]。神奈川県横浜市では既に火葬の待ち日数が長期化し、2065年に市内の死亡者数が今より3割ほど増えると予想。現在、市内で5カ所目の公営斎場の建設を計画中だが、死亡者数に対応できるのは56年ごろまでだという[13]

脚注

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  1. ^ 死をめぐる我が国の現状
  2. ^ 「1人生まれても2人が死ぬ」が50年続く…ついに始まった「日本人の大量死」の行き着く先とは すでに単身世帯の3割以上が「高齢1人暮らし」”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2024年1月17日閲覧。
  3. ^ 2022年多死社会の到来「年間150万人以上が死ぬ時代が今後50年続く」|荒川和久/独身研究家・コラムニスト”. 日経COMEMO (2023年6月27日). 2024年1月17日閲覧。
  4. ^ 間もなくやってくる「多死社会」を前に、日本がスイスから学ぶべきこと”. ダイヤモンド・オンライン (2022年1月13日). 2024年1月17日閲覧。
  5. ^ 令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2024年1月18日閲覧。
  6. ^ 多死社会|日本総研”. 日本総研. 2024年1月17日閲覧。
  7. ^ 「戦争中と同じ人数が毎年死んでいく」これからの日本を襲う"少産多死社会"の現実 子どもが死なない社会のはずなのに”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2024年1月17日閲覧。
  8. ^ 表3-2 将来の出生,死亡および自然増加数ならびに率:2016~65年 -人口統計資料集(2022)-”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
  9. ^ 少子社会から多死社会へ
  10. ^ 表1-5 総人口,人口増加,性比および人口密度の将来推計:2015~65年 -人口統計資料集(2022)-”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
  11. ^ “多死社会” 年間死亡者 過去最多の156万人 火葬待ち12日間も | NHK”. NHK NEWS WEB. 2024年1月17日閲覧。
  12. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2016年4月17日). “【日曜講座 少子高齢時代】「多死社会」を乗り越える 故郷葬で火葬場不足を解消 論説委員・河合雅司”. 産経ニュース. 2022年6月14日閲覧。
  13. ^ 人口激減、今後20年が「一番きつい」 近未来に起きる「介護難民」「多死社会」:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2024年1月17日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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