地のはてから』(ちのはてから)は、日本の小説家乃南アサによる小説である。

地のはてから
著者 乃南アサ
発行日 単行本:2010年11月17日
文庫版:2013年3月15日
発行元 講談社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製本
文庫版:文庫判
ページ数 単行本上巻:310
単行本下巻:318
文庫版上巻:368
文庫版下巻:384
公式サイト 単行本上巻:地のはてから 単行本 講談社
単行本下巻:地のはてから 単行本 講談社
文庫版上巻:地のはてから 文庫版 講談社
文庫版下巻:地のはてから 文庫版 講談社
コード 単行本上巻:ISBN 978-4-06-216593-8
単行本下巻:ISBN 978-4-06-216594-5
文庫版上巻:ISBN 978-4-06-277495-6
文庫版下巻:ISBN 978-4-06-277496-3
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

単行本は、2010年11月17日に、講談社創業100周年記念書き下ろし作品として刊行された[1]。単行本の装幀は、川上成夫による。単行本の装画には、東山魁夷の『緑の窓』が採用されている[2]

2011年、井上荒野『そこへ行くな』とともに第6回中央公論文芸賞を受賞する[3]。文庫版は、2013年3月15日に講談社文庫より刊行された[4]

知床半島塾運営委員長の河面孝子によると、著者の乃南は、執筆のために北海道を何度も訪れ、開拓時代に大量にバッタが発生したことの他に、アイヌ文化などについて、よく知っている人に会いに行ったり資料を探したりして、徹底的に取材をしていたという[5]

あらすじ

編集

登野原作四郎は、農家の四男坊であり、妻のつねとの間にできた娘をとわと名付けた。大正時代の初期に、作四郎が株で大きな損をして借金を抱えたために、とわが2歳のときに、作四郎とその家族は、夜逃げをして福島から北海道に渡り、知床のイワウベツ(現在の斜里町)に開拓移民として入植する。

イワウベツは、クマザサが繁茂している鬱蒼とした原野であった。木々を伐採して畑を広げ、農作物をつくっても、大量に発生するバッタによって食い荒らされてしまうなど、イワウベツでの生活は多くの苦労を伴った。しばらくして、とわは、宇登呂という漁村にある漁港に出稼ぎに行った作四郎が、アルコールに溺れて海に落ちて亡くなったことを知る。

主な登場人物

編集
登野原作四郎
農家の四男坊。
つね
作四郎の妻。
とわ
作四郎の娘。

書評

編集

ライターの池田千波留は、「北海道開拓、第二次世界大戦、アイヌの問題などを含みつつ、思うように行かない人生を強く生きる意味、『とにかく生きることが大切』というメッセージが熱く伝わってくる」[6]と評価している。上士幌町のウェブページには、「確実に言えるのは、女の強さが強調されていることだ。男はと言えば、全く軟弱で、あまりに脆く描かれている」[7]との評価が掲載されている。

脚注

編集
  1. ^ 地のはてから 単行本上巻”. 講談社. 2019年6月29日閲覧。
    地のはてから 単行本下巻”. 講談社. 2019年6月29日閲覧。
  2. ^ 『地のはてから』 2010.
  3. ^ 中央公論文芸賞受賞作品一覧”. 中央公論新社. 2019年6月29日閲覧。
  4. ^ 地のはてから 文庫版上巻”. 講談社. 2019年6月29日閲覧。
    地のはてから 文庫版下巻”. 講談社. 2019年6月29日閲覧。
  5. ^ 河面孝子 (2012年1月19日). “第25回 知床ちょっといい話”. 北海道人. 2019年6月29日閲覧。
  6. ^ 池田千波留. “地のはてから(乃南アサ)”. 関西ウーマン. 2019年6月29日閲覧。
  7. ^ おすすめの一冊 広報かみしほろNo.521”. 上士幌町. 2019年6月29日閲覧。

参考文献

編集
  • 乃南アサ『地のはてから 上巻』講談社、2010年11月。ISBN 978-4-06-216593-8