国鉄ケ10形貨車(こくてつケ10がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1976年(昭和51年)から1977年(昭和52年)にかけて、コキ5500形の改造名義で製作した、事業用貨車検重車)である。

国鉄ケ10形貨車
基本情報
車種 事業用車検重車
運用者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道(JR北海道)
東日本旅客鉄道(JR東日本)
東海旅客鉄道(JR東海)
西日本旅客鉄道(JR西日本)
九州旅客鉄道(JR九州)
所有者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道(JR北海道)
東日本旅客鉄道(JR東日本)
東海旅客鉄道(JR東海)
西日本旅客鉄道(JR西日本)
九州旅客鉄道(JR九州)
種車 コキ5500形
改造所 国鉄長野工場
改造年 1976年(昭和51年) - 1977年(昭和52年)
改造数 6両
廃車 2001年(平成13年)
常備駅 苗穂駅品川駅
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 11,100 mm
全幅 2,745 mm
全高 3,820 mm
自重 54.0 t
換算両数 5.5
台車 TR63F
車輪径 860 mm
台車中心間距離 7,000 mm
最高速度 75 km/h
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概要

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それまで使用されていたケ1形が老朽化したため、その置換え用として製作された車両である。コキ5500形の改造名義であるが、車体は新製されており、コキ5500形から流用したのは連結器台車程度である。

1976年(昭和51年) - 1977年(昭和52年)に国鉄長野工場で6両(ケ10 - ケ15)が製作された。車体には「突放禁止」と標記された。

構造

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台車はTR63Fとし、最高速度75 km/h走行を可能とした。台車のばねが柔らかく、分銅の積載時に車体がピッチングするため、ピッチング防止装置が設置された。ホイストランナーの繰り出しは電動式とし、作業箇所の方向転換を解消するため、ホイストの繰り出し方向を両端とした。そのため、分銅を出し入れするための扉は両方の妻面に設けられている。扉の鎖錠時にも手ブレーキを操作可能とするため、手ブレーキハンドルは床下に設けた。床下にはディーゼル発電機と燃料タンクと蓄電池箱がある。車内には示度較正用の分銅とそれを載せる台車、天井には分銅を積み下ろしするクレーンがある。自重は 54 t に達する。

運用の変遷

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本形式は、以下のとおり各地の国鉄工場に配置された。

いずれも1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化に際してJR旅客鉄道各社に継承されたが、車扱貨物輸送の減少により用途を喪失したため廃車が進み、2001年(平成13年)10月2日にJR東日本の ケ11 が廃車されたことにより形式消滅している。

その後は全車解体され現存しないものと思われてきたが、旭化成延岡工場内専用線でケ15が存在し、また2023年まで現役だったことが判明した。幻の検重車を保存する会がこれを譲受し、2024年6月から筑前山家駅裏手にある保存車両ヤード福岡にて暫定的に静態保存されている[1]。将来的には移設し、展示走行できるようにする予定。

脚注

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  1. ^ 幻の検重車を保存するプロジェクト、保存鉄道組合総連合会クラウドファンディング。

参考文献

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  • 誠文堂新光社 岡田直昭・谷雅夫『新版 国鉄客車・貨車ガイドブック』1978年
  • ネコ・パブリッシングRail Magazine
    • 「JR事業用車のすべて」2001年12月号 Vol.219
    • 吉岡心平「プロフェッサー吉岡の国鉄貨車教室」第27回 検重車 2003年7月号 Vol.238
  • イカロス出版『J-train』
    • 岡田誠一「国鉄事業用車カタログ1980 Part2 電車・貨車編」2006年 Vol.21

関連項目

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  1. ^ 地球環境保全への貢献”. 東海旅客鉄道. 2023年11月29日閲覧。