国語入試問題必勝法
『国語入試問題必勝法』(こくごにゅうしもんだいひっしょうほう)は、清水義範が1987年に発表した短編小説。また、同年に講談社から出版された表題作を含む短編集(第9回吉川英治文学新人賞を受賞)も同タイトルである。ここでは前者について述べる。
関西テレビが岸部一徳主演でドラマ化している(放映時期は不明だが、1987年とする資料もある[1])。
2000年1月時点で、短編集『国語入試問題必勝法』の単行本は7万7000部、文庫本は20刷・28万部を発行している[2]。
2009年に筑摩書房から出版された『インパクトの瞬間――清水義範パスティーシュ100 二の巻』に再録。
概要
編集『小説現代』(講談社)1987年3月号に「入試国語問題必勝法」として発表。国語が不得意な受験生の浅香一郎(あさかいちろう)に、家庭教師の月坂(つきさか)が、現代文の問題の解き方を教えるという物語である。
この作品中で月坂が述べる解法について、作者は、小説集のあとがきで「虚構」だと述べている。また、翌年に発表したエッセイ「我が『必勝法』と共通一次試験国語問題」(講談社刊『パスティーシュと透明人間』所収)において、「出鱈目必勝法」[3]だと書いている。彼はエッセイの中で、未読の読者のために、自ら、必勝法のいくつかを明かしている。ここではそれらについて触れる[4]。
- 大、小、展、外、誤
- 「内容に最も近いもの」を4つないしは5つの選択肢から選ばせる問題を解くための方法。選択肢は、本文に書かれてある内容を一般論に拡大したもの(大)、本文の一部だけをとったもの(小)、本文の論理を展開したもの(展)、本文の内容と少しずれているもの(外)、単純に間違っているもの(誤)から成り、正解は「外」にあるというもの。
- 長短除外の法則
- 問題文を読まずに正解を見つけるための第一の方法。選択肢のうち、文章が一番長いもの、一番短いものは正解ではない(ため、除外してよい)。
- 正論除外の法則
- 第二の方法。正論のようなものが書かれている選択肢ははずしてよい。
作者は後日、1988年度大学共通一次試験の「現代文」の問題において、「長短除外の法則」を検証している。その結果、11問中8問がこの法則に当てはまったとしている[5]。
英訳
編集アルフレッド・バーンバウムによる英訳版 "Japanese Entrance Exams for Earnest Young Men" は、1991年に講談社インターナショナルから出版されたアンソロジー『現代ニッポン短編小説集 / Monkey brain sushi : New tastes in Japanese fiction』に収録された。
派生作品
編集参考文献
編集- 「我が『必勝法』と共通一次試験国語問題」清水義範『パスティーシュと透明人間』新潮社(新潮文庫)、1995年、257-260頁。ISBN 4-10-128214-5。
- 初出は『産経新聞』1988年2月5日号夕刊。
脚注
編集- ^ “国語入試問題必勝法 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇”. テレビドラマデータベース. 2020年5月11日閲覧。
- ^ 「[ロングセラーの周辺]『国語入試問題必勝法』清水義範著」『読売新聞』2000年1月15日付東京夕刊、6頁。
- ^ 清水1995、257頁。
- ^ 必勝法の出典は清水1995、258-259頁による。
- ^ 清水1995、259頁。なお、選択肢6個中ランダムに2個選択した場合に2問とも不正解を選択する確率は66.7%であり、有意な差があるかどうかは議論の余地がある。
- ^ 受験の帝王 4 142ページ - マンガ図書館Z