四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件
四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件(よっかいちジャスコごにんたいほしぼうじけん)は、2004年(平成16年)2月17日に三重県四日市市で発生した誤認逮捕により、68歳の男性が死亡した事件である。
四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件 | |
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場所 | 日本 三重県四日市市ジャスコ四日市尾平ショッピングセンター |
日付 | 2004年(平成16年)2月17日 |
概要 | 誤認逮捕の結果、老人が死亡 |
原因 | 過剰制圧による高血圧性心不全と不整脈の誘発 |
死亡者 | 68歳の男性 |
賠償 | 3,640万円 |
民事訴訟 | 三重県に賠償命令 |
事件内容
編集2004年(平成16年)2月17日、ジャスコ四日市尾平ショッピングセンター内のATMコーナーで、女性の財布を盗んだとして68歳の男性を店員や買い物客ら3人で取り押さえた。男性は居合わせた四日市南警察署警察官に引き渡されたが、その後死亡した。死因は「高度のストレスによる高血圧性心不全と不整脈」と発表された。2月18日に三重県警察は、被疑者死亡のまま男性を書類送検した。
2005年(平成17年)、三重県警察は店員や買い物客が男性を制圧している間に現場から立ち去った女性が映る防犯カメラ映像を公開した。県警は「女性が犯罪に関与したことは断定できない」としており、容疑事実を特定しない関係者画像の公開はグリコ・森永事件のキツネ目の男以来となる異例の措置であった[1]。
2011年(平成23年)5月に津地方検察庁は、男性の無実を認めて被疑者補償として1日分の最高額12,500円を遺族に支払うことを通知した[2]。
2011年(平成23年)9月、名古屋高等裁判所は三重県に約3,644万円の賠償を命じた。県警側は「制圧行為は必要で正当なものだった」という態度は崩さないままだった。
民事訴訟
編集2007年に男性の遺族は、警察官の度を超えた対応により男性が死亡したとして、三重県を相手取り約5,700万円の損害賠償を津地方裁判所に提訴した。三重県は、対応は適切として争う姿勢を示した。
2010年11月18日に津地方裁判所は、原告の訴えを一部認めて880万円の支払いを命じた。堀内照美裁判長は「制圧行為は必要かつ相当な限度を超え、違法」と判決して制圧行為の違法性を認めたが、死亡の因果関係は認めなかった[3]。遺族は27日に控訴した。
2011年9月に名古屋高等裁判所は、控訴審判決で死亡の因果関係を認めなかった一審判決を変更し、三重県に約3,644万円の支払いを命じた[4]。三重県は上告を断念して判決が確定した[5]。
脚注
編集出典
編集- ^ YOMIURI ON-LINE 強盗に間違われ男性死亡 立ち去った女 映像公開 きょう三重県警 (Internet Archive, 2005年2月19日記録)
- ^ “死亡男性の無実を認定、地検が遺族に補償支払い 三重・四日市のスーパー制圧死”. MSN産経ニュース. (2011年5月11日). オリジナルの2011年5月14日時点におけるアーカイブ。 2013年11月8日閲覧。
- ^ “誤認逮捕死亡、県に賠償命令 警官馬乗り制圧は違法 因果関係は否定・津地裁”. 時事ドットコム (2010年11月18日). 2010年11月18日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “逮捕男性が死亡、警官の制圧原因 二審も三重県に賠償命令”. 日本経済新聞 (2011年9月10日). 2019年12月21日閲覧。
- ^ 読売新聞 『制圧男性死亡損害賠償訴訟、三重県が上告断念へ』 2011年9月13日付紙面
関連項目
編集- 警察の暴力
- ジョージ・フロイドの死 - 被疑者が警察官による過度な取り押さえで死亡した点が本事件と共通する。
外部リンク
編集- はやともの徒然日記 - 被害者の甥が管理するサイト