喫茶文化
喫茶文化(きっさぶんか)は、茶の製造過程や消費方法、人々が茶に与えられる影響、 茶を飲むことの美学によって定義される。これは、茶の生産、茶の淹れ方、茶の芸術と儀式、社会、歴史、健康、道徳、教育、そして交流とメディアの側面も含む。
お茶が重要な役割を果たしている国もある。お茶は一般的に社会的なイベントで消費され、たくさんの文化がこれらのイベントのために、複雑で決まった形式の儀礼を生み出した。アフターヌーンティーは広く知られているイギリスの習慣である。中国のお茶文化に基づくお茶の儀礼は、日本式の茶道や、韓国式の茶礼のように、東アジアの中でも異なる。お茶の淹れ方が大きく異なることもある。例えばチベットでは、一般的に、飲み物は塩とバターと一緒に淹れられる。お茶は、小さな私的な集まり(ティーパーティー)で飲用されるか、或いは公共の場(社会的インタラクションの場として設けられたティーハウス・ティールーム)で飲用されることもある
大英帝国は自らのお茶に対する解釈を、その領土や植民地に広めた。そこには、現在の香港特別行政区、インド、パキスタンなどの国々のように、多少のお茶文化を持っていた地域も含まれる。また、東アフリカ(現在のケニア、タンザニアとウガンダ)や太平洋(オーストラリアやニュージーランド)のような、お茶文化を持っていなかった地域も含まれる。
さまざまな地域がブラックティーや緑茶やウーロン茶など異なった種類のお茶を好んで飲用し、ハーブや牛乳や砂糖などを使って異なった風味付けをする。また、茶の温度や濃さなども大きく異なる。
東アジア
編集中国
編集中国文化圏においては伝統的に中国茶を楽しむ文化があり、現在でも喫茶文化が盛んである。
唐王朝時代、 陸羽は、日陰の山腹で育っている植物が質の悪い茶葉になっていて、そのお茶が腹部膨張を引き起こす原因になっていることを見つけた。茶の製造としてもっとも一般的だった過程は、水を茶葉と共に煎じることだった。水は火鉢の上の大鍋の中で「魚の目」と言われるくらいの大きさの泡が立つまで沸騰させた。お茶の味を保つために、適量の塩も加えられた[1]。
明王朝以前までに提供されていたお茶は一般的に磚茶から作られていた。収穫後、積まれた茶葉は、部分的に、或いは全体的に乾燥させられた後に煉瓦状に圧縮される。プーアル茶の圧縮は、この過程の名残に似ている。磚茶のブロックは通貨として使われることもあった[2]。
チベットでは、煮出した磚茶にバターと塩やミルクを加えて混ぜたバター茶が飲まれている[3]。
台湾
編集台湾の喫茶文化には、中国や、島に移民してきた漢民族などから影響を受けた伝統ある喫茶文化が含まれている。山茶は、オランダ東インド会社によって台湾で初めて発見された[4]。
韓国
編集日本
編集日本においては歴史的に茶道が盛んである。
東南アジア
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タイでは、チャーイェンという、スパイスや甘味料を加えたアイスティーが飲まれている[6]。
ミャンマーでは、緑茶やラパイェ(ミルクティー)が飲まれている[7]。また、茶葉を発酵させたラペソー(Lahpetso)は、おかずやお茶請けとして使われている[8]。ラペソーは、ビルマ語で茶を意味するラペ(lepet)と、湿っている状態を意味するソー(so)をあわせた言葉である[8]。 ベトナムでは緑茶などに加え、ハスの花をブレンドした蓮茶なども飲まれている[9]。
南アジア
編集インド
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世界最大級の茶葉の生産国の一つ、インドでは、朝ごはんから夜の飲み物としてお茶がよく飲まれている。お茶は一般的に、牛乳、砂糖、それからショウガや小豆蔲、黒胡椒、シナモンといった香辛料と共に飲まれ、マサラチャイとして親しまれている。ほとんど全てのお茶は、CTC製法で作られたインド紅茶として飲まれる。普通、沸騰した水に茶葉を入れてお茶を抽出し、牛乳を加える[10]。
客にお茶を差し出すことは、インドの家庭や、オフィス、仕事の場において基本的な慣習である。お茶は、チャイワラとして知られるお茶農家の人々が営む、道端の小さな屋台でも提供される[11]。
2012年4月21日、計画委員会の副議長であるモンテック・シン・アルワリアは、2013年の4月までにお茶は国民的な飲み物だと断言されるだろうと言った[12][13]。その出来事について、インドのアッサム州のタルンゴゴイ元州知事は、発展を確実にするために、お茶産業向けの特別なパッケージが発表されるだろうと述べた[14]。その動きは、国内のお茶の生産量を増加させると思われていたが、2013年5月、商務部部長は、競争相手のコーヒー産業に支障をきたすことを恐れて、お茶を国民的飲料として宣言しないことを決断した[15]。
スリランカ
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西アジア・アラブ地域
編集トルコ
編集2016年の時点で、トルコは3.16㎏で、一人当たりのお茶の消費量が一番多いという統計が出された[16]。2004年、トルコは205,500トン(世界のお茶の生産量の6,4%相当)もの茶葉を生産し、トルコは世界の巨大お茶市場の一つになった[17]。うち120,000トンはトルコ内で消費され、残りは輸出された[18] 。 2010年、トルコは一人当たりの消費量が2.7㎏で世界一の数値だった[19][20] 。2013年には、トルコのお茶の一人あたりの消費量は一日10杯を超え、毎年13.8㎏に及ぶ[21]。お茶のほとんどは黒海海岸にある都市、リゼ県で栽培されている[22]。
イラン
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アフリカ
編集エジプト
編集エジプトではお茶は国民的な飲み物で、コーヒーよりも普及している。エジプトではお茶は「シャイ」と呼ばれる[23]。
モロッコ
編集モロッコは世界で最も緑茶の輸出量が多いと考えられている[24]。ミントティーの飲用も盛んである。
ソマリア
編集ヨーロッパ
編集中部
編集ドイツ
編集東フリージア地域には、注目すべきお茶の消費と喫茶文化がある[26]。
伝統的なお茶の淹れ方は次の通りである:クルンチェと言われる、ゆっくりと溶ける白い飴状の砂糖を空のカップ(複数のカップに甘味をつけられるように)に入れる。そして、クルンチェの上にお茶が注がれる。生クリームの「雲」("Wölkje"―フリージア語で小さな「雲」) が、「水」のお茶に加えられ、砂糖は「大地」を代表する[27]。茶道具一式には一般的に東フリージアの薔薇の柄が施される[28]。
東部
編集ロシア
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西部
編集フランス
編集フランスの食文化としてコーヒーが有名である一方、アフターヌーンティーは長い間上流階級の社会的習慣であった。マルセル・プルーストの小説などでも描かれていることで有名である。マリアージュフレールは1854年創業の、パリの有名な高級紅茶専門店である。ただ、フランスのお茶の市場はイギリスの市場と比べるとごくわずかにすぎない(フランスの一人あたりの年間の茶葉の消費量200gに比べると、イギリスの一人あたりの年間の茶葉の消費量は2kgにもなる)[29]。だが、これは1995年から2005年にかけて倍増しており、今もその数値は増加傾向にある[30]。フランスのお茶は黒い品種が多いが、アジアの緑茶や果物風味のお茶も浸透しつつある。フランス人はたいてい午後にお茶を飲む。お茶はサロン・ド・テ(フランス語で喫茶店)で飲まれる。フランスでは、お茶に砂糖を加える人が圧倒的に多く(65%)、牛乳(25%)、レモン(30%)、何も入れないで飲む(32%)は同じくらいの人気度である[31]。
アイルランド
編集アイルランドは世界で二番目に一人当たりのお茶の消費量が多い国である。その量は年間2.19kgである[32]。イギリス国内での喫茶文化はほとんど違わないが、アイルランドの喫茶文化とは違う部分が多数ある。例えば、アイルランドでは、お茶は牛乳か砂糖を入れて飲む。また、アイルランドのお茶は少し香辛料がきいていて、イギリスの伝統的なブレンドよりも濃い。アイルランドの有名なお茶のブランドには、Lyons、Barry's、Bewley'sなどがある[33]。
ポルトガル
編集ポルトガルの茶葉の栽培の多くはアゾレス諸島で行われる。アゾレス諸島とは、ポルトガル本土から1500㎞西部に位置する島々のことである。ポルトガルはヨーロッパで最初にお茶を飲む習慣を導入した国であり、同時にお茶を生産したヨーロッパ最初の国である[34]。1750年、カペラスからサンミゲル島のポルトフォルモーゾにまで至る地域は、茶葉試験栽培地として使われていた。そこでは10㎏の紅茶の茶葉と8㎏の緑茶の茶葉が生産された。1883年、中国のマカオ地域の専門技術を持った労働者による指導もあり、百年後には茶葉の生産が重要視されるようになり、茶葉の栽培は拡大した。彼らの栽培方法を受け継ぎ、お茶の香りに「高貴さ」を添えるためにジャスミンやMalva vacciones (ゼニアオイ属の一種)などの種類の植物が導入されたが、ジャスミンだけしか使われなかった[35]。
イギリス
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イギリス人は世界屈指のお茶の消費量を誇る人々である。イギリス人の一人当たりのお茶消費量は年間1.9㎏である[36]。
学者の中にはイギリスの産業革命にお茶が関わっていることを示唆する者もいる。アフターヌーン・ティーは長時間工場で働く長時間労働者の数を増やす手段になったとみられる。お茶に含まれる精神刺激効果のある成分が、特に甘い菓子と一緒に摂取することで、労働者の、仕事を終わらせようとする原動力となったとみられる。さらに、お茶を飲むためにお湯を沸かすことで、赤痢、コレラ、腸チフスなどの病原菌を殺すことができ、産業革命による都市化の影響を緩和する効果もあった[37]。
北米
編集アメリカ合衆国
編集南米
編集脚注
編集- ^ Lu, Yu. Cha jing. Hua xia. ISBN 9787508040066
- ^ Forbes, Andrew ; Henley, David (2011). China's Ancient Tea Horse Road. Chiang Mai: Cognoscenti Books. ASIN: B005DQV7Q2
- ^ 中川明紀. “第68回 捏ねて楽しいチベット族の国民食(2ページ目)”. ナショナルジオグラフィック日本版. ナショナルジオグラフィック. 2019年7月2日閲覧。
- ^ “Taiwan Tea History”. 2019年4月25日閲覧。
- ^ 河村 裕美 (2004年1月31日). “韓国緑茶紀行 第1回 優雅な蓮茶の休日”. Allabout. 2019年7月2日閲覧。
- ^ チャー・イエン 森永乳業
- ^ 中川明紀 (2014年10月6日). “第33回 お茶請けに!ご飯の友に!ミャンマーの食べるお茶 (4ページ目)”. ナショナルジオグラフィック日本版. ナショナルジオグラフィック. 2019年6月29日閲覧。
- ^ a b 中川明紀 (2014年10月6日). “第33回 お茶請けに!ご飯の友に!ミャンマーの食べるお茶 (2ページ目)”. ナショナルジオグラフィック日本版. ナショナルジオグラフィック. 2019年6月29日閲覧。
- ^ “お金があっても手に入らない「本物の蓮茶」ができるまで[特集]”. VIETJO ベトナムニュース. 日刊ベトナムニュース (2014年10月5日). 2019年7月2日閲覧。
- ^ “the definition of chai latte”. Dictionary.com. 5 April 2018閲覧。
- ^ “What is a chai wallah?”. Chai Wallahs of India. 30 November 2013閲覧。
- ^ “News - National: Tea will be declared a national drink, says Montek”. The Hindu. (2012年4月21日) 2013年1月26日閲覧。
- ^ “Tea to get hotter with national drink tag?”. Times Of India. (2012年4月30日) 2013年1月26日閲覧。
- ^ “Tea will be declared national drink: Montek Singh Ahluwalia - India”. IBNLive. (2012年4月21日) 2013年1月26日閲覧。
- ^ Sharma, Mohit. “Tea-coffee war brewing, national drink tag at stake”. Hindustan Times. 8 June 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。1 July 2013閲覧。
- ^ [1] 2016 tea per capita stat
- ^ “World tea production reaches new highs”. www.fao.org. 5 April 2018閲覧。
- ^ About Turkey:Geography, Economics, Politics, Religion and Culture, Rashid and Resit Ergener, Pilgrims' Process, 2002, 0-9710609-6-7, p.g. 41
- ^ "Capacity Building Program on International Trade" (PDF) (Press release). Ministry of Agriculture. 2014年6月11日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2013年1月26日閲覧。
- ^ Turkish Statistical Institute (11 August 2013). “En çok çay ve karpuz tüketiyoruz (in Turkish)/ We consume a lot of tea and watermelon”. CNN Turk 24 August 2013閲覧。
- ^ "tea"
- ^ Analysis of tea and tea products, BSI British Standards 2019年6月18日閲覧。
- ^ The book of cities by Philip Dodd
- ^ Morocco tea imports from China hits $56 million mark AngolaPress
- ^ “Facts”. www.sheriftea.com. 2019年4月25日閲覧。
- ^ Tea Ceremony Archived 2012-03-18 at the Wayback Machine.
- ^ “Ostfriesland”. landsichten.de. 5 April 2018閲覧。
- ^ “Ostfriesen Tea”. www.wiesmoor-info.de. 5 April 2018閲覧。
- ^ “Le thé s'impose en France: une véritable révolution”. AFP. (May 2005)
- ^ Juthier, Jean-Etienne Juthier (May 2007). “Pourquoi les sociétés de thé font fortune”. JDN Economie
- ^ Apprenez à préparer le thé !, Louis Asana, Doctissimo, quoting Tea Expo 2004, Lipton
- ^ “Tea consumption per capita worldwide by country, 2016 | Statistic” (英語). Statista. 2019年3月13日閲覧。
- ^ Pope, Conor. “Why we get a better cup in Ireland than all the tea in China” (英語). The Irish Times. 2019年3月13日閲覧。
- ^ Heiss, Mary Lou; Heiss, Robert J. (2007) (英語). The Story of Tea: A Cultural History and Drinking Guide. Ten Speed Press. ISBN 9781580087452
- ^ “Azorentee - Chá Gorreana - Europas einzigartiger Tee von den Azoren”. www.gorreana.com. 2009年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月5日閲覧。
- ^ http://faostat3.fao.org/home/index.html → Download → Food Supply → Crops Primary Equivalent
- ^ “Tea and the Industrial Revolution”. www.alanmacfarlane.com. 5 April 2018閲覧。
- ^ Stradley, Linda (14 May 2015). “History of Iced Tea and Sweet Tea, Whats Cooking America”. whatscookingamerica.net. 5 April 2018閲覧。