和歌山大学前駅
和歌山大学前駅(わかやまだいがくまええき)は、和歌山県和歌山市ふじと台[5]にある、南海電気鉄道南海本線の駅 [2]。駅番号はNK43。
和歌山大学前駅 | |
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西口(2012年4月) | |
わかやまだいがくまえ WAKAYAMADAIGAKUMAE (ふじと台) | |
◄NK42 孝子 (1.7 km) (3.6 km) 紀ノ川 NK44► | |
所在地 | 和歌山県和歌山市ふじと台212番地[3] |
駅番号 | NK 43 |
所属事業者 | 南海電気鉄道[1][2] |
所属路線 | ■南海本線[1][2] |
キロ程 | 58.0 km(難波起点) |
駅構造 | 地上駅(橋上駅舎)[1] |
ホーム | 2面2線[4] |
乗降人員 -統計年度- |
9,174人/日 -2023年- |
開業年月日 | 2012年(平成24年)4月1日[1][2] |
和歌山県や和歌山市などからの請願駅であり、南海電気鉄道では貴志川線(現・和歌山電鐵)の交通センター前駅以来13年ぶり[6]、南海本線では新今宮駅以来46年ぶりの新駅である。
開業時より急行・区間急行・普通の各列車が停車する[2]が、2014年(平成26年)10月18日からは、特急「サザン」も停車駅に加わった[7][8](後述)。
概要
編集駅名の通り和歌山大学の最寄り駅であり[2]、また和歌山市北部のニュータウン「ふじと台」の最寄り駅でもある[6]。そのため、当駅には「ふじと台」の副名称が付与されており[9]、車内の案内放送でも「次は、和歌山大学前ふじと台です。」と案内される。
新駅設置
編集この新駅は、1977年(昭和52年)、和歌山大学が貴志地区の丘陵地にある当地への移転を決定し[10]、そのことがきっかけとなって、1984年(昭和59年)、和歌山県や和歌山市および和歌山大学が設置を要望したことが始まりである[11]。
南海電鉄が費用を負担しない請願駅とすることで計画を進めていたが、1998年(平成10年)に当時の事業推進の中核を担っていた会社が会社更生法を適用申請したことからいったん頓挫することになった[12]。
建設費約30億円のうちおよそ3分の1を「和歌山市和歌山大学前駅周辺土地区画整理組合」(ふじと台の建設主体である浅井建設グループが主になって結成)が負担、残り3分の2のうち45%は国の補助を受け、55%を和歌山県と和歌山市が等分に負担するという計画の概要が2007年(平成19年)1月12日に和歌山県から発表された[4]。これに基づいて同年3月25日に起工式を行い、着工した[12]。
当初の構想での設置予定箇所が駅の設置基準を満たしていなかったことから、カーブや勾配を緩和した新線を約1.2㎞敷設してその中に駅を新設することになった[13]。
最終的な事業費は設計料込みで約35億円に達し、そのうち国が約10億円を交付金の形で支給し、和歌山県と和歌山市が各々約5億円の補助金を負担し、総額約20億円の補助が事業者となった「和歌山市和歌山大学前駅周辺土地区画整理組合」に支給されている[13]。
開業後
編集開業当初は日中の区間急行がみさき公園駅発着であり、サザンも通過していたため、普通車が毎時2本しか停車していなかった。
イオンモール和歌山が駅前に開業したことに伴い、2014年3月16日から、土曜・休日のみ区間急行の延長運転(みさき公園発着を和歌山市発着に変更)を行った[14]。5月6日に終了する予定であったが、この期間中の土曜・休日の1日平均乗降客数が7倍の約1万人へ大幅に増加したため、後述のダイヤ変更まで継続された[14]。この間の土曜・休日の日中は一部時間帯を除き1時間に4本の停車が確保されていた。
2014年10月18日のダイヤ変更で特急サザンが新たに停車し、全列車停車駅へ昇格した[8]。同時に日中の普通電車も増発(1時間に2本→4本)され、同時間帯の停車本数が6本へ増加した。
歴史
編集駅構造
編集2面2線の相対式ホームを持つ地上駅で、橋上駅舎を有する[4]。ホーム有効長は175mで[4]、8両編成に対応する[19]。
高低差のある地形のため、改札口のある橋上駅舎は東側の地表と同じ高さにあり、線路の東西を結ぶ自由通路を兼ねている[20]。
ホームの照明にLEDを使用、液晶ディスプレイの発車標を設置、乗車位置を○印(4扉)と△印(2扉)で表示など、南海電鉄としては先進的な設備が取り入れられた。待合室は両ホームにあるが、指定席自動券売機は上りホームにのみ設置されている。
のりば
編集のりば | 路線 | 方向 | 行先[21] |
---|---|---|---|
1 | 南海線 | 下り | 和歌山市方面 |
2 | 上り | 関西空港・なんば方面 |
利用状況
編集2023年(令和5年)度の1日平均乗降人員は9,174人で、南海の駅(100駅)では29位である[22]。
各年度の1日平均乗降・乗降人員数は下表のとおり。
年度 | 1日平均 乗降人員 |
順位 | 出典 |
---|---|---|---|
2012年(平成24年) | 2,721 | 63位 | [23] |
2013年(平成25年) | 4,363 | 54位 | [23] |
2014年(平成26年) | 7,436 | 40位 | [24][25] |
2015年(平成27年) | 8,152 | 38位 | [26] |
2016年(平成28年) | 8,691 | 33位 | [27] |
2017年(平成29年) | 8,878 | 33位 | [28] |
2018年(平成30年) | 9,361 | 32位 | |
2019年(令和元年) | 9,659 | 30位 | [29] |
2020年(令和 | 2年)5,880 | 41位 | [30] |
2021年(令和 | 3年)7,466 | 31位 | [31] |
2022年(令和 | 4年)8,721 | 29位 | [32] |
2023年(令和 | 5年)9,174 | 29位 | [33] |
2007年当時の計画段階では約6,000人の乗降客数を見込んでいた[4]が、開業当初は未達であった。しかし、イオンモール和歌山の開業が影響し、2014年度上半期には約7,800人[34]まで増加した。
駅周辺
編集駅の周辺は新駅設置と一体的に整備されている。東口・西口ともにロータリーがあり、バスターミナル、タクシー待機場、駐輪場および有料駐車場が設けられている[20]。
駅東側には、地域最大級の商業施設であるイオンモール和歌山があり、駅ビル3階とペデストリアンデッキで連絡している。副駅名である住宅地ふじと台は駅の南東に広がっており、和歌山大学までは徒歩20分もしくは直行シャトルバスで4分の距離がある。
駅西側は、山裾を走る和歌山県道752号和歌山阪南線に面している。
特急サザンは和歌山市駅で加太線と概ね接続しているが、加太行き最終電車の発車時刻が早いことに加え、ラッシュ時には和歌山市駅で加太線との接続がない急行もあること、和歌山市駅を経由するよりも距離的に当駅まで二輪車(駐輪場無料)や自家用車送迎で向かう方が速いことなどから、八幡前駅・中松江駅周辺の住民が利用することも多い。
バス路線
編集- ふじと台バス
東口出発で運行される循環型のコミュニティバス
- 東コース - ふじと台小学校前・パルテノン公園中経由 和歌山大学前駅行
- 南コース - 大学門前経由 和歌山大学前駅行
隣の駅
編集- 括弧内は駅番号を示す。
脚注
編集- ^ a b c d e “和歌山大学前駅が開業 南海本線 盛り上げに和大生一役” - ニュース和歌山(ニュース和歌山)、2012年4月7日
- ^ a b c d e f g “和大前駅の安全祈る 開業前に修祓式”. - わかやま新報(和歌山新報社)、2012年3月31日
- ^ “和歌山大学前 南海電鉄”. 南海電鉄公式ウェブサイト. 南海電気鉄道. 2024年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月17日閲覧。
- ^ a b c d e “和大新駅 概要決まる ふじと台に小学校新設も” - ニュース和歌山(ニュース和歌山)、2007年1月24日)
- ^ “和歌山大学前 南海電鉄”. 南海電鉄公式ウェブサイト. 南海電気鉄道. 2024年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月17日閲覧。
- ^ a b “南海本線新駅 急行停車、利便性向上 和歌山” - 産経新聞(産経新聞社、2011年11月17日)
- ^ a b 『10月18日(土)から南海本線・空港線のダイヤを変更します 〜関西空港・和歌山市エリアへのアクセスがますます便利になります〜』(PDF)(プレスリリース)南海電気鉄道、2014年9月2日。オリジナルの2020年11月29日時点におけるアーカイブ 。2020年11月29日閲覧。
- ^ a b c 倉沢仁志(2014年10月19日). “特急サザン:和歌山大学前駅に停車 乗降客増加で南海ダイヤ変更”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ^ “16日、イオンモール和歌山オープン 専門店は210店舗” - 紀伊民報(紀伊民報)、2014年3月14日
- ^ “「ニュース和歌山が伝えた半世紀」22 1985年(昭和60年)〝キャンパスらしく〟和大 栄谷に移転 2学部統合し新たな幕開け” - ニュース和歌山(ニュース和歌山)、2014年5月31日
- ^ a b “4月 和歌山大学前駅商業施設も開業” - ニュース和歌山(ニュース和歌山)、2012年1月1日
- ^ a b c “和大新駅 着工祝う 2011年開業へ” - ニュース和歌山(ニュース和歌山)、2007年3月31日
- ^ a b “和歌山大学前駅の開業について” - 市長新春記者会見(和歌山市)、2012年1月12日
- ^ a b “南海和大前駅の増便継続 イオン効果で乗客大幅増” - わかやま新報(和歌山新報社)、2014年5月9日
- ^ 和歌山県総合交通政策課. 和歌山県の交通史(1)(明治~平成5年) (PDF) (Report).
- ^ “和大前新駅の概略設計完了”. ニュース和歌山. (2003年7月26日)
- ^ 『南海電鉄 南海本線・孝子駅~紀ノ川駅間「(仮称)和歌山大学新駅」の駅名が「和歌山大学前」に決定しました』(PDF)(プレスリリース)南海電気鉄道、2010年9月9日。オリジナルの2011年1月5日時点におけるアーカイブ 。2020年11月29日閲覧。
- ^ a b 『南海電鉄 南海本線・孝子駅〜紀ノ川駅間の新駅「和歌山大学前」駅が4月1日(日)に開業 快適にご利用いただける駅を目指します』(PDF)(プレスリリース)南海電気鉄道、2011年11月16日。オリジナルの2011年11月25日時点におけるアーカイブ 。2020年11月29日閲覧。
- ^ “最新情報|ふじと台ステーションビル”. ユニオン開発株式会社. 2012年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月4日閲覧。
- ^ a b “和歌山大学前駅と自由通路・駅前広場”. 和歌山市都市整備課. 2014年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月22日閲覧。
- ^ “和歌山大学前駅 立体構内図”. 南海電気鉄道. 2023年6月11日閲覧。
- ^ ハンドブック南海2024 鉄道事業 (PDF)
- ^ a b 平成26年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ 平成26年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ ハンドブック南海2014 鉄道事業 (PDF)
- ^ 平成27年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ 平成28年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ 平成29年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ 令和元年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ 令和2年度和歌山県公共交通機関等資料集 (PDF)
- ^ ハンドブック南海2022年度版 (PDF)
- ^ ハンドブック南海2023年度版 (PDF)
- ^ ハンドブック南海2024年度版 (PDF)
- ^ “特急サザン、終日停車で式典 和歌山大学前駅” - 朝日新聞、2014年10月19日
- ^ “「ニュース和歌山が伝えた半世紀」22 1985年(昭和60年)〝キャンパスらしく〟和大 栄谷に移転 2学部統合し新たな幕開け” - ニュース和歌山(ニュース和歌山)、2014年5月31日
- ^ “18年ぶりの新設校、藤戸台小学校が開校” - わかやま新報(和歌山新報社)、2011年3月29日
- ^ “ふじと台の駅ビル「エスタシオン」完成式典” - わかやま新報(和歌山新報社)、2012年9月16日
- ^ “待望のふじと台郵便局 駅ビル内に誕生” - わかやま新報(和歌山新報社)、2015年3月17日
- ^ “イオンオープン 開店前に6600人詰め掛け” - わかやま新報(和歌山新報社)、2014年3月17日
- ^ “ふじと台に新交番完成 4月から業務開始” - わかやま新報(和歌山新報社)、2016年3月30日
- ^ “「和歌山大学前駅東口」の系統・行先一覧”. 和歌山バス. 2012年3月27日閲覧。
- ^ “「和歌山大学前駅西口」の系統・行先一覧”. 和歌山バス. 2012年3月27日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 和歌山大学前駅 - 南海電気鉄道
- 和歌山大学前駅の紹介 - ウェイバックマシン(2022年8月27日アーカイブ分) - 和歌山大学