司教枢機卿
司教枢機卿(しきょうすうききょう、羅: cardinalis episcopus、英: Cardinal bishop)はカトリック教会の高位聖職者である枢機卿の位階の一つで、教皇に継ぐ最高位の位階及び称号。その下に司祭枢機卿、助祭枢機卿が位置付けられている。 教会法用語で司教職階ともいう。
定義と歴史
編集もともと司教枢機卿という語は、ローマ教区に属する6つの周辺教区の司教たちに与えられた称号であった。枢機卿団の長たる首席枢機卿もこの6人の中から選ばれるのが通例である。1965年のパウロ6世の自発教令「アド・プルプラトールム・パトルム」によって、東方典礼カトリック教会の総大司教たちにも先述の6人の司教に継ぐ地位としての司教枢機卿の称号が与えられた。なお、この自発教令に先立つこと3年の1962年に、ヨハネ23世が名義司教をいただく6つのローマ周辺教区を改めて指定している。
首席枢機卿が司教枢機卿から選ばれるのは変わらないが、現在では枢機卿としての経歴が一番長い人物がつとめることが多い。リスボンとヴェネツィアの総大司教も、通常は司教職叙任とともに枢機卿位の親任を受けるが、司教枢機卿ではなく、司祭枢機卿の地位におかれる。
かつては司教でない司祭枢機卿や助祭枢機卿が司教枢機卿にあげられるときには、必ず司教叙階を受けていた時代もあったが、1962年以降、枢機卿は基本的に司教団から選出されている。例外的に司祭から枢機卿団に加わる者に関しては司教叙階を辞退することも可能だが、司教枢機卿としては不適格ということになる。
19世紀の終わりまで、司祭枢機卿として長く務めたものが司教枢機卿の欠員を埋めることが慣例であった。これは現代ではなくなったが、助祭枢機卿として10年を務めると司祭枢機卿に昇格する習慣はまだ残っている。現代では司教枢機卿は教皇の任命によって枢機卿団の中から選ばれている。東方典礼の総大司教たちをのぞけば、枢機卿団に新しく加わるものがいきなり司教枢機卿の称号を受けることはない。司教枢機卿に任命されるのは、教皇の信頼が厚く、指導力が評価されている人々ばかりである。
現在の構成員たち
編集2023年現在の首席枢機卿は、名誉司教省長官のジョバンニ・バッティスタ・レ枢機卿である。さらに
- 序列3位のフランシス・アリンゼ名誉典礼秘跡省長官
- 序列4位のタルチジオ・ベルトーネ名誉国務省長官・名誉カメルレンゴ
- 序列5位のジョゼ・サライバ・マルティンス名誉列聖省長官
- 序列9位のベニアミーノ・ステラ名誉聖職者省長官
の4名を加えた以上の5人(全員が80歳以上で教皇選挙権喪失)が指定されたローマ周辺教区を名義教区に持つ本来の司教枢機卿である。さらに、2018年6月28日以降に追加任命された5名[1]
- 次席枢機卿のレオナルド・サンドリ名誉東方教会省長官
- 序列6位のピエトロ・パロリン国務省長官
- 序列7位のマーク・ウエレット司教省長官
- 序列8位のフェルナンド・フィローニ聖墳墓騎士団団長
- 序列10位のルイス・アントニオ・タグレ福音宣教省長官
のラテン典礼の合計10名と、東方典礼カトリック教会の2人(マロン典礼カトリック教会のライ総大司教、カルデア典礼カトリック教会のサコ総大司教)が、2023年11月現在の司教枢機卿たちである。 なお首席・次席枢機卿はラテン典礼の枢機卿の中から選ばれる。
本来であればラテン典礼出身者の定数は6だが、現任者全員が長命で2014年までに80歳を超えてしまい、コンクラーヴェにおける役割に支障が生じている状況であった。かといって彼ら6名を辞めさせるわけにも行かなかったためか、増員任命が行われることとなったようである。なお、上記増員任命の5名の名義教会は既存のままで変更されていない[1]。
なお前教皇ベネディクト16世も1993年から教皇に選出される2005年4月まで務め、最後の2年半は首席枢機卿を務めていた。
脚注
編集- ^ a b “Pope Francis adds four new 'cardinal bishops' to the College of Cardinals” (英語). Crux. (2018年6月26日) 2018年9月28日閲覧。