原子核反応
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原子核物理学における
核反応においては、電荷、質量数、全エネルギー、全運動量が保存される。
核反応を表す式
編集核反応は次の様な記号で表される。すなわち、代数的に、原子核 A (標的核)と粒子 a (入射粒子)が衝突して、原子核 B (反跳核または残留核[4])と粒子 b (放出粒子)が発生するとき、これを
- A (a, b) B
と書き (a, b) 反応と呼ぶ。
たとえば、具体的な記述として 7Li (p, γ) 8Be というものがあれば、これは
という核反応を表しており (p, γ) 反応または陽子−ガンマ反応と呼ぶ、というように用いる。
他にも例えばラザフォードが1919年に発見した窒素14にアルファ線を当てると陽子を放出して酸素17になるという反応は
と記述できる。
複合核モデルによる解釈
編集入射粒子の運動エネルギーが標的核の核子ひとつあたりの平均の相互作用エネルギーよりも小さいとき、入射粒子は標的核である原子核全体と相互作用するものとみなすことができる。この場合、この核反応の仕組みは、複合核モデル(compound-nucleus model)と呼ばれるモデルを用いることで物理的に解釈することができる。この複合核モデルは、ニールス・ボーアによって、またそれと独立にグレゴリー・ブライトとユージン・ウィグナーによって導入された[5]。
このモデルに従う場合、核反応は次の二段階に渡って発生すると考えることになる。
- (標的核) + (入射粒子) → (複合核) :複合核を形作る過程
- (複合核) → (反跳核) + (放出粒子) :複合核が壊れる過程
原子核反応の応用
編集脚注
編集- ^ 入射粒子としては原子核、核子(陽子、中性子)など様々なものがある。
- ^ ただし、原子核の転換を伴う場合に限定することが多い。
用語辞典(1974) p.52 『核反応』 - ^ 弾性散乱、非弾性散乱の二つに分けられるが、弾性散乱は省かれることもある、といわれる。
- ^ 核反応によって放出された粒子を放出粒子(ほうしゅつりゅうし、emitted particle)と呼ぶが、放出粒子を放った後に残った原子核で、軽いもので反跳するようなものを反跳核(はんちょうかく、recoil neucleus)、また重いものを残留核(ざんりゅうかく、residual nucleus)と呼ぶ。用語辞典(1974) 該当項目
- ^ グラストン(1955) p.15
参考文献
編集- S.グラストン, M. C. エドランド 著、伏見康治, 大塚 益比古(共訳) 編『原子炉の理論』1955年。
- 原子力用語研究会(編) 編『図解 原子力用語辞典』(新版)日刊工業新聞社、1974年。