単結晶状高純度無酸素銅
単結晶状高純度無酸素銅(たんけっしょうじょうこうじゅんどむさんそどう)とは、音響製品(スピーカーケーブル、ラインケーブルなどの機器間接続)用途を目的として開発され、かつて製造されていた無酸素銅延伸材。 一方向結晶無酸素銅(いちほうこうせいけっしょうむさんそどう)ともいう[1] 。
英語表記・略称はPCOCC (Pure Copper by Ohno Continuous Casting process) で[2]、「大野式(加熱鋳型による)連続鋳造法で作られた単一結晶」の意味となる。"Ohno"は、PCOCCの製法を開発した大野篤美の名に由来する[3]。
概要
編集1986年に古河電気工業が開発。OCC製法で製造された銅線は、結晶構造が単一化(結晶の長さが約100mにもなる)されており、不純物が入り込めるような結晶粒界がないため、高い純度と導電特性を実現でき、オーディオ用途として最適な電線素材とされる[3]。ただし、純度については表立って公表されていない[4]。さらに(製品によっては)アニール処理(焼鈍)される場合もある(その場合は"PCOCC-A"と呼ばれる[3])。
製造した素線はオーディオテクニカ、サエク、オヤイデ電気などのオーディオケーブルメーカーへ供給され[3]、製品に加工される。
古河電気工業は、2013年3月に、据置き型オーディオの斜陽化によりオーディオ用銅線材の売り上げが低迷し、市場の回復が期待できないとしてPCOCC線材の製造を取り止めると発表。8月に製造を停止し、年内に販売を終えるとした[5]。
製造中止の反響は大きく、程なく代替製品開発が模索され、2014年に古河電気工業の子会社であるFCMがPCOCCの代替素材として"PC-Triple C"を開発したと発表[6][1]。同様にオヤイデ電気が自社開発した導体"102 SSC"を発表した[7]。
脚註
編集- ^ a b “PCOCCの穴を埋める高音質ケーブル素材、「PC-Triple C」登場”. ITmedia (2014年1月22日). 2018年10月16日閲覧。
- ^ “ケーブルブランド探訪記(オーディオテクニカ編 その34)”. 音元出版 (2001年11月15日). 2020年8月27日閲覧。
- ^ a b c d “[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第40回】PCOCC製造中止でこれからどうなる? ケーブルメーカー3社に突撃取材!”. 音元出版 (2013年3月29日). 2018年10月16日閲覧。
- ^ オヤイデ電気のオーディオみじんこブログ: 「オーディオ絶対領域」にPCOCC-A製造中止についてのオヤイデ電気取材記事掲載。(2013年3月31日付)
- ^ 古河電工、高級オーディオ用銅線の生産中止 - SankeiBiz(2013年3月4日付 産経デジタル)
- ^ 杉浦みな子 (2014年1月23日). ““待望の新素材”開発の裏側に迫る PCOCCを超える? 注目の新銅素材「PC-Triple C」開発者インタビュー”. 音元出版. 2020年8月27日閲覧。
- ^ 密封で高鮮度、精度と撚りを追求。PCOCCに代わる異例づくめのケーブル導体「102 SSC」とは? - AV Watch(2014年12月2日付 インプレス)