南部大膳大夫分国之内諸城破却共書上
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『南部大膳大夫分国之内諸城破却共書上』(なんぶだいぜんのだいぶ ぶんこくのうち しょじょうはきゃくともかきあげ)は、1592年にあたる天正20年に作成された、陸奥国・南部藩領における城郭の破却(破城)に関する上申文書(書上)である。
概要
編集天正18年(1590年)7月、奥州仕置において豊臣秀吉より南部信直へ所領安堵の朱印状[1]が交付された。その中に「家中の者ども、相抱え侯諸城、悉く破却し、則ち其の妻子は三戸へ引寄せ、召し連れ可き事」という厳命があった。それに応じて南部領内諸城のうち12城を在置し36城を破却[2]したと申告した天正20年(1592年)6月11日付の目録を指す。
諸城破却書上
編集南部之内稗貫郡 | 鳥谷崎 | 平城 | 南部 主馬助 持分 | ||
南部之内和賀郡 | 鬼 柳 | 平城 | 破 | 南部主馬助持分 | 代官 鬼柳 源四郎 |
同 | 二 子 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 川村 左衛門四郎 |
同 | 岩 崎 | 山城 | 破 | 信直抱 | 代官 藤 四郎 |
同 | 江釣子 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 川村 与三郎 |
同 | 安 俵 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 中野 修理 |
稗貫郡之内 | 十二丁目 | 平城 | 破 | 寺前 縫殿助 持分 | |
同 | 寺 林 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 左 平治 |
同 | 新 堀 | 山城 | 江刺 兵庫 持分 | ||
同 | 大 迫 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 九丁目町 十郎兵衛 |
志和郡之内 | 片 寄 | 山城 | 中野 修理 持分 | ||
同 | 肥 爪 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 川村 中務 |
同 | 見 舞 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 日戸 中務 |
同 | 長 岡 | 平城 | 南部 東膳助 持分 | ||
同 | 乙 部 | 平城 | 破 | 福士 右衛門 持分 | |
岩手郡之内 | 不来方 | 平城 | 福士 彦三郎 持分 | ||
同 | 厨 川 | 平城 | 破 | 工藤 兵部少輔 持分 | |
同 | 下 田 | 平城 | 破 | 川村 中務 持分 | |
同 | 沼宮内 | 山城 | 破 | 川村 治部少輔 持分 | |
同 | 滴 石 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 八日町 太郎兵衛 |
同 | 一方井 | 山城 | 破 | 阿保 孫三郎 持分 | |
糠部郡之内 | 姉 帯 | 山城 | 破 | 野田 甚五郎 持分 | |
同 | 一 戸 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 石井 信助 |
同 | 葛 巻 | 山城 | 破 | 工藤 掃部助 持分 | |
閉伊郡之内 | 増 沢 | 山城 | 浅沼 忠次郎 持分 | ||
同 | 横 田 | 山城 | 破 | 信直抱 | 代官 九戸 左馬助 |
同 | 板 沢 | 山城 | 破 | 浅沼 藤次郎 持分 | |
同 | 千 徳 | 山城 | 破 | 一戸 孫三郎 持分 | |
同 | 田 鎖 | 山城 | 破 | 佐々木 十郎左衛門 持分 | |
糠部郡之内 | 野 田 | 山城 | 破 | 一戸 掃部助 持分 | |
同 | 久 慈 | 山城 | 破 | 信直抱 | 代官 久慈 修理 |
同 | 種 市 | 山城 | 破 | 久慈 孫三郎 持分 | |
同 | 古軽米 | 山城 | 破 | 小軽米左衛門佐 持分 | |
同 | 金田一 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 上村 杢之丞 |
同 | 三 戸 | 平城 | 信直 留守居甲斐守 | ||
同 | 名久井 | 平城 | 南部 中務 持分 | ||
同 | 劔 吉 | 平城 | 南部 左衛門尉 持分 | ||
同 | 毛馬内 | 山城 | 南部 大学 持分 | ||
同 | 花 輪 | 山城 | 大光寺 左衛門佐 持分 | ||
同 | 浄法寺 | 山城 | 畠山 修理 持分 | ||
同 | 櫛 引 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 桜庭 将監 |
同 | 八 戸 | 平城 | 破 | 南部 彦次郎 持分 | |
同 | 中 市 | 平城 | 破 | 小笠原 弥九郎 持分 | |
同 | 新井田 | 平城 | 破 | 南部 彦七郎 持分 | |
同 | 沢 田 | 平城 | 破 | 恵比奈 左近 持分 | |
同 | 洞 内 | 平城 | 破 | 佐藤 将監 持分 | |
同 | 七 戸 | 平城 | 破 | 信直抱 | 代官 横沢 左近 |
同 | 野辺地 | 山城 | 七戸 将監 持分 |
脚注
編集- ^ (近世こもんじょ館)「南部大膳大夫分国之内諸城破却共書上之事」の作成とその歴史的背景について 1
- ^ 12城を存置したと史料に記載されているものの、複数存在する写本によって記載されている城郭数が一致しない。
参考文献
編集- 『岩手県史 第三巻 中世篇 下』岩手県、1961年10月20日。