南国そだち
南国そだち(なんごくそだち)は、2005年(平成17年)に高知県農業技術センターで育成されたイネ(稲)の品種[1][2]。「高系265」を花粉親、「高育30号」を種子親とする交配によって育成された[1][2][3]。低アミロース米の一つ[1]。品種名は、南国の太陽の恵みを受けた美味しい米をイメージして命名された[1]。
南国そだち | |
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属 | イネ属 Oryza |
種 | イネ O. sativa |
交配 | 高育30号×高系265 |
亜種 | ジャポニカ O. s. subsp. japonica |
品種 | 南国そだち |
開発 | 高知県農業技術センター |
概要
編集熟期は高知県においては極早生で、「とさぴか」、「ナツヒカリ」の中間熟期である[2][3]。高知県内で最初に収穫される品種となっている[1]。2005年(平成17年)に高知県の奨励品種となった[1]。
特性
編集栽培適地は高知県内平坦部の極早生水稲栽培地域である[2][3]。
育成地での4月中旬移植栽培において、「とさぴか」と比較すると、出穂期は1週間程度遅いが、登熟日数が短いため成熟期は2日程度の遅れとなり、「とさぴか」、「ナツヒカリ」の中間熟期となる。従って、4月中旬に移植しても7月25日以前に収穫が可能である[3]。
「とさぴか」より稈長は8cm程度長く、穂長もやや長い。耐倒伏性は「とさぴか」と同程度で強い。穂数は「とさぴか」と同程度で、草型は「穂数型」を示す[2][3]。
収量比率は「とさぴか」比106%と高い。玄米千粒重は22.5gと「とさぴか」より重く、玄米の形状はやや丸みを帯びる。高温登熟性は「中」で、白未熟粒の発生がやや多いが、総合的な外観品質はやや優れる。障害型耐冷性は「極強」と優れ、不稔の発生が少ない[2][3]。
来歴
編集米の販売環境の激変により、高知県の早場米は8月早々に出荷しなければ有利販売が望めない状況となっていた[2]。
このため、7月中に安定出荷できる極早生品種育成への要望が極めて高いが、極早生水稲では、早生水稲に比べ登熟期間が低温で経過するため、低温によってアミロース含有率が高まり、食味が低下する傾向にある[2]。
そこで、低温登熟条件下でもアミロース含有率が低く、良食味となる極早生の低アミロース性新品種を育成する目的で「南国そだち」は開発された[2]。
育成経過
編集1998年に「高育30号」を母本、「高系265」を父本として交配が行われた。その後、F1世代で葯培養を行い系統を固定した[2][3]。
その後、2002年に「高育68号」の地方系統名が付された[4]。
脚注
編集参考文献
編集- 日本食糧新聞社 編『全国お米のこだわり銘柄事典』日本食糧新聞社、2018年4月18日。ISBN 9784889272666。