十市遠長
十市 遠長(とおち とおなが)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。大和国十市城主。官位は常陸介。
時代 | 戦国時代 - 安土桃山時代 |
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生誕 | 不明 |
死没 | 文禄2年9月18日(1593年10月12日) |
官位 | 常陸介 |
主君 | 織田信長→筒井順慶→豊臣秀長 |
氏族 | 十市氏 |
略歴
編集永禄12年(1569年)に遠勝が死去すると、十市氏を代表する立場となり[2]、遠勝の代に引き続き松永久秀に従った[2]。元亀2年(1571年)8月、松永氏と敵対する筒井氏方の箸尾氏・越智氏により十市郷を侵害され、12月には筒井順慶に十市城を包囲された[3]。
この頃、十市氏は十市後室(遠勝の妻)方と遠長方とに分かれて対立していたらしく、元亀3年(1572年)3月、両者は和睦した[4][注釈 1]。
元亀3年(1572年)に松永久秀が織田信長と敵対すると、遠長は松永方から離れたとみられる[4]。翌天正元年(1573年)、久秀が信長に降り[7]、天正2年(1574年)、筒井順慶も岐阜に赴き信長と関係を深めている[8]。同年2月、遠長は九条城(奈良県天理市)を攻略[9]。次いで内膳城(橿原市)を攻め、城主・藤田左近を討ち取っている[9]。3月には多聞山城に入った柴田勝家とともに上洛し、信長に拝謁した[10]。同年11月、森屋氏・筒井氏との三家同盟を成立させる[11]。
天正3年(1575年)3月、塙直政が大和守護に任じられたが[12]、翌4月、十市郷は直政・松永久通・十市氏で三分割され[13]、十市氏分は遠長と十市後室で半分ずつ知行することになる[14]。同年7月、松永久通とおなへ(遠勝の娘)が婚儀を挙げ、11月、久通は十市城の遠長を攻めた[15]。翌天正4年(1576年)3月、久通に再び攻められ十市城は開城し、遠長は河内国へと逃れた[16]。
遠長の消息はこれからしばらく見えないが、天正8年(1580年)11月に奈良にいることが『多聞院日記』から分かる[4]。天正9年(1581年)には信長による伊賀攻めに加わり、筒井順慶のもとで活躍した(天正伊賀の乱)[17][注釈 2]。天正10月(1582年)には甲州征伐に従軍した[4]。
天正13年(1585年)閏8月に筒井定次が伊賀へと転封になるとこれには従わず[17]、郡山城に入った羽柴秀長に仕えたとみられる[4]。
この後、天正14年(1586年)10月の「十市郷侍衆払[19]」により十市郷を追われ、伊予に渡ったと考えられる[17]。その後、伊予で病を患い、文禄2年(1593年)9月18日に死去した[20][17][注釈 3]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 朝倉 1993, p. 379; 谷口 2010, p. 297.
- ^ a b c 谷口 2010, p. 297.
- ^ 朝倉 1993, p. 381; 谷口 2010, p. 297.
- ^ a b c d e f 谷口 2010, p. 298.
- ^ 朝倉 1993, pp. 379–381.
- ^ a b 朝倉 1993, p. 379.
- ^ 朝倉 1993, p. 381; 天野 2018, p. 256; 金松 2019, pp. 50–51.
- ^ 朝倉 1993, p. 381; 金松 2019, p. 51.
- ^ a b 朝倉 1993, pp. 381–382; 谷口 2010, p. 298.
- ^ 朝倉 1993, p. 382; 谷口 2010, p. 298.
- ^ 金松 2019, p. 53.
- ^ 朝倉 1993, p. 382; 谷口 2010, p. 377; 天野 2018, p. 258.
- ^ 朝倉 1993, p. 382; 谷口 2010, p. 298; 天野 2018, p. 259.
- ^ 朝倉 1993, p. 382; 天野 2018, p. 259.
- ^ 朝倉 1993, p. 382; 谷口 2010, p. 298; 天野 2018, p. 259; 金松 2019, p. 56.
- ^ 朝倉 1993, p. 383; 谷口 2010, p. 298; 天野 2018, p. 260; 金松 2019, p. 56.
- ^ a b c d 朝倉 1993, p. 384.
- ^ 『多聞院日記 第3巻(巻24-巻31)』三教書院、1936年、175頁。
- ^ 『多聞院日記』天正14年10月21日条(『多聞院日記 第4巻(巻32-巻40)』三教書院、1938年、45頁)。
- ^ 『多聞院日記』文禄2年12月21日条(『多聞院日記 第4巻(巻32-巻40)』三教書院、1938年、432頁)。
参考文献
編集- 朝倉弘『奈良県史 第十一巻 大和武士』名著出版、1993年。ISBN 4-626-01461-5。
- 天野忠幸『松永久秀と下剋上 室町の身分秩序を覆す』平凡社〈中世から近世へ〉、2018年。ISBN 978-4-582-47739-9。
- 金松誠『筒井順慶』戎光祥出版〈シリーズ・実像に迫る019〉、2019年。ISBN 978-4-86403-314-5。
- 谷口克広『織田信長家臣人名辞典 第2版』吉川弘文館、2010年。ISBN 978-4-642-01457-1。