化物年中行状記
十返舎一九による黄表紙
『化物年中行状記』(ばけものねんじゅうぎょうじょうき)は、1796年(寛政8年)蔦屋重三郎(耕書堂)から出版された、十返舎一九の作(画も一九の筆)による黄表紙である。十返舎一九が妖怪を取扱った草双紙作品の最も初期のものの一つである[1]。
概要
編集人間世界の年中行事と似ているが価値観の違いによって内容が変わっていたりする妖怪(ばけもの)世界の様子という設定で、行事ごとに場面を区切って描写している。内容の錯誤や変転が主な笑いの要素である。
世界観
編集冒頭には「人を脅すのなんのといふ事はなく、とんと別に世界をたてて、おのれおのれが家業を大切に勤め、おとなしく暮らしける。」という世界設定が描かれており、人間たちの世界とは別の世界であるということが明確にされている[2]。
脚注
編集- ^ 『江戸化物草紙』、21頁。
- ^ 『江戸滑稽化物尽くし』、140-141頁。
参考文献
編集- 『江戸化物草紙』アダム・カバット校注・編、小学館、1999年2月。ISBN 978-4-09-362111-3。
- アダム・カバット『江戸滑稽化物尽くし』講談社〈講談社学術文庫 2068〉、2011年8月。ISBN 978-4-06-292068-1。