大原記念労働科学研究所
公益財団法人大原記念労働科学研究所(こうえきざいだんほうじん おおはらきねんろうどうかがくけんきゅうじょ)は、労働者の労働条件・労働環境改善の研究を行っている研究機関。2021年で創立100年を迎えた。元文部科学省所管。
公益財団法人大原記念労働科学研究所 | |
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研究拠点が置かれている桜美林大学新宿キャンパス(新宿区百人町) | |
正式名称 | 公益財団法人大原記念労働科学研究所 |
英語名称 | The Ohara Memorial Institute for Science of Labour |
略称 | 労研、ISL |
所在地 |
日本 〒151-0051(本部) 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-1-12 桜美林大学内3F |
法人番号 | 2020005010305 |
所長 | 坂本恒夫 |
理事長 | 濱野潤 |
設立年月日 | 1945年11月30日(法人設立) |
前身 |
倉敷労働科学研究所 (1921年設立) |
設立者 | 大原孫三郎 |
拠点 |
〒169-0073 東京都新宿区百人町3-23-1 桜美林大学新宿キャンパス1F 共同研究センター内 |
発行雑誌 |
『労働科学』(機関誌) 『労働の科学』(月刊誌) |
公式サイト | 公益財団法人 大原記念労働科学研究所 |
概要
編集産業界の健全な発展、働くすべての人の安全と健康、働きがいのある人間らしい仕事を支える学術・技術応用分野におけるニーズを的確にとらえようと試み、基礎データづくり、問題解決のための方法とツールの開発・提供を継続して行い、安全・安心で、豊かな労働生活づくりへ貢献している。
沿革
編集倉敷紡績社長の大原孫三郎が、大原社会問題研究所員の暉峻義等の助言により同所の労働衛生部門を独立させ、1921年7月に岡山県都窪郡万寿村の倉敷紡績万寿工場内に「倉敷労働科学研究所」として設立したのが始まりである[1]。大原は私財を投じて大原社研のほか大原農業研究所や、倉敷中央病院、石井記念愛染園などを設立するほか、石井十次の岡山孤児院を支援した慈善活動家でもあった。
研究所はその後、倉紡から独立して東京に移転し財団法人日本労働科学研究所と改称、さらに第二次世界大戦中には大日本産業報国会の管轄となり、戦後に労働科学研究所に改称して神奈川県川崎市菅生に移転した。そして現在に至るまで各産業界や個人の支持を得て、独立した民間研究機関として研究活動を継続している。
2012年4月1日、公益財団法人へと移行した。
活動
編集研究分野は、医学、心理学、工学、社会科学などの多岐に渡り、それぞれを専門とする研究者が共同で研究、その成果を機関誌『労働科学』、『労働の科学』やハンドブックなどとして発表している。 世界中には労働安全衛生に関する研究所や関連機関が数多く存在するが(米国NIOSH/OSHA、欧州EU-OSHA、フィンランドFIOH、日本J-NIOSH/厚労省等)、その多くは公的機関であり、当該分野における民間の研究機関は世界的にもほとんどない。民間研究所として維持されているのは、労働科学研究所の設立趣旨に賛同し、支援を続けている維持会員企業と個人会員の見識の高さ、設立90年以上を経てもなお、時代のニーズに合わせて研究活動を続けている研究者らの努力によるものといえる。
2008年には法政大学大原社会問題研究所、倉敷中央病院、大原美術館、岡山大学資源植物科学研究所(旧大原農業研究所)、公益財団法人有隣会とともに大原ネットワークを結成し、大原孫三郎に関する情報共有と相互の活動支援を行っている[2]。
2011年11月18日には、創立90周年記念特別企画「発展する労働科学と社会貢献」が霞が関ビル35階東海大学校友会館で行われた*創立90周年記念特別企画(秋期)。
組織
編集- 設立:1921年(大正10年)7月1日
- 研究者数:常勤13名(2015年現在)非常勤・嘱託87名
労働科学研究所維持会
編集労働科学研究所を支えている企業や個人は労働科学研究所維持会に所属し、年会費を支払うことで労働科学研究所が行うセミナーが無料で受講できるほか、雑誌「労働の科学」、学術誌「労働科学」が無料で送付され、ほか産業安全保健に関する最新の情報を維持会員間で共有することができる。
脚注
編集関連項目
編集- 労研饅頭 - 労研が開発(アレンジ)した饅頭。戦前は岡山や京阪神などの業者を中心に全国で広く製造、販売されていた。元来は、当時の過酷な労働環境に置かれた工場労働者が、手を汚すことなく、勤務の合間に栄養を補給することができる食品として開発したもの。
- 産業安全保健エキスパート養成コース - 労働科学研究所が提供する社会人向け再教育コース。本コースは、安全管理、衛生管理の経験者を対象に体系的な再教育を行うことで、これまでに培ってきた経験知と先端的な知識との融合を図り、個々のコンピテンシーとマネジメント水準を向上させることを目的としている。競争的研究資金としての文部省科学技術振興調整費(新興分野人材養成)に基づく委託を受けて、平成17年から平成21年までの5年間にわたり実施されている。平成20年3月までに第1期~第5期まで開催され、これまで受講者108名が修了している。受講を通じ、すでに実務経験のある安全管理、衛生管理の実務者が、コンプライアンス概念の深い理解を促し、それを基盤に経営トップへ進言する力をつけるコースとしても評価が高い。
- REAL - REAL(Roken Ergonomic Assessment & Learning)は労働者の安全保健に関連した人間工学的な製品評価と職場の改善を主眼とした財団法人労働科学研究所エルゴノミクス研究センターの新規事業である。平成21年4月より事業を開始している。労働科学研究所がこれまで培ってきた知見とノウハウに基づいた社会貢献を図るため、現場志向の人間工学的研究の方法論や成果を体系的に整理し、サービスの提供方法が体系化された外部研究・コンサルタント事業ともいえる。REALは「製品評価」と「職場診断」の2つの分野から、エルゴノミック・アセスメント(人間工学的評価)を実施すると共に、企業における当該製品および生産プロセス等に関連する人材育成(ラーニング)を支援する。REALは、行動観察、生理計測、心理計測、パフォーマンス計測などを適宜組み合わせて「製品の使い方」「働き方」の現実の姿を評価し、製品の改良ポイントやマニュアルの改良、職場の環境・レイアウトや作業方法の改善などを提案している。