俺節
土田世紀の漫画
『俺節』(おれぶし)は、土田世紀の漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で1991年から1993年にかけて連載された。単行本は小学館ビッグコミックスで全9巻刊行され(のちに絶版)、その後、太田出版より『定本 俺節』(全3巻)として刊行された。
俺節 | |
---|---|
ジャンル | 音楽漫画・青年漫画 |
漫画 | |
作者 | 土田世紀 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | ビッグコミックスピリッツ |
レーベル | ビッグコミックス |
発表期間 | 1991年 - 1993年 |
巻数 | 全9巻 |
テンプレート - ノート |
2017年に舞台化作品が上演(後述)。
あらすじ
編集卒業を間近に控えた津軽の高校生・海鹿耕治が、単身上京して演歌歌手を目指す物語。実在の歌手や歌が多用されているのが特徴である。
主な登場人物
編集※ 演は舞台版のキャスト。
- 海鹿 耕治(あしか こうじ)
- 演 - 安田章大[1]
- 主人公。津軽出身の高校生。祖母と二人暮らしをしていたが、高校卒業間近に、歌手を目指して上京する。常に津軽弁で話す。歌の才能はあるが極度の上がり症のため、人前で歌えなくなることもしばしばある。
- 南風原 太郎(はえばる たろう)
- 演 - 福士誠治[1]
- ギタリスト。沖縄出身のため、周りからは「オキナワ」と呼ばれている。琉球舞踊の芸者をしつつ、体を売る母親と共に、内地を転々とする子供時代を過ごす。その時に伴奏のギターを習得する。北野波平に弟子入り志願をするものの拒否されていたところ、海鹿と出会い意気投合して、ドヤ街「みれん横丁」のアパートで同居することになる。海鹿の歌声に心酔し、コンビでプロを目指す。後に戌亥辰巳によって、海鹿一人だけがプロデビューが決まったことにより自暴自棄になり、麻薬密売に手を染めるが、更生して羽田とコンビを組みデビューすることになる。
- テレサ
- 演 - シャーロット・ケイト・フォックス[1]
- フィリピン人の不法就労者。悪徳ブローカーに騙されて、ストリップ劇場で働いていたが、地方回りに行く直前に海鹿たちの手助けにより脱走し、海鹿と同棲生活を始めるが、その後、入国管理局によって祖国に強制送還される。
- 羽田 清次(はねだ せいじ)
- ロックバンド「ショート・ホープス」のリーダー。デビュー3日前に、流しで歌っていた海鹿の歌に触発されて、ロックから転身して演歌歌手を目指すことになる。
- 北野 波平 (きたの なみへい)
- 演 - 西岡徳馬[1]
- 演歌界の大御所歌手。多くの弟子を持つ。海鹿の憧れの的。
- 大野(おおの)
- 演 - 六角精児[1]
- 新宿を拠点に、ギター1本で夜の盛り場を回る流しの演歌師。北野波平とは青春時代を過ごした仲。海鹿、南風原を弟子にして、デビューするまで面倒を見る(作品内では大野としか呼ばれておらず、フルネームは不明)。
- 今賀 政美(いまが まさみ)
- 演歌界を代表するベテラン作曲家。戦時中に軍歌を作ることを拒否したため、アカと呼ばれて辛酸を舐めた。海鹿のデビュー曲を手掛けていたが、急病で倒れる。海鹿は東京で一人暮らしをしていた今賀の初恋の相手・江刺ソ子を見つけ出し、今賀の臨終を看取らせた。絶筆となった未完の曲「俺節」は北野波平が仕上げ、合作としてクレジットされる。
- 戌亥 辰巳(いぬい たつみ)
- 演 - 中村まこと[1]
- 戌亥企画を営む、フリーの企画プロデューサー。海鹿にレコードデビューの話を持ちかける。後に海鹿は戌亥の事務所に所属して、レコードデビューを果たす。
- 唐名 新政(からな あらまさ)
- 戌亥企画の社員で、海鹿のマネージャー。
- 浜田山 翔(はまだやま しょう)
- ピンチレコードのディレクター。不人気な演歌部門に飛ばされていた。当初は羽田を獲得しようと奮闘するが、海鹿の才能に惚れ込み、デビューを後押しする。
- 寺泊 行代(てらどまり いくよ)
- 演 - 高田聖子[1]
- アイドルグループ「グニャンコクラブ」に所属していた元アイドル。海鹿とのデュエットでレコードを出すことになる。浜田山の元恋人。
- 赤崎 みどり(あかざき みどり)
- 海鹿の高校時代のクラスメイト。海鹿は赤崎に告白してフラれ、それを機に上京することになる。赤崎は高校卒業と同時に上京し、海鹿と再会することになる。
- 朝霧 峰代(あさぎり みねよ)
- 海鹿、南風原、羽田らが学園祭に出演した大学の学生。偶然、言葉を交わすようになった海鹿に惹かれ、学園祭の後もファンとして後を追う。
その他
編集- 海鹿耕治のデビュー曲「俺節」は実際に制作され、小林ひさしの歌でCDが発売された。作詞は土田世紀、作曲・プロデュースは北島三郎(作曲にはペンネームである“原譲二”を使用。なお北島は、コミックス表紙などに使用された『俺節』の題字も手掛けた)、編曲は水谷竜緒(水谷公生)が担当。この「俺節」がデビュー曲となった小林は、同曲のヒットにより1992年度の第30回ゴールデン・アロー賞「音楽新人賞」を受賞した。
- 『古田新太のオールナイトニッポン』(ニッポン放送ほか)には「俺の俺節」というコーナーがあり、リスナーから「俺節」の替え歌を募集した他、小林ひさしも同コーナーにゲスト出演していた。また、『電気グルーヴのオールナイトニッポン』には「マンガ俺節」というコーナーがあった。
単行本
編集- ビッグコミックス(小学館、全9巻。現在は絶版)
- 定本 俺節(太田出版、全3巻。上巻:ISBN 9784778321239、中巻:ISBN 9784778321246、下巻:ISBN 9784778321253。2010年から2011年にかけて刊行。上・中巻の巻末には土田へのメール・インタビュー、下巻の巻末には描きおろしの近況報告漫画を収録)
舞台
編集俺節 | |
---|---|
脚本 | 福原充則 土田世紀(原作) |
初演日 | 2017年5月28日 |
初演場所 | 日本 TBS赤坂ACTシアター |
オリジナル言語 | 日本語 |
公式サイト |
同名タイトルで、2017年5月28日から6月30日にかけて、TBS赤坂ACTシアター及びオリックス劇場にて上演された[1][2][3][4]。作・演出は演出家・福原充則[1][2]。主演は安田章大(関ジャニ∞)[1][2]
本作の開催に伴い、原作漫画の原画展が、2017年5月26日から6月18日にかけて、東京・赤坂サカスのサカス広場内「赤坂ギャラリー」にて無料開催された[5]。
本作以降、主演の安田と脚本・演出の福原のタッグによる舞台作品が複数回上演されており、本作と、2019年上演の『忘れてもらえないの歌』[6]、2022年上演の『閃光ばなし』[7]の3作は、「昭和三部作」と位置づけられた[8]。
上演日程
編集日程[9] | 会場 | |||
---|---|---|---|---|
年 | 月 | 日 | 時間 | |
全34公演 | ||||
東京公演:全25公演 | ||||
2017年 | 5月 | 28日 | 16:00 | TBS赤坂ACTシアター |
29日 | 18:30 | |||
30日 | 13:30 | |||
18:30 | ||||
6月 | 1日 | 13:30 | ||
18:30 | ||||
2日 | 13:30 | |||
3日 | ||||
18:30 | ||||
4日 | 13:30 | |||
5日 | 18:30 | |||
8日 | 13:30 | |||
18:30 | ||||
9日 | 13:30 | |||
10日 | ||||
18:30 | ||||
11日 | 13:30 | |||
12日 | 18:30 | |||
13日 | ||||
15日 | 13:30 | |||
18:30 | ||||
16日 | 13:30 | |||
17日 | ||||
18:30 | ||||
18日 | 13:30 | |||
大阪公演:全9公演 | ||||
2017年 | 6月 | 24日 | 18:30 | オリックス劇場 |
25日 | 13:30 | |||
18:30 | ||||
26日 | 13:30 | |||
27日 | ||||
18:30 | ||||
29日 | 13:30 | |||
18:30 | ||||
30日 | 12:00 |
キャスト
編集→登場人物の詳細については「§ 主な登場人物」を参照
- 海鹿耕治:安田章大[1][2]
- 南風原太郎:福士誠治[1][2]
- テレサ:シャーロット・ケイト・フォックス[1][2]
- 流しの大野:六角精児[1][2]
- 寺泊行代 / マリアン:高田聖子(※1人2役)[1][2]
- エドゥアルダ / 才原 - 桑原裕子(※1人2役)[1][2]
- 戌亥辰巳 / 金村:中村まこと(※1人2役)[1][2]
- 米村主任、助平、幻覚、課長、学生3、盆踊り、引っ越し屋、ファン - 村上航
- 北野波平:西岡徳馬[1][2]
スタッフ
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t “関ジャニ∞安田章大が演歌に挑戦!福原充則演出でマンガ「俺節」舞台化”. ステージナタリー. (2016年12月8日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “関ジャニ安田、舞台『俺節』で演歌歌手役 ヒロインにシャーロット・ケイト・フォックス”. ORICON NEWS. (2016年12月8日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “「俺節」主演の安田章大「もがき苦しんできたことはコージの人生観と近い」”. ステージナタリー. (2017年3月8日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “関ジャニ∞安田章大「俺節」で魂の叫び!「僕の武器はこのカンパニー」”. ステージナタリー. (2017年5月28日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “土田世紀「俺節」原画展、関ジャニ∞安田章大の主演舞台に合わせて開催”. ステージナタリー. (2017年5月24日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “福原充則×安田章大が再タッグ、ジャズを題材にした新作「忘れてもらえないの歌」”. ステージナタリー. (2019年7月8日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “舞台「閃光ばなし」安田章大と黒木華が兄妹に、バイクに乗ったビジュアルも公開”. ステージナタリー. (2022年6月18日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “関ジャニ∞安田章大、黒木華と舞台初共演 昭和を生き抜く兄妹役「彼女となら、おもしろく暴れられる」”. ORICON NEWS. (2022年6月18日) 2022年6月26日閲覧。
- ^ “Concert / Stage 俺節”. Johnny's net. ジャニーズ事務所 (2017年). 2017年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月26日閲覧。
外部リンク
編集- 舞台『俺節』公式サイト - ウェイバックマシン(2017年7月25日アーカイブ分)