伊百六十二型潜水艦
日本の潜水艦の艦級
伊百六十二型潜水艦(いひゃくろくじゅうにがたせんすいかん)は、大日本帝国海軍の潜水艦の艦級。海大IV型(かいおおよんがた[要出典])とも。同型艦3隻。事故沈没1隻、戦没1隻、戦後に処分された艦1隻。
伊162型潜水艦(海大4型) | |
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艦級概観 | |
艦種 | 一等潜水艦 |
艦名 | |
前級 | 伊百五十六型潜水艦(海大3型b) |
次級 | 伊百六十五型潜水艦(海大5型) |
性能諸元 | |
排水量 | 基準:1,635トン 常備:1,720トン 水中:2,300トン |
全長 | 97.70m |
全幅 | 7.80m |
吃水 | 4.83m |
機関 | ラ式2号ディーゼル2基2軸 水上:6,000馬力 水中:1,800馬力 |
速力 | 水上:20.0kt 水中:8.5kt |
航続距離 | 水上:10ktで10,800海里[注釈 1] 水中:3ktで60海里 |
燃料 | 重油:230t |
乗員 | 58名 |
兵装 | 40口径十一年式12cm単装砲1門 留式7.7mm機銃1挺 53cm魚雷発射管 艦首4門、艦尾2門 八九式魚雷14本 Kチューブ(水中聴音機) |
備考 | 安全潜航深度:60m |
概要
編集1923年(大正12年)度計画で建造された12隻の潜水艦のうち最後の3隻。計画番号S28。1929年(昭和4年)から1930年(昭和5年)にかけて竣工した。
前型(海大3型b)との最大の相違は機関をズルツァー式ディーゼルからドイツ・MAN社が設計したラウシェンバッハ式ディーゼルに変更したことである。その他船体の形状に変更はない。ただ大きさが若干(全長で3mほど)小さくなり、魚雷発射管は艦首4門艦尾2門となり2門の減少、魚雷も2本減少し14本となった。また水中速力が0.5ノット速くなり8.5ノットとなった。
戦歴
編集1941年(昭和16年)に伊61が訓練中に沈没した。残った2艦は太平洋戦争中に主に通商破壊に従事、伊164は1942年(昭和17年)に戦没した。伊162は1944年(昭和19年)以降は内地で練習艦となり終戦まで残存、戦後海没処分された。
同型艦
編集1942年(昭和17年)5月20日に改称、艦番に100を加えた。
潜水隊の変遷
編集伊162型は同型艦3隻からなるため、3隻で1個潜水隊を編成した。佐世保鎮守府に配備されたため、佐鎮の固有番号を与えられて第29潜水隊となった。
第二十九潜水隊
編集昭和5年4月24日に佐世保鎮守府籍の伊61・伊62の2隻で編成。その後遅れて竣工した伊64を編入した。昭和16年1月8日に伊61が事故により失われ、残った2隻は太平洋戦争に参加し、マレー作戦に参加した後、主にインド洋で活動したが、戦争初期の昭和17年3月10日に解隊された。
- 1930年(昭和5年)4月24日:伊61、伊62で編成[1][2]。第29潜水隊司令松野省三中佐。第一艦隊第1潜水戦隊。
- 1930年(昭和5年)8月30日:竣工した伊64を編入[1][3]。
- 1931年(昭和6年)11月2日:第29潜水隊司令渡部徳四郎中佐。第二艦隊第2潜水戦隊。
- 1932年(昭和7年)12月1日:第29潜水隊司令佐藤勉中佐。
- 1934年(昭和9年)3月20日:伊64が予備艦となる[3]。
- 1934年(昭和9年)11月1日:第29潜水隊司令中邑元司中佐。
- 1935年(昭和10年)10月21日:伊62が予備艦となる[2]。
- 1935年(昭和10年)11月1日:伊61が予備艦となる[4]。
- 1935年(昭和10年)11月15日:第29潜水隊司令原田覚中佐。
- 1937年(昭和12年)12月1日:第29潜水隊司令三好輝彦中佐。
- 1938年(昭和13年)12月15日:第29潜水隊司令加藤与四郎中佐。
- 1939年(昭和14年)3月1日:伊64が予備艦となる[3]。
- 1939年(昭和14年)11月15日:伊62が予備艦となる[2]。
- 1939年(昭和14年)12月23日:第29潜水隊司令久米幾次中佐。
- 1940年(昭和15年)3月20日:佐世保鎮守府第三予備艦。
- 1940年(昭和15年)11月15日:連合艦隊第5潜水戦隊に編入。
- 1941年(昭和16年)10月1日:第29潜水隊司令玉木留次郎中佐。
- 1941年(昭和16年)10月2日:壱岐水道で伊61事故沈没(久米司令殉職)[1]。
- 1941年(昭和16年)10月31日:伊61(書類上在籍)は第四予備艦となり第29潜水隊から除かれる。1942年(昭和17年)4月1日除籍。
- 1942年(昭和17年)3月10日:解隊。伊62は第28潜水隊に[1]、伊64は第30潜水隊にそれぞれ編入[1]。第28潜水隊については第28潜水隊の項で、第30潜水隊については第30潜水隊の項で記述する。
脚注
編集注釈
編集- ^ もしくは10ktで10,000海里(『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』p57の表より)。
出典
編集参考文献
編集- 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年 ISBN 4-7698-0462-8
- 雑誌「丸」編集部『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集19巻』潜水艦伊号、光人社、1997年。
- 外山操『艦長たちの軍艦史』(光人社、2005年) ISBN 4-7698-1246-9
関連項目
編集外部リンク
編集- ウィキメディア・コモンズには、伊百六十二型潜水艦に関するカテゴリがあります。