二十世紀の十大小説
ウィキペディアの一覧記事
この記事の主題はウィキペディアにおける独立記事作成の目安を満たしていないおそれがあります。 (2014年2月) |
『二十世紀の十大小説』(にじっせいきのじゅうだいしょうせつ)は、文芸評論家・篠田一士の文芸エッセイ。自身の読書経験から「二十世紀文学の一級品」10篇を選び一つ一つ解説したもので、1985年から1988年にかけ『新潮』で連載され、1988年に新潮社で刊行された。題名に関しては篠田は、モームの著書『世界の十大小説』が記憶の隅にあったと述べている。
取り上げられる作品は以下の10作品(掲載順)。著者自身が述べているように、『百年の孤独』以外はすべて1920年代から1930年代に集中している。
掲載順 |
著者 |
作品 |
著者の国籍 |
原典 |
初出 |
---|---|---|---|---|---|
1 | マルセル・プルースト | 失われた時を求めて | フランス | フランス語 | 1913年〜1927年 |
2 | ホルヘ・ルイス・ボルヘス | 伝奇集 | アルゼンチン | スペイン語 | 1944年 |
3 | フランツ・カフカ | 城 | チェコ | ドイツ語 | 1926年 |
4 | 茅盾 | 子夜 | 中国 | 中国語 | 1932年 |
5 | ジョン・ドス・パソス | U.S.A. | アメリカ | 英語 | 1938年 |
6 | ウィリアム・フォークナー | アブサロム、アブサロム! | アメリカ | 英語 | 1936年 |
7 | ガブリエル・ガルシア・マルケス | 百年の孤独 | コロンビア | スペイン語 | 1967年 |
8 | ジェイムズ・ジョイス | ユリシーズ | アイルランド | 英語 | 1922年 |
9 | ロベルト・ムジール | 特性のない男 | オーストリア | ドイツ語 | 1930年〜1932年 |
10 | 島崎藤村 | 夜明け前 | 日本 | 日本語 | 1929年〜1935年 |
モームの『十大小説』とは異なり、作家の伝記にはそれほど重きを置かず、引用を行なった上での作品解説や、著者が作品に触れた当時のエピソード、「十大小説」中のほかの作品との比較、といったことを中心に構成されている。
島崎藤村の『夜明け前』が「近代日本文学の大いなる精神の冒険」の成果であり、プルーストをはじめとする「西洋に対抗しうる文学を創りだした」ことを論じている。
書誌
編集- 篠田一士 『二十世紀の十大小説』(新潮社、1988年/新潮文庫、2000年)文庫解説:池内紀