丹東市
丹東市(たんとう-し)は、中華人民共和国遼寧省南部に位置する地級市。鴨緑江を隔てて朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と接する国境の街である。旧名は安東。朝鮮族が約2万人居住している。中朝貿易最大の物流拠点であり、その7割以上がここを通過すると言われている[1]。
中華人民共和国 遼寧省 丹東市 | |
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鴨緑江断橋と中朝友誼橋 | |
旧称:安東 | |
遼寧省中の丹東市の位置 | |
中心座標 北緯40度07分33.32秒 東経124度22分43.49秒 / 北緯40.1259222度 東経124.3787472度 | |
簡体字 | 丹东 |
繁体字 | 丹東 |
拼音 | Dāndōng |
カタカナ転写 | タントン |
国家 | 中華人民共和国 |
省 | 遼寧 |
行政級別 | 地級市 |
建置 | 1876年 |
改称 | 1965年 |
市党書記 | 葛海鷹 |
市長 | 孫志浩 |
面積 | |
総面積 | 15,030 km² |
人口 | |
総人口(2015) | 241.1 万人 |
人口密度 | 157.7 人/km² |
経済 | |
電話番号 | 0415 |
郵便番号 | 118000 |
ナンバープレート | 遼F |
行政区画代碼 | 210600 |
市樹 | イチョウ(1984年3月) |
市花 | ツツジ(1984年3月) |
公式ウェブサイト: http://www.dandong.gov.cn/ |
地理
編集北は遼寧省本渓市、西は鞍山市・大連市と接し、東は鴨緑江を隔てて北朝鮮新義州特別行政区と対する。鴨緑江には中朝友好橋が架かる。南は西朝鮮湾である。
歴史
編集古代には高句麗の領域であり、唐の高句麗征服後は安東都護府に属した。金代に婆速府路となり、元代にも婆娑府が置かれた。清朝は満洲での漢人入植を禁止する封禁政策を取ったが、1874年に全面的に解禁し、1876年に安東県を設置した。
安東港は1903年に対外開港し、鴨緑江水運の発達により流域の物資集散地として発展した。1931年に満洲事変が勃発すると直ちに日本軍に占領され、満洲国は1934年安東省を新設、安東県を省城とした。1937年安東県は安東市に昇格している。この時代には多数の日本企業が安東に進出した。1945年日本の降伏後は中国共産党軍が接収し、朝鮮戦争(1950年 - 1953年)では中国人民義勇軍の兵站前線となった。1965年安東市は丹東市に改称された。
行政区画
編集3市轄区・2県級市・1自治県を管轄する。
丹東市の地図 |
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年表
編集この節の出典[3]
遼東省安東市
編集- 1949年10月1日 - 中華人民共和国遼東省安東市が発足。金湯区・元宝区・中央区・鎮興区・鎮安区・浪頭区・五龍背区・九連城区が成立。(8区)
- 1950年8月2日 (3区)
- 金湯区が五龍背区に編入。
- 元宝区・中央区・鎮興区が浪頭区に編入。
- 鎮安区が九連城区に編入。
- 1951年9月13日 - 市内行政区域の再編により、一区から八区までの区が成立。(8区)
- 1953年 - 四区の一部が分立し、九区が発足。(9区)
- 1954年6月19日 - 遼東省の分割により、遼寧省安東市となる。
遼寧省安東市
編集- 1954年12月13日 - 一区が金湯区に、二区が元宝区に、三区が中央区に、四区が鎮興区に、五区が鎮安区に、六区が浪頭区に、七区が五龍背区に、八区が九連城区に、九区が湯池区にそれぞれ改称。(9区)
- 1955年9月2日 (7区)
- 鎮安区が五龍背区に編入。
- 中央区が湯池区に編入。
- 1955年5月23日 - 九連城区の一部が安東専区安東県に編入。(7区)
- 1956年6月22日 (5区)
- 九連城区が五龍背区に編入。
- 湯池区が浪頭区に編入。
- 1957年12月3日 (3区)
- 金湯区が元宝区に編入。
- 浪頭区・五龍背区が合併し、郊区が発足。
- 1958年12月20日 - 安東専区安東県・鳳城県・寛甸県・岫巖県を編入。(3区4県)
- 1959年8月2日 - 元宝区の一部が分立し、金湯区が発足。(4区4県)
- 1960年3月29日 - 金湯区が元宝区に編入。(3区4県)
- 1965年1月20日 - 安東市が丹東市に改称。
安東専区
編集- 1955年11月11日 - 荘河県・岫巖県・安東県・寛甸県・鳳城県・桓仁県を編入。安東専区が成立。(6県)
- 1955年5月23日 - 安東市九連城区の一部が安東県に編入。(6県)
- 1956年6月22日 - 本渓市本渓県を編入。(7県)
- 1956年6月30日 - 本渓県が本渓市に編入。(6県)
- 1958年12月20日
- 荘河県が旅大市に編入。
- 安東県・鳳城県・寛甸県・岫巖県が安東市に編入。
- 桓仁県が本渓市に編入。
遼寧省丹東市
編集- 1965年1月20日 - 安東市が丹東市に改称。(3区4県)
- 安東県が東溝県に改称。
- 1965年2月26日 - 鎮興区が振興区に改称。(3区4県)
- 1965年12月27日 - 旅大市荘河県を編入。(3区5県)
- 1966年1月27日 - 本渓市桓仁県を編入。(3区6県)
- 1968年12月26日 (3区4県)
- 荘河県が旅大市に編入。
- 桓仁県が本渓市に編入。
- 1980年3月8日 - 郊区が振安区に改称。(3区4県)
- 1984年11月28日 - 東溝県の一部が振安区に編入。(3区4県)
- 1985年1月17日 (3区2県2自治県)
- 1986年2月24日 - 寛甸県の一部が振安区に編入。(3区2県2自治県)
- 1987年6月20日 - 寛甸県の一部が振安区に編入。(3区2県2自治県)
- 1989年9月7日 - 寛甸県が自治県に移行し、寛甸満族自治県となる。(3区1県3自治県)
- 1992年1月23日 - 岫巖満族自治県が鞍山市に編入。(3区1県2自治県)
- 1993年6月18日 - 東溝県が市制施行し、東港市となる。(3区1市2自治県)
- 1994年3月8日 - 鳳城満族自治県が市制施行し、鳳城市となる。(3区2市1自治県)
- 1999年6月16日 (3区2市1自治県)
- 振安区の一部が元宝区・振興区に分割編入。
- 東港市の一部が振興区に編入。
- 元宝区・鳳城市のそれぞれ一部が振安区に編入。
- 2008年8月14日 - 東港市の一部が振興区に編入。(3区2市1自治県)
住民、少数民族
編集29の民族が存在するが、古くから住んでいる民族は、漢族・満洲族・回族・朝鮮族・モンゴル族・シベ族などである。北朝鮮との国境に位置することから、少数民族の中では朝鮮族の影響が最も強く、標識や、商業用の看板などいたるところに、ハングルが併記されている。また朝鮮料理の店も数多い。朝鮮族の児童が通う民族学校も存在する。 満洲族は、人名、言語、外見、風俗などが多数派の漢族と変わらないため、その存在はほとんど目立たないが、市全体の総人口の30%以上を占めている。また丹東周辺は、満洲族の主要な故地の一つでもある。回族は人口約1.8万人。回族および、イスラム教徒が丹東周辺に流入したのは、明末期から清初期と言われる。回族は飲食業に従事するものが多いため、丹東にはイスラム教徒専門の清真料理店も多く存在する。丹東のモスクは以前は中国寺院風の様式であったが、2004年に老朽化のため取り壊し、新たにアラブ様式の寺院が建てられた。
交通
編集航空
編集丹東中心部より14kmの東港市に丹東浪頭空港があり、1985年4月開港。北京、上海、成都、深圳、三亜などの国内線空路がある。
鉄道
編集市中心に丹東駅があり、瀋陽との間を結ぶ路線がある(瀋丹線)。平壌と北京を結ぶ国際列車K27/28次列車の経路でもある。2011年から丹大都市間鉄道(大連北駅~荘河~東港~丹東)の建設が始まり、2015年12月に開通した。全長は292キロメートルで、設計速度は毎時200キロ[4]。
道路
編集主要道路はG201国道とG304国道。高速道路は瀋陽との間(丹阜高速道路)が2002年に、大連との間(丹大高速道路)が2005年に開通した。丹大高速には、荘河サービスエリアと丹東サービスエリア(丹東東ICと丹東ICの間)がある。
バス
編集大連の凱旋広場(大連駅北口)から高速バスが一日8往復、大連長途汽車総站からミニバスが一日16往復出ている。所要時間は高速バス4時間、ミニバス6時間。瀋陽からは高速バスが一日少なくとも19往復、長春などとの間にバス路線がある。なお、北朝鮮・平壌間に一日一便国際旅客バスが運行しているという。
国境
編集北朝鮮への道路・鉄道:鴨緑江大橋(中朝友誼橋)
2011年から新鴨緑江大橋が建設され、2014年秋に橋と中国側の道路が完成したが、中朝関係の悪化により北朝鮮側の道路が着手されず、完成の目処がたっていない。現在の鴨緑江大橋の下流8キロ、丹東の新開発区浪頭と新義州の南の龍川を結ぶ[5][6][7]。
航路
編集気候
編集丹東 (1971−2000)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | −2.3 (27.9) |
1.1 (34) |
7.2 (45) |
14.6 (58.3) |
20.0 (68) |
24.1 (75.4) |
26.7 (80.1) |
27.8 (82) |
23.8 (74.8) |
16.9 (62.4) |
7.7 (45.9) |
0.1 (32.2) |
14.9 (58.8) |
平均最低気温 °C (°F) | −11.4 (11.5) |
−8.6 (16.5) |
−2.4 (27.7) |
4.1 (39.4) |
10.2 (50.4) |
15.9 (60.6) |
20.3 (68.5) |
20.1 (68.2) |
13.7 (56.7) |
6.3 (43.3) |
−1.2 (29.8) |
−8.3 (17.1) |
4.9 (40.8) |
降水量 mm (inch) | 7.1 (0.28) |
9.5 (0.374) |
18.1 (0.713) |
46.2 (1.819) |
73.1 (2.878) |
107.5 (4.232) |
251.6 (9.906) |
217.8 (8.575) |
104.6 (4.118) |
49.0 (1.929) |
28.4 (1.118) |
12.7 (0.5) |
925.6 (36.441) |
平均降水日数 (≥0.1 mm) | 3.8 | 3.6 | 5.0 | 8.2 | 9.8 | 11.7 | 15.6 | 12.0 | 7.9 | 6.8 | 6.2 | 3.9 | 94.5 |
% 湿度 | 55 | 53 | 60 | 66 | 72 | 82 | 89 | 86 | 78 | 69 | 63 | 59 | 69.3 |
平均月間日照時間 | 195.0 | 199.7 | 228.4 | 234.0 | 243.4 | 212.9 | 159.3 | 199.5 | 225.5 | 215.5 | 171.7 | 174.0 | 2,458.9 |
出典:China Meteorological Administration [8] |
経済
編集丹東新区(新市区)が振興区の浪頭付近に建設されていて、ここに市政府の引っ越しも終わっている。ここは計器計測器産業区・ソフトウェア産業区も建設予定で、丹東浪頭空港へも近く、北朝鮮へ新鴨緑江大橋も建設中で、北朝鮮との共同作業が進む黄金坪にも隣接している。この計画は遼寧省の「五点一線計画」に沿って、さらに下流の東港にある港口工業区へ続いている[9][10]。
農業・漁業
編集工業
編集丹東黄海バスなどの自動車産業・自動車部品産業、計器・計測機製造などが盛んである[11]。
サービス産業
編集市内の鴨緑江公園、虎山長城など、郊外の鳳凰山などへの観光が有名である。中国から北朝鮮への出入国の多くは、丹東市から行なわれている。
観光
編集大学
編集- 遼寧丹東大学
- 丹東広播電視大学
- 遼東学院
- 遼寧機電職業技術学院
- 遼寧地質工程職業技術学院
特産品
編集姉妹都市
編集出典
編集- ^ “北朝鮮が中朝国境の街・丹東に領事事務所―韓国メディア”. Record China. (2009年1月11日) 2009年4月6日閲覧。
- ^ 参考 : Iza
- ^ 辽宁省 - 区划地名网
- ^ 丹大高速鉄道 (中国語)
- ^ 朝鮮新義州と中国丹東を結ぶ新しい鴨緑江大橋が建設開始 (中国語)
- ^ 丹東鴨緑江大橋(百度百科) (中国語)
- ^ 新鴨緑江大橋(互動百科) (中国語)
- ^ “中国地面国际交换站气候标准值月值数据集(1971-2000年)” (Simplified Chinese). China Meteorological Administration. 2009年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月1日閲覧。
- ^ 丹東新城区(別名:国門湾新区) (中国語)
- ^ 丹東新区・港口工業区の地図
- ^ 2011年中国(丹東)国際計器・系測器博覧会) (中国語)
外部リンク
編集中国地名の変遷 | |
建置 | 1876年 |
使用状況 | 丹東市 |
清 | 安東県 |
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中華民国 | 安東県 |
満洲国 | 安東市 |
現代 | 安東市 丹東市(1965年) |