ヴァイオリンソナタ (フランク)

ヴァイオリンソナタ イ長調フランス語Sonata Pour Piano et Violon en La majeurFWV 8は、ベルギー出身の作曲家オルガニストであるセザール・フランクが、1886年に作曲したヴァイオリンピアノのためのソナタ

概要

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フランス系のヴァイオリンソナタの最高傑作といわれ、同郷の後輩であるヴァイオリニストのウジェーヌ・イザイに結婚祝いとして作曲され、献呈された。初演は1886年12月16日にイザイによってブリュッセルで行われた。このソナタはピアノとヴァイオリンの音楽的内容が対等であり、ピアノはヴァイオリンの伴奏ではなく、ヴァイオリンも単なる独奏楽器ではなく、ピアノとヴァイオリンの二重奏曲と呼ぶべき大曲である。

この名作を演奏したいという様々な演奏家たちからのニーズによって、種々の編曲版が愛奏されてきている。アルフレッド・コルトーは全曲をピアノ独奏用に編曲しており[1]、ピアノ4手連弾版も存在する。ほかにフルート編曲版が「フルートソナタ」として、チェロ編曲版は「チェロソナタ」として、頻繁に演奏されている。ピアノパートがオーケストラに編曲されたコンチェルト版(レオニード・コーガンの録音がある)では、フランクの世界が更に壮大に展開されている。

古今東西、名だたるあらゆる演奏家たちがレコーディングを遺しており、数多くの名演に恵まれている。古い時代の名盤として知られているものの1つに、ジャック・ティボー(ヴァイオリン)とアルフレッド・コルトー(ピアノ)によるものがある。

曲の構成

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全4楽章からなり、いくつかの動機を基にして全曲を統一する循環形式(フランクが得意とした作曲技法で、『交響曲 ニ短調』でも用いられている)で作曲されている。

  • 第2楽章 アレグロ
    ニ短調、4分の4拍子、ソナタ形式。
    きわめて情熱的な楽章で、ピアノとヴァイオリンの双方に高度な演奏技術を要する。
  • 第3楽章 幻想的な叙唱:ベン・モデラート
    2分の2拍子。
    「幻想的な叙唱」(Recitativo-Fantasia)と題された、自由な形式による楽章。調性表記は無いが、転調を重ねて最後には嬰ヘ短調で終結する。
  • 第4楽章 アレグレット・ポコ・モッソ
    イ長調、2分の2拍子、ロンドソナタ形式
    ヴァイオリンとピアノのカノン風の楽想による、最後を飾るにふさわしい輝かしいフィナーレである。

外部リンク

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