ロット王
ロット王(あるいはロト王、英語: King Lot, King Loth)は、アーサー王物語に登場する人物。一般的には、「オークニーのロット王」[1]などと表記されることが多い。その他、ロージアン (Lothian)、ノルウェーの王とされることもある。
ウーゼルがイグレーヌと結婚した後、イグレーヌと前夫との間の長女モルゴース(古い版だとアンナ)と結婚した。モルゴースはアーサー王の姉であるから、ロット王はアーサー王に対して義兄にあたる。モルゴースとの間に円卓の騎士として名高いガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガヘリス卿、ガレス卿をもうける[1]。古い版では、モードレッド卿の父親になっていることもある[2]。
モンマスのジェフリーなど古い版によれば、ロジアンの王であったロットは、アーサー王に忠誠を誓い、アーサー王からノルウェー王に封じられている。ブルフィンチ版もこれと同じで、アーサーが王位を得て間もなく、11人の王とともに叛逆を企てたが[3]、後にはアーサー王と和解しノルウェー王に封ぜられている[4]。しかし、マロリー版などによればアーサー王の即位に反対し11人の王とともにアーサー王に反乱し、最終的にはペリノア王との戦いに敗れ戦死した。このことが原因で、円卓の騎士の内部で、ロット王の息子たち(ガウェイン卿ら)とペリノア王の息子たち(トー卿、ラモラック卿)に対立が生じている。
説によれば、ロット (Lot) という名前自体が「ロージアン (Lothian) を支配するもの」を意味し、個人名ではなかったとするものもある。
脚注
編集- ^ a b ブルフィンチ 1980, p. 70.
- ^ 一般的に、モードレッド卿はアーサー王が姉のモルゴースとの近親相姦によってもうけたとされる。
- ^ ブルフィンチ 1980, pp. 52, 56.
- ^ ブルフィンチ 1980, pp. 59–60.
参考文献
編集- ブルフィンチ, トマス『中世騎士物語』野上弥生子(翻訳)、岩波書店、1980年2月18日。ISBN 4-00-322252-0。