ロスト・イン・ラ・マンチャ

ロスト・イン・ラ・マンチャ』(原題:Lost in La Mancha)は、テリー・ギリアムの映画『ドンキホーテを殺した男』(The Man Who Killed Don Quixote)の(最初の)製作プロジェクトが暗礁に乗り上げた顛末を描いた2002年のドキュメンタリー映画。ナレーションはジェフ・ブリッジス

ロスト・イン・ラ・マンチャ
Lost in La Mancha
監督 Keith Fulton
Louis Pepe
脚本 Keith Fulton
Louis Pepe
製作 Lucy Darwin
ナレーター ジェフ・ブリッジス
出演者 テリー・ギリアム
ジョニー・デップ
ジャン・ロシュフォール
音楽 ミリアム・カトラー英語版
配給 IFC Films
公開 2002年8月
上映時間 93分
言語 英語
フランス語
テンプレートを表示

経緯

編集

ギリアムおよび脚本の共同執筆者トニー・グリソーニは、セルバンテスの大作『ドン・キホーテ』をアレンジして独自のドン・キホーテ物語を作り上げようとした。たとえば、マーク・トウェインの小説『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』にヒントを得て大きな改変を加えた。映画では、サンチョ・パンサは最初にしか登場せず、21世紀から時間を遡ってやってきたトビー・グリソーニという人物と入れ替わる。その人物のことをドンキホーテがサンチョと勘違いする。

ドンキホーテというキャラクターは、ギリアムの作品に共通する多くのテーマ(「個人」対「社会」、「正気」の概念など)を体現している。そのためギリアムは、この映画の製作に非常な情熱を燃やしていた。撮影はすべてスペインおよびヨーロッパ全土で行われる予定であった。ドンキホーテ役にはジャン・ロシュフォールが起用され、ロシュフォールは7か月をかけて英語を学び準備をしていた。トビー役にジョニー・デップ、トビーが思いを寄せる女性にヴァネッサ・パラディが起用されていた。

『ロスト・イン・ラ・マンチャ』には、製作が始まってから明らかになった、この映画のスケジュールと予算面でのあやうさが描かれている。撮影初日、撮影隊は、近くにあるNATOの軍事演習場のせいで、屋外ロケが絶え間ない騒音に悩まされることを知る。ギリアムは、音声を後でダビングすることにして撮影を続行する。撮影2日目、洪水が発生して機材が損害を受ける。そればかりか、撮影が完了していないシーンがあるにもかかわらず、ロケ地の景観が恒久的に変化してしまう。

数日後、ロシュフォールが故障を抱えていることがわかる。ロシュフォールは椎間板ヘルニアと診断され、それ以降の出演が無理であることが明らかになる。それによって映画の製作に終止符が打たれ、保険会社が1500万ドルの保険金を支払うこととなった。『ドンキホーテを殺した男』の脚本は保険会社に所有権が渡った。

この映画は、かつて『12モンキーズ』のメイキングフィルム“The Hamster Factor and Other Tales of Twelve Monkeys”を撮ったKeith FultonとLouis Pepeがギリアム監督の支援を受けて製作した。本来は本作もメイキング映像として撮られていたが、『ドンキホーテを殺した男』が製作中止となった後、単体でドキュメンタリー映画として公開されることになった。

関連項目

編集

外部リンク

編集