ルイーズ・ネヴェルソン
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ルイーズ・ネヴェルソン(ニーヴェルスンとも表記、Louise Berliawsky Nevelson, 1899年9月23日 - 1988年4月17日)は、ウクライナ出身のアメリカ人彫刻家。本名はレア・ベルリャフスキー(Leah Berliawsky)。
捨てられた家具のような日用品の廃物などを集め、これらを切り刻んで黒く塗り、黒い箱の中に入れて寄せ集めた、(アサンブラージュ)の作品が中心である。椅子の脚やベッドの枠、野球のバットなど、黒く塗って箱の中に寄せ集められた日用品の残骸は箱の中で影を作り相互に作用する。さらに黒い箱は中身を表にして上に積み重ねられ、祭壇のように壁に立てかけられる。
ネヴェルソンはかつて自分の作品について、「他の人たちの捨てた物でも、拾ってきて組み合わせると、それらの物が本当の生命を得ることができる-もと使われていた時の生命を超えた、精神的な命を。」と述べている。
生涯
編集彼女はキエフで材木を扱うユダヤ人商家に生まれ、1905年アメリカ・メイン州に移住した。ここでも木材で遊んでいた彼女は、10歳にして木を彫り始め、彫刻家を志すようになる。
1920年、富裕な船主のチャールズ・ネヴェルソンと結婚。ニューヨーク市のアート・スチューデンツ・リーグに入学し、絵画や声楽、特にダンスを学んだが、夫は彼女の芸術の勉強に反対し、1931年には別居、1941年に離婚した。別居後はミュンヘンに移り、1933年のナチスの政権獲得までの間、ハンス・ホフマンの元で絵画を学んだ。アメリカに戻って以後は、ニューディール政策のもと公共事業促進局(WPA)の連邦美術計画に雇用されて美術教師として働きながら、1937年、メキシコの画家ディエゴ・リベラがロックフェラーセンターに制作していた大壁画を手伝った。1940年代以降、シュルレアリスムに影響された絵画やコラージュを制作し、大きな展覧会に出展するなど活躍の幅を広げていった。
彼女が最も充実した制作活動を送り、有名になるのは60歳が迫ってきてからのことである。1957年に、最初の「黒い箱」の作品を制作。この年のクリスマスに木箱に入った酒を贈られた彼女は、その空箱の仕切り板が生み出す影や細胞状の空間同士の関係に霊感を受け、箱の中を板で仕切る作品を作り始めた。やがて箱の中に木片や生活用品、廃物などレディメイドを詰めてゆく発想を得た。さらに箱の彫刻が増えアトリエを片付けるため、モノを詰め込んだ側を表にして箱を壁際に積み上げる作業の途中で、積み上げるたびに箱同士の関係性が変化して行くのを発見し、箱は独立した作品ではなくもっと大きな彫刻作品の一部となるべきものだったことに気付いた。(アーノルド・グリムシャーの評伝による)
1958年、木切れや廃物を入れて黒く塗った箱を数メートルまで高く積み上げ横にも広げ、暗い部屋の中に観客を取り囲むようにして設置した展覧会『Moon Garden + One』で、彼女は一躍、斬新な環境芸術家として脚光を浴びた。以後20年以上にわたり一貫して黒い箱や廃物が増殖するかのような作品を制作し、世界各地で展覧会を開くほかパブリック・アートも手がけた。1979年にはニューヨークのローワー・マンハッタンに、黒く塗った木や金属のコラージュを組み上げた野外庭園、ルイーズ・ネヴェルソン・プラザが完成している。
素材は木のみならずアルミなど金属片やプラスチックも使われ、中には白色や金色で塗られた作品もあったが、多くは漆黒を使用した作品である。彼女が黒を使う理由に、黒は個人的にいちばんしっくりくる高貴な色だと考えていること、黒は純粋で、全ての色を含む全体性を持った色であることをあげている。(東野芳明とのインタビュー、『みずゑ』1975年4月号)
彼女は自然からエッセンスを取り出し自然を超える、人間の理性を高く位置づけ、自分の制作や自分の生きかたを秩序立ててコントロールした。強烈な個性と大胆な衣裳で展覧会場に現れ、一方で評論家や利益のために近づこうとする者を鋭い一言でぴしゃりとやっつけることもあった。
彼女は1988年にニューヨークで死去したが、アメリカを代表する美術家の一人として今も尊敬されている。また、彼女の子供や孫達も美術家として活躍している。
作品
編集- "World" - デトロイト美術館
- "en:Erol Beker Chapel of the Good Shepherd", en:St. Peter's Church, Park Avenue, Manhattan
- Sky Cathedral (1958) [1]
外部リンク
編集- 作品のスタイル
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