リチャード・ローティ
リチャード・マッケイ・ローティ(Richard McKay Rorty、1931年10月4日 - 2007年6月8日)は、アメリカ合衆国の哲学者であり、ネオプラグマティズム(Neopragmatism)の代表的思想家である。
生誕 |
1931年10月4日 アメリカ合衆国・ニューヨーク |
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死没 |
2007年6月8日(75歳没) アメリカ合衆国・パロアルト (カリフォルニア州) |
時代 | 20世紀の哲学 |
地域 | 西洋哲学 |
学派 | プラグマティズム、ポスト分析哲学 |
研究分野 | 認識論、言語哲学、心の哲学、倫理学、メタ哲学、形而上学、リベラリズム、ポストモダニズム |
主な概念 | ポスト哲学、アイロニー、終極の語彙、認識論的行動主義、反表象主義 |
シカゴ大学で学士号、修士号を得たのち、イェール大学で1956年に博士号を得た。プリンストン大学の哲学教授を21年間務めた他、バージニア大学教授などの職を経て、スタンフォード大学教授となり、哲学と比較文学を教えた。のちスタンフォード大学名誉教授となる。プラグマティズムの立場から近代哲学の再検討を通じて「哲学の終焉」を論じた他、哲学のみならず、政治学、経済学、社会学、アメリカ文化などの論壇で活躍した。現代アメリカを代表する哲学者である。
生涯
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思想
編集プラグマティズムの代表者ジョン・デューイの他、トーマス・クーン、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインらの影響を受ける。
哲学者としてのローティの思想はその独特な哲学史の見解で知られている。ローティの著作『哲学と自然の鏡』では近代哲学に一貫して見られる伝統に注目している。それはルネ・デカルトに始まりイマヌエル・カントによって体系化された哲学における認識論の伝統であり、真理に到達するために依拠できる確実な知的基礎を確立するための試みであった。そしてマルティン・ハイデッガーやルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン、ジョン・デューイ、ミシェル・フーコー、W.V.O.クワインなどの現代の哲学者による攻撃は、この認識論的な哲学の伝統に対する批判であったと考える。そしてローティは、近代哲学の認識論的な伝統を批判することは必ずしもそれを克服することではないことを問題視し、そのような伝統に基づいた哲学については「哲学の終焉」を主張する。そして新たな哲学の指針として知識や文化を基礎付けるような認識論の伝統を使わない哲学的解釈学の可能性を示唆している。これは哲学の歴史の中で中心的な主題であった真理という問題を研究することは有益ではないことを認め、ポスト哲学的文化としてあらゆる種類の言説を相対化する文化へと移行することを意味している。このようなローティの考え方は現代のプラグマティズムの哲学に根ざしたものであり、ポスト哲学的文化が到来したとしても、哲学そのものが消滅することはない。
著作
編集- 単著・共著
- Philosophy and the Mirror of Nature. Princeton: Princeton University Press, 1979.
- Consequences of Pragmatism. Minneapolis: University of Minnesota Press, 1982. ISBN 978-0816610631
- Contingency, Irony, and Solidarity. Cambridge: Cambridge University Press, 1989. ISBN 978-0521353816
- Philosophical Papers vols. I–IV:
- Objectivity, Relativism and Truth: Philosophical Papers I. Cambridge: Cambridge University Press, 1991. ISBN 978-0521353694
- Essays on Heidegger and Others: Philosophical Papers II. Cambridge: Cambridge University Press, 1991.
- Truth and Progress: Philosophical Papers III. Cambridge: Cambridge University Press, 1998.
- Philosophy as Cultural Politics: Philosophical Papers IV. Cambridge: Cambridge University Press, 2007.
- 冨田恭彦・戸田剛文訳、『文化政治としての哲学』、岩波書店、2011年。
- Mind, Language, and Metaphilosophy: Early Philosophical Papers Eds. S. Leach and J. Tartaglia. Cambridge: Cambridge University Press, 2014. ISBN 978-1107612297.
- Achieving Our Country: Leftist Thought in Twentieth Century America. Cambridge, MA: Harvard University Press, 1998. ISBN 978-0674003118
- Philosophy and Social Hope. New York: Penguin, 2000.
- Against Bosses, Against Oligarchies: A Conversation with Richard Rorty. Chicago: Prickly Paradigm Press, 2002.
- The Future of Religion with Gianni Vattimo Ed. Santiago Zabala. New York: Columbia University Press, 2005. ISBN 978-0231134941
- An Ethics for Today: Finding Common Ground Between Philosophy and Religion. New York: Columbia University Press, 2005. ISBN 978-0231150569
- What's the Use of Truth with Pascal Engel, transl. by William McCuaig, New York: Columbia University Press, 2007. ISBN 9780231140140
- What Can We Hope For?: Essays on Politics, ed. by C. Voparil and W. P. Malecki. Princeton: Princeton University Press, 2022. ISBN 9780691217529
- 編著書
- The Linguistic Turn, Essays in Philosophical Method, (1967), ed. by Richard M. Rorty, University of Chicago press, 1992, ISBN 978-0226725697 (an introduction and two retrospective essays)
- Philosophy in History. ed. by R. Rorty, J. B. Schneewind and Quentin Skinner, Cambridge: Cambridge University Press, 1985 (an essay by R. Rorty, "Historiography of philosophy", pp. 29–76)
- 日本オリジナル翻訳論文集
関連項目
編集外部リンク
編集- Richard Rorty - スタンフォード哲学百科事典「リチャード・ローティ」の項目。