ラジオ波焼灼術

術式の一つ

ラジオ波焼灼術(RFA)は、肺、肝臓、腎臓、骨、およびあまり一般的ではない他の身体器官の腫瘍を治療するために行われることがある[1]。腫瘍の診断が確定したら、ラジオ波用の針を腫瘍の内部に刺し入れる。ラジオ波用針を通過する高周波により、腫瘍組織内の温度が上昇し、腫瘍が破壊される。 ラジオ波焼灼術は、臓器内に発生したか(原発腫瘍)、臓器に広がった(転移) かにかかわらず、小さな腫瘍に使用できる。 特定の腫瘍に対するラジオ波焼灼術の適合性は、複数の要因に依存する。ラジオ波焼灼術(RFA)は、がんが熱によって凝固するのでラジオ波凝固法とも呼ばれる。[2]

肝臓病変の高周波アブレーションを示すCTスキャン

ラジオ波焼灼術は、外来の処置として実施できるが、短い入院が必要な場合もある。

ラジオ波焼灼術は、肝細胞癌(原発性肝癌)を治療するために、経皮的エタノール注入療法(PEIT:percutaneous ethanol injection therapy)より広範囲の焼灼が可能で広く行われてきている。肝細胞癌だけでなく、転移性肝癌に対しても施行され、腹腔鏡・胸腔鏡下で施行されることも多い。ガイドラインでは穿刺局所療法では第一選択とされている。[3]局所的に送達される化学療法と組み合わせることもできる。第III相試験の方法では、肝細胞癌(HCC)の治療として、RFAプローブによって生成された低レベルの熱(高体温)を使用して、切除された組織の周囲の熱感受性リポソームから濃縮化学療法薬の放出をトリガーする。 高周波アブレーションは膵臓癌および胆管癌でも使用される。[4]

ラジオ波焼灼術は、良性の骨腫瘍、特に類骨性骨腫の治療においてますます重要になっている。 この手順は1990年代に類骨骨腫の治療に初めて導入されて以来、[5] 多くの研究で、侵襲性が低く、費用がかからず、骨破壊が少なく、外科的手法と同等の安全性と有効性があり、症状のない人は66〜95%と報告されている。[6][7][8]ラジオ波焼灼術の初期成功率は高いが、ラジオ波焼灼術治療後の症状の再発が報告されており、一部の研究では外科治療と同様の再発率が示されている。[9] ラジオ波焼灼術はまた、適格ではない、または従来の治療法、すなわち、放射線療法化学療法、緩和療法に反応しない人の痛みを伴う転移性骨疾患の緩和療法にもますます使用されている。[10]

産科学においては、無心体双胎の際に正常胎児(このような無心体双胎における正常胎児を特にポンプ児と呼ぶ)の生存率を上げるために無心体の血流を遮断する方法としてラジオ波焼灼術が用いられることがあり、この無心体双胎の治療法としてのラジオ波焼灼術は日本では2019年3月に保険収載された[11]

関連項目

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脚注

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  1. ^ “Long-term results of radiofrequency ablation treatment of stage I non-small cell lung cancer: a prospective intention-to-treat study”. J Thorac Oncol 6 (12): 2044–51. (2011). doi:10.1097/JTO.0b013e31822d538d. PMID 22052222. 
  2. ^ 『ぜんぶわかる最先端医療』成美堂出版(2013年8月13日)30~31頁ISBN978-4-415-31444-0
  3. ^ 日本肝臓学会: (旧版)科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン 2009改訂版
  4. ^ Hadjicostas, P.; Malakounides, N.; Varianos, C.; Kitiris, E.; Lerni, F.; Symeonides, P. (2006). “Radiofrequency ablation in pancreatic cancer”. HPB 8 (1): 61–64. doi:10.1080/13651820500466673. PMC 2131369. PMID 18333241. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2131369/. 
  5. ^ Rosenthal, D I; Alexander, A; Rosenberg, A E; Springfield, D (1992-04-01). “Ablation of osteoid osteomas with a percutaneously placed electrode: a new procedure.”. Radiology 183 (1): 29–33. doi:10.1148/radiology.183.1.1549690. ISSN 0033-8419. PMID 1549690. 
  6. ^ Weber, Marc-André; Sprengel, Simon David; Omlor, Georg W.; Lehner, Burkhard; Wiedenhöfer, Bernd; Kauczor, Hans-Ulrich; Rehnitz, Christoph (2015-04-25). “Clinical long-term outcome, technical success, and cost analysis of radiofrequency ablation for the treatment of osteoblastomas and spinal osteoid osteomas in comparison to open surgical resection” (英語). Skeletal Radiology 44 (7): 981–93. doi:10.1007/s00256-015-2139-z. ISSN 0364-2348. PMID 25910709. 
  7. ^ Rosenthal, Daniel I.; Hornicek, Francis J.; Torriani, Martin; Gebhardt, Mark C.; Mankin, Henry J. (2003-10-01). “Osteoid Osteoma: Percutaneous Treatment with Radiofrequency Energy”. Radiology 229 (1): 171–75. doi:10.1148/radiol.2291021053. ISSN 0033-8419. PMID 12944597. 
  8. ^ Rimondi, Eugenio; Mavrogenis, Andreas F.; Rossi, Giuseppe; Ciminari, Rosanna; Malaguti, Cristina; Tranfaglia, Cristina; Vanel, Daniel; Ruggieri, Pietro (2011-08-14). “Radiofrequency ablation for non-spinal osteoid osteomas in 557 patients” (英語). European Radiology 22 (1): 181–88. doi:10.1007/s00330-011-2240-1. ISSN 0938-7994. PMID 21842430. 
  9. ^ Rosenthal, Daniel I.; Hornicek, Francis J.; Wolfe, Michael W.; Jennings, L. Candace; Gebhardt, Mark C.; Mankin, Henry J. (1998-06-01). “Percutaneous Radiofrequency Coagulation of Osteoid Osteoma Compared with Operative Treatment*” (英語). J Bone Joint Surg Am 80 (6): 815–21. doi:10.2106/00004623-199806000-00005. ISSN 0021-9355. PMID 9655099. http://jbjs.org/content/80/6/815. 
  10. ^ Dupuy, Damian E.; Liu, Dawei; Hartfeil, Donna; Hanna, Lucy; Blume, Jeffrey D.; Ahrar, Kamran; Lopez, Robert; Safran, Howard et al. (2010-02-15). “Percutaneous radiofrequency ablation of painful osseous metastases” (英語). Cancer 116 (4): 989–97. doi:10.1002/cncr.24837. ISSN 1097-0142. PMC 2819592. PMID 20041484. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2819592/. 
  11. ^ 「ラジオ波焼灼術」が無心体双胎の治療法として適応拡大