ユノミネシダ自生地
ユノミネシダ自生地(ユノミネシダじせいち)は、和歌山県田辺市本宮町の湯の峰温泉の一角にある、国の天然記念物に指定されたユノミネシダの自生地である[1][2][3]。
ユノミネシダ(湯の峰羊歯[4][† 1])は世界の熱帯、亜熱帯にかけて広く分布するコバノイシカグマ科の暖地性のシダの一種で、日本国内では伊豆半島より南西に自生している。ユノミネシダという和名は日本で最初に和歌山県の湯の峰温泉で発見されたことによるもので、湯の峰温泉の自生地は日本国内における分布域の北限に当たり[5]、また、植物名のついた発見地としての歴史的な意義もあり[6]、1928年(昭和3年)1月18日に国の天然記念物に指定された[1][2]。
解説
編集国の天然記念物として指定されたユノミネシダ自生地は、和歌山県南東部の旧本宮町(現田辺市)湯の峰字垣内にあり[6]、世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道の構成資産の一部として知られる湯の峰温泉の一角に位置している。ユノミネシダは前述したように熱帯から亜熱帯にかけて分布する暖地性のシダであり[7]、日本国内では伊豆半島より南西の太平洋側の日当たりの良い林の中や河川沿いに群生する[8][9] が、温泉や鉱山などの環境を好み[8]、同じ和歌山県内では那智勝浦町の鉱山跡や那智勝浦温泉などにも自生している[1][6]。
ユノミネシダ(湯の峰羊歯、学名Histiopteris incisa)の和名は、1880年(明治20年)に[2]、現指定地である当時の和歌山県東牟婁郡湯峰村の湯の峰温泉で最初に発見されたことにちなむ[4][7][9]。
最初にユノミネシダが発見された古くから知られる自生地は、湯の峰温泉公共浴場裏側の小さな崖であるが生育状況があまりよくない[1]。その一方で自生地北側の共同浴場に隣接する天台宗の寺院、薬王山東光寺の東側にある高さ2メートル、幅6メートルほどの石垣によく育っており[6]、東光寺でも積極的にその保全保護に努めている[1]。
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画像中央奥の建物が湯の峰温泉共同浴場。すぐ背後に国の天然記念物に指定された自生地がある。
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自生地。左手前の木柱に消えかけた文字でユノミネシダと書かれている。
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湯の峰温泉共同浴場の外壁にある解説プレート。
交通アクセス
編集- 所在地
- 和歌山県田辺市本宮町湯の峰[6]。
- 交通
脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献・資料
編集- 海老原淳著・日本シダの会 企画協力、2016年7月27日 初版第1刷発行、『日本産シダ植物標準図鑑 I』、学研プラス ISBN 978-4-05-405356-4
- 岩槻邦男編・今市涼子・週刊百科編集部編、1997年10月1日 発行、『シダ植物・コケ植物・地衣類・藻類・植物の形態 朝日百科 植物の世界』、朝日新聞社 ISBN 4-02-380010-4
- 岩槻邦男編、1999年7月21日 新装版第1刷発行、『日本の野生植物 シダ』、平凡社 ISBN 4-582-53506-2
- 光田重幸、1986年3月31日 初版発行、『検索入門 しだの図鑑』、保育社 ISBN 4-586-31011-1
- 加藤陸奥雄他監修・豊原稔、1995年3月20日 第1刷発行、『日本の天然記念物』、講談社 ISBN 4-06-180589-4
- 安藤精一編、1982年5月1日 初版発行、『和歌山県の文化財 第三巻』、清文堂出版 ISBN 4-7924-0149-6
- 和歌山県高等学校社会科研究協会編、2009年5月25日 第1刷発行、『和歌山県の歴史散歩』、山川出版社 ISBN 978-4-634-24630-0
- “時を経て、未来に受け継ぐ田辺市の宝物” (PDF). 田辺市 (2014年7月). 2019年9月1日閲覧。
関連項目
編集- 国の天然記念物に指定された他のシダ植物の自生地は植物天然記念物一覧#シダ植物節を参照。
外部リンク
編集- ユノミネシダ自生地 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 田辺市の指定文化財一覧 記念物 田辺市ホームページ 2019年9月1日閲覧。
座標: 北緯33度49分43.5秒 東経135度45分29.0秒 / 北緯33.828750度 東経135.758056度