ヤーキッシュ
ヤーキッシュ(Yerkish)は、人間以外の霊長類のために開発された人工言語である。物や概念を表すレキシグラムと呼ばれる記号が描かれたコンピュータのキーボードを使用する[1]。
ヤーキッシュ | |
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Yerkish | |
創案者 | エルンスト・フォン・グレーザーズフェルド |
設定と使用 | 表語文字が描かれたキーボードを使用 |
話者数 | 3頭のサル |
目的による分類 | |
言語コード | |
ISO 639-3 | なし |
Glottolog | なし |
個々のレキシグラム(lexigram)は単語を表すが、必ずしもそれが表す対象を示すものではない。元々レキシグラムは、ジョージア州立大学言語研究センターで、ボノボやチンパンジーとのコミュニケーションに使用されていた。研究者と霊長類は、最大3枚のパネルに合計384個のキーを備えたレキシグラムボードを使ってコミュニケーションを取ることができた[1][2]。
歴史
編集この言語はエルンスト・フォン・グレーザーズフェルドによって開発され、ジョージア州立大学のデュエイン・ランボーとスー・サベージ=ランボーがジョージア州アトランタにあるエモリー大学のヤーキーズ霊長類研究所で霊長類の研究をしていた時に使用された。その研究では、対象の霊長類に対し、レキシグラムボードと呼ばれる、レキシグラムのラベルが貼られたキーボードを使ってコミュニケーションをとることを教えた。フォン・グレーザーズフェルドは、1971年に「レキシグラム」という言葉を造語し、最初の120個のレキシグラムを作成し、その組み合わせを規定する文法を設計した。この人工言語は、レキシグラムが最初に使用された研究所の創設者であるロバート・ヤーキーズ(Robert Yerkes)から名前をとってヤーキッシュと名付けられた。
ヤーキッシュでコミュニケーションをとるように訓練された最初の猿はチンパンジーのラナで、1973年にLANAプロジェクトの一環として開始された。フォン・グレーザーフェルドは、約150個のイェールキッシュ語の最初の単語を作成し、そのうちの25個をラナとの最初の実験で使用した。キーボードはラナのために作成され、各キーは「食べ物」「食べる」「りんご」「飲む」などの名詞や動詞を表す。特定のキーを押すと、キーボードの横に置かれたフードディスペンサーから対応する食べ物が出て来るようにし、一連の実験を通して、ラナがそれぞれのキーが何と関連しているのかを解釈し、自身の要求を他者に伝えることを学ぶことを期待していた[3]。ラナは、ヤーキッシュを理解するだけでなく、この新しい言語を通して、他の人とのコミュニケーションにも参加することができるようになった。
脚注
編集- ^ a b “Interactive Lexigram, History of Ape Language”. Great Ape Trust (2010年). May 20, 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月8日閲覧。
- ^ Jeffrey Kluger, "Inside the Minds of Animals", Time, August 5, 2010.
- ^ Bettoni, Marco (2007). “The Yerkish Language. From Operational Methodology to Chimpanzee Communication.”. Constructivist Foundations 2: 32-34 .
参考文献
編集- Rumbaugh, D. M. ed. (1977) Language Learning by a Chimpanzee. The LANA Project. New York, Academic Press
- von Glasersfeld, E., Department of Psychology, University of Georgia. The Yerkish language for Non-Human Primates. American Journal of Computational Linguistics, 1974, 1.
- Bettoni M. C. (2007) The yerkish language: From operational methodology to chimpanzee communication. Constructivist Foundations 2(2-3): 32–38.
- Rumbaugh, Duane M.; Gill, Timothy V.; Brown, Josephine V.; von Glasersfeld, E. C.; Pisani, Pier; Warner, Harold; Bell, C. L. (September 1973). “A computer-controlled language training system for investigating the language skills of young apes”. Behavior Research Methods & Instrumentation 5 (5): 385–392. doi:10.3758/BF03200213.