ヤエヤマヒルギシジミ

蜆の一種

ヤエヤマヒルギシジミ(八重山漂木蜆、学名:Geloina erosa)はマルスダレガイ目シジミ科ヒルギシジミ属の二枚貝である。タイワンヒルギシジミ(タイワンシレナシジミ)は異種とされていたが、現在は同種の可能性があるとされる[1]。別名:シレナシジミ、ヤエヤマシレナシジミ、マングローブシジミ。

ヤエヤマヒルギシジミ
保全状況評価
絶滅危惧II類環境省レッドリスト
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
: マルスダレガイ目 Veneroida
: シジミ科 Cyrenidae
: ヒルギシジミ属 Geloina
: ヤエヤマヒルギシジミ G. erosa
学名
Geloina erosa
Lightfoot, 1786
和名
ヤエヤマヒルギシジミ

概要

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以前[いつ?]シレナシジミと呼ばれており[2][3]、八重山ではキゾと呼ばれる。中華圏では紅樹蜆馬蹄蛤と呼ばれる[4]

分布

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分布域は奄美大島以南の南西諸島中国本土(福建省竜海、広東省南澳大亜湾、広西自治区防城、海南島 清瀾、三亜陵水)、 台湾 (新北市淡水区、台南市安平区高雄市、屏東県、東港鎮)、マレーシアシンガポールベトナムである。

河川の河口の汽水域で、マングローブが群生する潮間帯等に多く見られる。

形態

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貝殻はヤマトシジミを殻長6cm程度の大型にしたような形で殻は厚い。緑色の殻皮をかぶり、内面は白色。軟体部は水分が多く貝殻のわりに小さい[2][5]

生態

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ヒルギ科の植物が生えた汽水環境の泥底に生息する[3][6]

分類

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異名[7]

化石

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中新世の日本は温暖な気候で、マングローブが生える汽水域が広範囲に広がっていたため、各地で本種と近縁の化石が発見されており、「シレナシジミ-センニンガイ群集」と呼ばれていた[3][8]

人との関係

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分布域では食用に利用され、台湾などでは養殖事業もなされる[4]

出典

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  1. ^ 奄美大島産陸水性貝類相” (PDF). 東海アクアノーツ. 2017年3月18日閲覧。
  2. ^ a b 波部忠重・小菅貞男 (1967). 標準原色図鑑全集 3 貝 p.140. 保育社 
  3. ^ a b c 糸魚川淳二『日本列島の歴史 p.46』講談社、1973年。 
  4. ^ a b 辭職警接養殖家業 養出超大顆「馬蹄蛤」”. ETtoday. 2012年10月29日閲覧。
  5. ^ 松隈明彦・奥谷喬司『世界文化生物大図鑑 貝類 p.325 リュウキュウヒルギシジミ』世界文化社、2004年。 
  6. ^ ヒルギシジミ”. 藤原昌高. 2022年11月5日閲覧。
  7. ^ Bouchet, P.(2014). Geloina erosa(Lightfoot, 1786). In: MolluscaBase(2017). Accessed through: World Register of Marine Species at http://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=747107 on 2017-03-26
  8. ^ 中新統黒瀬谷層(富山県)のGelonia-Telescopium群集とArcid-Potamid群集について 金子一夫”. 富山県立山博物館. 2022年11月5日閲覧。

外部リンク

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