ミフウズラ科(ミフウズラか、Turnicidae)は、鳥綱チドリ目に属する科。模式属ミフウズラ属 Turnix

ミフウズラ科
ミフウズラ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: チドリ目 Charadriiformes
亜目 : カモメ亜目 Lari
: ミフウズラ科 Turnicidae
学名
Turnicidae G. R. Gray1840
タイプ属
Turnix
シノニム

Turniciformes
Turnici Huxley, 1868

和名
ミフウズラ
英名
Buttonquail

ミフウズラ(三斑鶉)と総称される[1] 。ただし「ミフウズラ」は1種 Turnix suscitator の和名でもある。なおウズラとは近縁ではない。

特徴

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分布

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アフリカ大陸インドインドネシアオーストラリアスペイン南部、スリランカソロモン諸島タイ台湾中華人民共和国朝鮮民主主義人民共和国日本南西諸島)、ネパールパキスタンパプアニューギニアフィリピンベトナムマダガスカルミャンマーロシア南東部[2][3][4][5][6]

形態

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最大種はオオミフウズラで全長16-21cm[3]。最小種はヒメミフウズラで11-16.5cm[3]。本科とは近縁ではないもの形態がキジ目のウズラ属 Coturnix に類似することが、ミフウズラ属の属名 Turnix や日本語での総称、英語での総称 Buttunquail(「小さいウズラ」の意)の由来になっている[2][3]。翼は短く丸みを帯びる[3]

嘴は小型で細い[3]。後肢や趾は発達するが、第1趾がない[2][3]。英語で本科の構成種をさす総称hemipodeは「半足」の意で、第1趾がないことに由来する[2][3]

生態

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草原や開けた森林などに生息する[3]。地表性[3]。単独から小規模な群れを形成して生活する[3]。温帯に生息する種は渡りをするが、熱帯に生息する種は天候などにより放浪することもあるが基本的に渡りを行わない[3]

食性は雑食か動物食傾向の強い雑食で、昆虫クモ、陸棲の貝類、植物の芽、種子などを食べる[3][6]。後肢で地面を掘って食物を探す[3]。頭部を上げずに嘴を水につけたまま水を飲む[3]

婚姻形態は一妻多夫[3]。メスは繁殖期に縄張りを形成し、体を膨らませたり尾羽を広げる、地面を掘ったり叩いてオスに求愛する[3][6]。地面の窪みに枯れ草などを敷いた巣を作り、1回に2-7個の卵を産む[3]。主にオスが抱卵し、抱卵期間は11-12日[3]。オスが育雛も行う。孵化した雛はすぐに歩行することができ(早成性)、孵化してから3-4週間で独立する[3]

系統と分類

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系統

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Baker et al. (2007)[7]; Pereira & Baker (2010)[8]より。

チドリ目

チドリ亜目 Charadrii

シギ亜目

 

クビワミフウズラ科 Pedionomidae

 

 

カモメ亜目
ミフウズラ科

ミフウズラ属 Turnix

? ハジロミフウズラ Ortyxelos

カニチドリ科 Dromadidae

ツバメチドリ科 Glareolidae

カモメ科 Laridae

トウゾクカモメ科 Stercorariidae

ウミスズメ科 Alcidae

ミフウズラ科はカモメ亜目 Lari の基底的な科で、カモメ亜目で最初に分岐し、亜科の他の科全てと姉妹群である。

伝統的に、クビワミフウズラ科 Pedionomidae と近縁と考えられてきたが、同じチドリ目ではあるものの目の中では特に近縁ではない。

ミフウズラ科はミフウズラ属 Turnixハジロミフウズラ Ortyxelos からなるが、ハジロミフウズラの系統位置は不確実で、ツバメチドリ科 Glareolidae に近縁とする説もある[9]

分類史

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Gadow (1893) により、ツル目 Gruiformes に、クビワミフウズラ科 Pedionomidae と共に含められた。Wetmore (1960) では、それら2科はツル目ミフウズラ亜目 Turnices としてまとめられた。

頭骨の形態からハト目あるいはサケイ目に近縁とする説もあった[3]Sibley et al. (1988) は単型のミフウズラ目 Turniciformes に分類した。クイナモドキ科 Mesitornithidae(伝統的にはツル目、現在は単型目)を近縁としてミフウズラ目に含める分類もあった[10]

属と種

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属と種は国際鳥類学会議 (IOC)[9]より。

人間との関係

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生息地では食用とされることもある[4]

開発や野火による生息地の破壊、食用の狩猟などにより生息数が減少している種もある[4][5]

参考文献

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  1. ^ 森岡弘之, “ミフウズラ”, 日本大百科全書, Yahoo!百科事典, 小学館, http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9F%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%BA%E3%83%A9/ 
  2. ^ a b c d 安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社2008年、309頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 黒田長久森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年、17-23、157-158頁。
  4. ^ a b c 小原秀雄浦本昌紀太田英利松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、講談社2000年、159頁。
  5. ^ a b 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社、2000年、173-174頁。
  6. ^ a b c 『週間 野鳥の世界』1号、デアゴスティーニ・ジャパン2010年、13-00頁。
  7. ^ Baker, Allan J.; Pereira, Sérgio L.; Paton, Tara A. (2007), “Phylogenetic relationships and divergence times of Charadriiformes genera: multigene evidence for the Cretaceous origin of at least 14 clades of shorebirds”, Biol Lett. 3 (2): 205–209, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2375939/ 
  8. ^ Pereira, Sergio L.; Baker, Allan J. (2010), “The enigmatic monotypic crab plover Dromas ardeola is closely related to pratincoles and coursers (Aves, Charadriiformes, Glareolidae)”, Genetics and Molecular Biology 33 (3): 583-586, http://www.scielo.br/pdf/gmb/v33n3/33.pdf 
  9. ^ a b Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2012), “Shorebirds and allies”, IOC World Bird Names, version 3.1, http://www.worldbirdnames.org/n-shorebirds.html 
  10. ^ Livezey, Bradley C.; Zusi, Richard (2007), “Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion”, Zoological Journal of the Linnean Society 149: 1–95, オリジナルの2013年4月6日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20130406083649/http://biology-web.nmsu.edu/houde/Livezey%26Zusi_2007.pdf