マンチェスター公爵
マンチェスター公爵(英: Duke of Manchester)は、グレートブリテン貴族の公爵位。
マンチェスター公爵 Duke of Manchester | |
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創設時期 | 1719年4月13日 |
創設者 | ジョージ1世 |
貴族 | グレートブリテン貴族 |
初代 | 4代マンチェスター伯チャールズ・モンタギュー |
現所有者 | 13代マンチェスター公爵アレグザンダー・モンタギュー |
相続資格 | 初代公の嫡出の男系男子 |
付随称号 | マンチェスター伯爵(E) マンデヴィル子爵(E)、キンボルトンのモンタギュー男爵(E) |
モットー | 自分を変えるのではなく、 自分を捨てることによって (Disponendo Me, Non Mutando Me) |
マンチェスター伯爵位を前身とし、第4代マンチェスター伯爵チャールズ・モンタギューが1719年に叙されたのに始まる。
モンタギュー公爵家は本家筋にあたる。またサンドウィッチ伯爵家とハリファックス伯爵(第2期・第3期)は分流にあたる(モンタギュー公爵家とハリファックス伯爵家は絶えたが、サンドウィッチ伯爵家は現存している)。
歴史
編集大蔵卿(在職1620年-1621年)を務めた庶民院議員ヘンリー・モンタギュー(1563頃-1642)は、1620年12月19日にイングランド貴族爵位「マンデヴィル子爵(Viscount Mandeville)」と「カウンティ・オブ・ハンティンドンにおけるキンボルトンのキンボルトンのモンタギュー男爵(Baron Montagu of Kimbolton, of Kimbolton in the County of Huntingdon)」に叙せられ、ついで1626年2月5日に「カウンティ・オブ・ランカスターにおけるマンチェスター伯爵(Earl of Manchester in the County of Lancaster)」に叙せられた[1][2]。
このマンチェスター伯爵の爵位名はマンチェスターに由来するのではなく、ハンティンドンシャーのゴッドマンチェスターに由来している。しかしゴッドを爵位名に使うなど冒涜であると考えて、ゴッドを取り除いたマンチェスターに変更された[3]。
彼の兄エドワード・モンタギュー(1563-1644)も庶民院議員として活躍し、1621年にイングランド貴族爵位ボートンのモンタギュー男爵に叙せられた[4]。この兄の家系は後にモンタギュー公爵家となる(1749年に廃絶)。また彼の弟シドニー・モンタギューの家系からはサンドウィッチ伯爵家が誕生する(現存)。
2代マンチェスター伯爵エドワード・モンタギュー(1602-1671)は、長老派貴族として清教徒革命(イングランド内戦)の際に議会派の東部連合軍の司令官を務めた事で知られる[5]。また彼の弟ジョージの家系からはハリファックス伯爵家が出ている(1771年に廃絶)。
4代マンチェスター伯爵チャールズ・モンタギュー(?-1722)は、駐フランス大使(在職1699年-1701年)や駐ヴェネツィア大使(在職1697年-1698年、1707年-1708年)などを務めた外交官として活躍し、1719年4月28日にグレートブリテン貴族爵位「マンチェスター公爵(Duke of Manchester)」に叙せられた[6][7]。
以降マンチェスター公爵位は彼の男系男子の子孫によって継承されていく。
4代マンチェスター公爵ジョージ・モンタギュー(1737-1788)は、駐フランス大使(在職1783年)を務めた[8]。
5代マンチェスター公爵ウィリアム・モンタギュー(1771-1843)は、長期にわたってジャマイカ総督(在職1808年-1827年)を務め、その後トーリー党政権で郵政長官(在職1827年-1830年)を務めた[9]。
2015年現在の当主は13代マンチェスター公爵アレグザンダー・モンタギュー(1962-)である。彼はアメリカ合衆国・カリフォルニア州・ニューポートビーチに在住している[10]。
一族の本邸は1615年から1950年までキンボルトン城だった。同城は現在キンボルトン学校の校舎になっている。
紋章に刻まれるモットーは「自分を変えることによってではなく、自分を捨てることによって(Disponendo Me, Non Mutando Me)」[11]
現当主の保有爵位
編集現在の当主13代マンチェスター公爵アレグザンダー・モンタギューは、以下の爵位を有する[10][11]。
- 13代マンチェスター公爵 (13th Duke of Manchester)
- (1719年4月28日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
- 第16代マンチェスター伯爵 (16th Earl of Manchester)
- 第16代マンデヴィル子爵 (16th Viscount Mandeville)
- ハンティンドン州におけるキンボルトンの第16代モンタギュー男爵 (16th Baron Montagu of Kimbolton, of Kimbolton in the County of Huntingdon)
- (1620年12月19日の勅許状によるイングランド貴族爵位)
一覧
編集マンデヴィル子爵 (1620年)
編集- 初代マンデヴィル子爵ヘンリー・モンタギュー(1563-1642)
マンチェスター伯 (1626年)
編集- 初代マンチェスター伯ヘンリー・モンタギュー(1563-1642)
- 2代マンチェスター伯エドワード・モンタギュー (1602-1671)
- 3代マンチェスター伯ロバート・モンタギュー (1634-1683)
- 4代マンチェスター伯チャールズ・モンタギュー (?-1722)
マンチェスター公 (1719年)
編集- 初代マンチェスター公チャールズ・モンタギュー (?-1722)
- 2代マンチェスター公ウィリアム・モンタギュー (1700-1739)
- 3代マンチェスター公ロバート・モンタギュー (1710頃-1762)
- 4代マンチェスター公ジョージ・モンタギュー (1737-1788)
- 5代マンチェスター公ウィリアム・モンタギュー (1771-1843)
- 6代マンチェスター公ジョージ・モンタギュー (1799-1855)
- 7代マンチェスター公ウィリアム・ドローゴ・モンタギュー (1823-1890)
- 8代マンチェスター公ジョージ・ヴィクター・ドローゴ・モンタギュー (1853-1892)
- 9代マンチェスター公ウィリアム・アンガス・ドローゴ・モンタギュー (1877-1947)
- 10代マンチェスター公アレグザンダー・ジョージ・フランシス・ドローゴ・モンタギュー (1902-1977)
- 11代マンチェスター公シドニー・アーサー・ロビン・ジョージ・ドローゴ・モンタギュー (1929-1985)
- 12代マンチェスター公アンガス・チャールズ・ドローゴ・モンタギュー (1938-2002)
- 13代マンチェスター公アレグザンダー・チャールズ・デイヴィッド・ドローゴ・モンタギュー (1962-)
- 法定推定相続人は現当主の長男マンデヴィル子爵(儀礼称号)アレグザンダー・マイケル・チャールズ・デイヴィッド・フランシス・ジョージ・エドワード・ウィリアム・キンブル・ドローゴ・モンタギュー (1993-)
家系図
編集サー・エドワード・モンタギュー (1485頃–1557) | |||||||||||||||||||||||
サー・エドワード・モンタギュー (1530頃–1602) | |||||||||||||||||||||||
1621年ボートンのモンタギュー男爵 | 1626年マンチェスター伯 | サンドウィッチ伯爵家へ | |||||||||||||||||||||
初代モンタギュー男爵 エドワード・モンタギュー (1562頃–1644) | 初代マンチェスター伯 ヘンリー・モンタギュー (1563頃–1642) | ||||||||||||||||||||||
ハリファックス伯爵家へ | |||||||||||||||||||||||
2代モンタギュー男爵 エドワード・モンタギュー (1616–1684) | 2代マンチェスター伯 エドワード・モンタギュー (1602–1671) | ||||||||||||||||||||||
1705年モンタギュー公 | |||||||||||||||||||||||
初代モンタギュー公 3代モンタギュー男爵 ラルフ・モンタギュー (1638–1709) | 3代マンチェスター伯 ロバート・モンタギュー (1634–1683) | ||||||||||||||||||||||
1719年マンチェスター公 | |||||||||||||||||||||||
2代モンタギュー公 4代モンタギュー男爵 ジョン・モンタギュー (1690–1749) | 初代マンチェスター公 4代マンチェスター伯 チャールズ・モンタギュー (1662頃–1722) | ||||||||||||||||||||||
モンタギュー公廃絶 ボートンのモンタギュー男爵廃絶 | |||||||||||||||||||||||
イザベラ・モンタギュー (?-1786) | 2代マンチェスター公 5代マンチェスター伯 ウィリアム・モンタギュー (1700–1739) | 3代マンチェスター公 6代マンチェスター伯 ロバート・モンタギュー (1710頃–1762) | |||||||||||||||||||||
4代マンチェスター公 7代マンチェスター伯 ジョージ・モンタギュー (1737–1788) | |||||||||||||||||||||||
マンデヴィル子爵(儀礼称号) ジョージ・モンタギュー (1763–1772) | 5代マンチェスター公 8代マンチェスター伯 ウィリアム・モンタギュー (1771–1843) | ||||||||||||||||||||||
6代マンチェスター公 9代マンチェスター伯 ジョージ・モンタギュー (1799–1855) | |||||||||||||||||||||||
7代マンチェスター公 10代マンチェスター伯 ウィリアム・モンタギュー (1823–1890) | |||||||||||||||||||||||
8代マンチェスター公 11代マンチェスター伯 ジョージ・モンタギュー (1853–1892) | |||||||||||||||||||||||
9代マンチェスター公 12代マンチェスター伯 ウィリアム・モンタギュー (1877–1947) | |||||||||||||||||||||||
10代マンチェスター公 13代マンチェスター伯 アレグザンダー・モンタギュー (1902–1977) | |||||||||||||||||||||||
11代マンチェスター公 14代マンチェスター伯 シドニー・モンタギュー (1929–1985) | 12代マンチェスター公 15代マンチェスター伯 アンガス・モンタギュー (1938–2002) | ||||||||||||||||||||||
13代マンチェスター公 16代マンチェスター伯 アレグザンダー・モンタギュー (1962-) | |||||||||||||||||||||||
脚注
編集出典
編集- ^ Lundy, Darryl. “Henry Montagu, 1st Earl of Manchester” (英語). thepeerage.com. 2015年8月23日閲覧。
- ^ Rigg, James McMullen (1894). Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (英語). Vol. 38. London: Smith, Elder & Co. . In
- ^ Brooke, Christopher (1985). A History of Gonville and Caius College. Boydell & Brewer Ltd. p. 127. ISBN 9780851154237
- ^ Lundy, Darryl. “Edward Montagu, 1st Baron Montagu of Boughton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月23日閲覧。
- ^ 今井宏編 1990, p. 202-206.
- ^ Lundy, Darryl. “Charles Montagu, 1st Duke of Manchester” (英語). thepeerage.com. 2015年8月23日閲覧。
- ^ Dictionary of National Biography (英語). London: Smith, Elder & Co. 1885–1900. .
- ^ Lundy, Darryl. “George Montagu, 4th Duke of Manchester” (英語). thepeerage.com. 2015年8月23日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “William Montagu, 5th Duke of Manchester” (英語). thepeerage.com. 2015年8月23日閲覧。
- ^ a b Lundy, Darryl. “Alexander Charles David Drogo Montagu, 13th Duke of Manchester” (英語). thepeerage.com. 2015年8月23日閲覧。
- ^ a b Heraldic Media Limited. “Winchester, Marquess of (E, 1551)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2015年12月30日閲覧。
参考文献
編集- 今井宏 編『イギリス史〈2〉近世』山川出版社〈世界歴史大系〉、1990年。ISBN 978-4634460201。