マシジミ
マシジミ(真蜆、英: Asian clam、学名: Corbicula leana)は、淡水にすむシジミ科の二枚貝である。河川の中流域から上流域にかけての砂礫底に生息する。湖沼でも見られるが、砂泥底を好み、泥底ではあまり見られない[2][3]。日本(本州、四国、九州)と朝鮮半島(漢江、洛東江)に分布する[1]。
マシジミ | |||||||||||||||||||||
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マシジミ Corbicula leana
三重県四日市市 | |||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Corbicula leana Prime, 1864 | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
マシジミ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Asian clam |
形態・生態
編集殻は30-35ミリメートル、時には40ミリメートルを超えるものも見られる。殻の表面は若いうちは黄褐色、成長につれて黒味がかり、緑色、黒色と変化していくが、生息場所の影響を強く受ける。成長につれて規則的な同心円状の凹凸がある。殻の内側は紫色をしている。 染色体は動物としてはめずらしい雄性発生の3倍体で[4][5][注釈 1]、雌雄同体で卵胎生である。一匹が排卵すると他の個体も排卵を始め、放出される卵の数に対して約10-20%は幼生として親貝から放出される。排出された卵は自家受精済みで約2日後にはD型幼生になり、底生生活をする[6]。タイワンシジミに似ているが、殻の縁部分「内側」がタイワンシジミと異なり、淡い色となっている[注釈 2]。
保護
編集日本の環境省レッドリスト2020では、絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている[7]。
水路・ため池・水田など人間の身近にも生息していたが、圃場整備や乾田化などによって、生息環境が大規模に失われている[8]。
また、マシジミと形態的に酷似するタイワンシジミなど、外来種の貝類が輸入され日本各地で野生化し大量繁殖していることも、マシジミの生息数の減少に拍車をかけている。マシジミやタイワンシジミは精子側の遺伝情報のみが子に継承される特徴があり、タイワンシジミの精子をマシジミが吸い込んで受精した場合は、生まれる子はタイワンシジミの形質になる。タイワンシジミは大量に水中に放精するため、マシジミの生息域にタイワンシジミが侵入すると、数年でマシジミが消失してタイワンシジミに置き換わる事例が報告されている[9]。
食品としての利用
編集日本で広く食用にされているシジミは、汽水域に生息するヤマトシジミだが、このマシジミも同様に食用となり、黄疸に効くとされている[10]。但し、生息密度が低いため、琵琶湖産のセタシジミに偶然混ざっている程度であり、ほとんど市場に出回らない。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b Köhler, F. (2011). “Corbicula leana”. IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T189564A8748990. doi:10.2305/IUCN.UK.2011-2.RLTS.T189564A8748990.en 2023年9月25日閲覧。.
- ^ 波部.小菅(1967), p. 140
- ^ 松隈明彦 2004, p.325
- ^ 岡本ら(199), p. 163-168
- ^ 山田.石橋.河村.古丸(2010)
- ^ 池末.志垣(1976), p. 68-74
- ^ 環境省レッドリスト2020, p. 49.
- ^ レッドデータブック2014(p.399).
- ^ 要注意外来生物に係る情報及び注意事項, p. 27-28.
- ^ 内山 りゅう (著) 田んぼの生き物図鑑 (ヤマケイ情報箱)
参考文献
編集- “環境省レッドリスト2020” (PDF). 環境省 (2020年3月27日). 2022年12月27日閲覧。
- “レッドデータブック2014(p.399)” (PDF). (株)ぎょうせい (2014年10月). 2022年12月27日閲覧。
- “要注意外来生物に係る情報及び注意事項” (PDF). 環境省 (2005年). 2022年12月27日閲覧。
- 波部忠重、小菅貞男『標準原色図鑑全集』保育社、1967年。doi:10.11501/1373157。全国書誌番号:53014068 。
- 池末弥, 志垣誠一「マシジミの生態に関する研究第2報 : 生殖法について」『水産増殖』第24巻第2号、日本水産増殖学会、1976年、68-74頁、doi:10.11233/aquaculturesci1953.24.68、ISSN 0371-4217、CRID 1390282679695379968。
- 琵琶湖自然史研究会『琵琶湖の自然史 : 琵琶湖とその生物のおいたち』八坂書房〈自然史双書 5〉、1994年。ISBN 489694805X。全国書誌番号:94056380 。
- 山田充哉, 石橋亮, 河村功一, 古丸明「ミトコンドリア DNA のチトクローム b 塩基配列および形態から見た日本に分布するマシジミ,タイワンシジミの類縁関係」『日本水産学会誌』第76巻第5号、日本水産学会、2010年、926-932頁、doi:10.2331/suisan.76.926、ISSN 0021-5392、CRID 1390282681391407616。
関連文献
編集- 奥谷喬司ら『世界文化生物大図鑑』(改訂新版)世界文化社、2004年。ISBN 4418049045。全国書誌番号:20617488 。
関連項目
編集-
大きな個体
三重県いなべ市 -
生息地の用水路で
川底を引っかいたところ
三重県四日市市