マカラ (神話)
概要
編集ガンガー及びヴァルナの乗り物(ヴァーハナ)であり、愛神カーマは「マカラを旗標とするもの」という異名を持つという[1]。カーマのシンボルであるマカラは門や装身具の装飾に用いられた。象やワニのように尖った鼻を持ち、とぐろ巻く尾を持つ怪魚や、ワニとライオンの合成獣として表現される[2]。水を操る力を持つため、マカラの棲むとされる川や湖、海といった場所(マカラーヴァーサ)が崇拝の対象となった。
マカラの源流
編集メソポタミア文明の思想体系では、淡水世界を統べる神エンキを象徴する動物、スクル・マーシュ(スクルは「大きな鯉」、マーシュは山羊の意)が存在していた[4]。バビロニア時代のメソポタミア占星術において、スクル・マーシュは黄道十二宮の磨羯宮に配置されている。スクル・マーシュのイメージはメソポタミア占星術とともにインドに伝わり、幻想獣マカラへと変じた[4]。
脚注
編集- ^ 水野善文 (2016). “故地のクンビーラ:金毘羅由来説再考”. 智山学報 (智山勧学会) 65: 103-122. doi:10.18963/chisangakuho.65.0_0103.
- ^ ジョン・チェリー 『幻想の国に棲む』 別宮貞徳訳 東洋書林 1997年 ISBN 4-88721-182-1 巻末pp.10-27.
- ^ 鈴木学術財団『漢訳対照梵和大辞典 増補改訂版』講談社、1979年、982頁。
- ^ a b 秋道智彌『魚と人の文明論』 臨川書店 2017 ISBN 978-4-653-04118-4 pp.15-18.
- ^ Boardman, John (2015). The Greeks in Asia. Thames and Hudson. ISBN 0500252130