マイクロン・テクノロジ
マイクロン・テクノロジ(英: Micron Technology)(マイクロン・テクノロジー)は、アメリカ合衆国アイダホ州ボイシ市に本社を置く、半導体製造の多国籍企業である。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | NASDAQ: MU |
略称 |
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本社所在地 |
アメリカ合衆国 83707‐0006
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設立 | 1978年10月23日 |
業種 | 製造業 |
事業内容 | 半導体メモリの開発および製造 |
代表者 | サンジェイ・メイロトラ (CEO) |
資本金 | $12,928百万 |
発行済株式総数 | 1,041,537,057 |
売上高 | $12,399百万 |
営業利益 | $168百万 |
純利益 | $276百万 |
純資産 | $12,928百万 |
総資産 | $27,540百万 |
従業員数 | 約31,400 |
決算期 |
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関係する人物 |
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外部リンク | https://www.micron.com/home |
特記事項:額面は連結・アメリカ合衆国ドル建てである。 |
なお、ナスダックで上場されている同社の株式はナスダック100指数の銘柄の一つにも成っている。
詳細
編集マイクロン・テクノロジーは、1978年10月23日に、デニス・ウィルソンとダグ・ピットマンとジョー・パーキンソンの3人のエンジニアおよび弁護士であったウォード・パーキンソン(初代CEO)により[R 1]、モステック向けの[R 2]半導体製品の設計会社としてアメリカ合衆国アイダホ州ボイシ市の西部にあった歯科医院の建物の地下室にて創業された[R 3]。
現在では、同社はコンピューターにおける主記憶・ストレージ用の各種半導体メモリ(DRAMやフラッシュメモリとそれらの搭載製品群)を開発・製造・販売している[R 4]。 ただし、エンドユーザー向けの製品はクルーシャル・テクノロジーやバリスティクス・ゲーミングのブランドで製造・販売されている。
なお、同社は、2012年から毎年連続でTop100グローバル・イノベーターに選ばれ[R 5]、研究開発では2014年時点で世界第8位と多額の投資を行っている[R 6]。 同社は、ガートナーから発表された2014年の半導体メーカー売上高ランキングでは、垂直統合型デバイスメーカー (IDM) としては世界第4位の市場シェアを持つ[R 7]。
また、インテルと共同設立したIM・フラッシュ・テクノロジーズがフラッシュメモリの製造を行っている。 さらに、KTIセミコンダクターの買収で既にDRAMの開発研究拠点を築いていた日本で、更にエルピーダメモリ[R 8]を買収したことで、メインフレーム・ワークステーション・PCなどの汎用DRAMの他に、モバイル用のDRAM[C 1]もラインナップに加わった。
2020年、1α(1-alpha)[1]と呼ばれるDRAMプロセス技術を公表、2021年初頭から同プロセス技術を適用したメモリチップの出荷を開始した旨を発表している[2][3]。
日本法人
編集日本国内に登記されているマイクロン・テクノロジーの子会社は2系統存在する。
- 神戸製鋼所とテキサス・インスツルメンツ (TI) からの流れを汲むマイクロンジャパン (MJP)(【旧】KTIセミコンダクター)[R 9]
- 日本電気と日立製作所および三菱電機からの流れを汲むマイクロンメモリジャパン (MMJ)(【旧】エルピーダメモリ)[R 10][R 11]
新型メモリの開発
編集2015年7月28日に、マイクロン・テクノロジーはインテルと共同で新型の半導体メモリとして3D XPointを発表した[4]。
両社によれば以下のような特徴を有しているとしている。
- 不揮発性のメモリセルを採用
- NANDフラッシュメモリ比で最大1000倍のスイッチング速度と耐久性を備え、更に、DRAM比で10倍の集積度
- メモリセルの高密度化とコスト削減の為に、その選択に従来用いられてきたトランジスタを排したクロスポイント構造を採用
- 市松格子パターンのメモリセル配列を採用し、ノイズに因る影響を低減
- メモリセル配列を複数層に積層した3次元構造を採用し、更なる記憶容量向上を実現
2019年現在に至るまで両社はメモリセルの詳細は公表していないが、外部企業による調査の結果相変化メモリであることが明らかになっている[5]。インテルから「Optane」として商品化された一方で、マイクロンからは「QuantX」というブランド名は発表されたものの2019年8月時点まで発売されていない[6]。
沿革
編集- 1978年10月23日 ‐ ウォード・パーキンソンをCEOとして半導体設計のコンサルティング会社という業態で創業[R 3]。
- 1980年 ‐ アイダホのポテト王として知られるジョン・リチャード・シンプロットに買収される[R 12]。
- 1981年 ‐ トーマス・ニコルソン(2005年まで取締役を務める[R 13])が提供した土地に初の半導体製造工場を完成させる[R 3]。
- 1982年 ‐ DRAM事業に参入[R 3]。
- 1984年 ‐ ナスダックに株式を上場[R 3]。
- 1990年11月30日 ‐ ニューヨーク証券取引所に株式を上場[R 3]。
- 1991年 ‐ 大容量の主記憶を搭載したPCの廉価での供給を目的として子会社エッジ・テクノロジーを設立。
- 1994年9月 ‐ ウォード・パーキンソンが、ジョン・リチャード・シンプロットとの対立の末に、CEOを辞任し[R 3]、その後任として、スティーヴン・アップルトンがCEOに就任。
- 1996年
- ?月
- ジョン・リチャード・シンプロットが出資を引き上げ始める[R 14][R 15]。
- マイクロン・コンピューターとマイクロン・カスタム・マニュファクチャリング・サービシーズ (MCMS) およびZEOS・インターナショナルをマイクロン・エレクトロニクスとして統合。
- エンドユーザーへの販売と市場対応の子会社をクルーシャル・テクノロジーとして設立。
- ?月
- 1998年 ‐ テキサス・インスツルメンツより半導体メモリ事業(DRAM事業を主力としていた)を買収。
- 2000年 ‐ 科学技術教育とコミュニティ組織支援を目的として、子会社マイクロン・テクノロジー・ファウンデーションを設立。
- 2001年
- ?月 - CMOSイメージセンサーの開発企業であったフォトビットを買収しCMOSイメージセンサー事業に参入。
- 2月16日 ‐ 神戸製鋼所とテキサス・インスツルメンツの合弁会社であったKTIセミコンダクター[C 2]をKMTセミコンダクターとして子会社化[R 9][R 16][R 17]。
- 2002年
- ?月 - インターナショナル・ビジネス・マシンズ (IBM) と東芝のジョイントベンチャーであったドミニオン・セミコンダクターを買収[C 3][R 18][R 19]
- 4月 ‐ KMTセミコンダクターの株式を全て買い取って同社を子会社マイクロンジャパンとする[R 20]。
- 2003年2月23日 ‐ 全体の10%に相当する約1800人が解雇される。特にマナッサスのサイトにて約500人が解雇される[R 21]。
- 2004年 ‐ NAND型フラッシュメモリ事業に参入。
- 2005年 ‐ NAND型フラッシュメモリの開発・製造の合弁会社設立でインテルと合意。
- 2006年
- ?月
- インテルと共同でIM・フラッシュ・テクノロジーズを設立。
- フラッシュメモリの製品ポートフォーリオ拡充のため、レキサー・メディアを買収(マイクロン・コンシューマー・プロダクツ・グループ傘下)。
- ?月
- 2008年3月4日 ‐ CMOSイメージセンサー事業を子会社アプティナ・イメージングとして分離[R 22][R 23][R 24][R 25]。
- 2009年
- 2010年 ‐ ニューモニクス(インテルとSTマイクロエレクトロニクスの合弁会社)をマイクロン・セミコンダクター・イタリア (MIT) として買収し[R 27][R 28]てNOR型フラッシュメモリ事業に参入。
- 2012年
- 2013年
- 2014年1月23日 ‐ エルピーダメモリ買収による人員調整も含め[R 38]て全体の5%に相当する約1500人が解雇される。特にイタリアの各サイトでは合算で1028人中の419人(約41%)が解雇される[R 39]。
- 2015年7月28日 ‐ インテルと共同で新型の半導体メモリを発表[R 40][R 41][R 42][R 43][R 40]。
- 2016年7月14日 ‐ 業績悪化で全体の7.5%に相当する約2400人を解雇[R 44][R 45]。
- 2017年6月26日 - レキサーブランドからの撤退を発表。[7]
- 2018年
テレビ番組
編集- 日経スペシャル ガイアの夜明け 技術立国ニッポンの決断 〜日の丸メモリー 最後の反撃〜(2003年7月22日、テレビ東京)[10]。
注釈
編集出典
編集- ^ Allan, Roy A. (1 October 2001). A History of the Personal Computer The People and the Technology (英語). Ian Allan Publishing. ISBN 0968910807。
- ^ “Micronʼs first contract was for the design of a 64K memory chip for Mostek Corporation.” ( ). マイクロン・テクノロジー. 2017年2月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g 脇英世. “アイダホのポテト王からパソコン王へ”. ITmedia. アイティメディア. 2009年3月6日閲覧。
- ^ “Memory and Storage Products” ( ). マイクロン・テクノロジー. 2013年11月22日閲覧。
- ^ “Top100 グローバル・イノベーター・アワード”. クラリベイト・アナリティクス. 2017年1月1日閲覧。
- ^ “Top semiconductor R&D leaders ranked for 2014” ( ). エクステンション・メディア. 2015年4月7日閲覧。
- ^ "Worldwide Semiconductor Revenue Grew 7.9 Percent in 2014, According to Final Results by Gartner" (Press release) ( ). ガートナー. 7 April 2015.
- ^ 2013年2月27日に経営破綻して会社更生法の適用を申請した
- ^ a b 『マイクロン・テクノロジー社によるKMTセミコンダクター(株)の経営権取得について』(プレスリリース)神戸製鋼所、2000年10月18日 。
- ^ 『NECと日立、DRAMの合弁会社を設立』(プレスリリース)日本電気、1999年12月29日 。
- ^ 『NEC日立メモリ株式会社を設立』(プレスリリース)日立製作所、1999年12月27日 。
- ^ “Entrepreneur J.R. Simplot Dies At 99” ( ). フォーブス (フォーブス・メディア). (2008年5月26日)
- ^ “マイクロン・テクノロジー、トーマス・ニコルソン取締役の2005年度末での退任を発表”. ビジネス・ワイヤー (ビジネス・ワイヤー). (2005年8月22日)
- ^ “Simplot Reduces Stake In Micron Technology” ( ). シアトル・タイムズ (シアトル・タイムズ・カンパニー). (1996年7月13日)
- ^ “J.R. Simplot Further Reduces Stake In Micron Technology” ( ). シアトル・タイムズ (シアトル・タイムズ・カンパニー). (1996年7月31日)
- ^ 『KMTセミコンダクター(株)の株式譲渡契約の締結について』(プレスリリース)神戸製鋼所、2000年10月18日 。
- ^ 長広恭明 (2000年10月18日). “神戸製鋼と米Micron, KMTの株式譲渡を正式発表”. Tech-On! (日経BP社)
- ^ 『ドミニオン・セミコンダクタ社の買取によるメモリ事業体制の再編について』(プレスリリース)東芝、1999年7月7日 。
- ^ “Microelectronics Facility” ( ). IDC. 2013年11月22日閲覧。
- ^ “タワージャズジャパンについて”. タワージャズジャパン. 2014年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月22日閲覧。
- ^ “Hughes Sees Little Financial Impact From Micron Layoffs” ( ). ワシントン·ポスト (WPカンパニー). (2003年2月23日)
- ^ "Aptina Imaging Enhances Technology and Product Portfolio" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 4 March 2008.
- ^ 加納征子 (2008年3月5日). “米Micron Technology社, CMOSセンサ事業を分社化”. Tech-On! (日経BP社)
- ^ "Micron Launches Aptina Imaging: A CMOS Image Sensor Division" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 4 March 2008.
- ^ “History / Legacy” ( ). アプティナ・イメージング. 2014年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月22日閲覧。
- ^ “Micron to cut up to 2,000 more jobs” ( ). CNET (CNETネットワークス). (2009年2月23日)
- ^ "Micron Announces Agreement to Acquire Numonyx" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 9 February 2010.
- ^ "Micron Announces Closing of Numonyx Acquisition" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 7 May 2010.
- ^ “Steve Appleton 1960-2012” ( ). マイクロン・テクノロジー. 2013年11月22日閲覧。
- ^ 福田昭 (2012年2月6日). “半導体メモリ大手MicronのCEO、Appleton氏が急逝”. Impress Watch (インプレス)
- ^ "Micron Technology Announces Update" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 3 February 2012.
- ^ 『不本意な敗戦 エルピーダの戦い』日本経済新聞出版社、2013年10月8日。ASIN 4532318998。ISBN 9784532318994 。
- ^ "Micron and Elpida Announce Sponsor Agreement" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 2 July 2012.
- ^ 『エルピーダとマイクロンがスポンサー契約に合意』(PDF)(プレスリリース)エルピーダメモリ、2012年7月2日。オリジナルの2013年12月3日時点におけるアーカイブ 。
- ^ "Micron and Elpida Announce Closing of Sponsor Agreement Transactions" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 31 July 2013.
- ^ 『エルピーダとマイクロンがスポンサー契約手続を完了』(PDF)(プレスリリース)エルピーダメモリ、2013年7月31日。オリジナルの2013年12月3日時点におけるアーカイブ 。
- ^ “Annual Report” ( ). マイクロン・テクノロジー>. 2013年8月29日閲覧。
- ^ “Micron to layoff 50% of Italian workforce” ( ). Evertiq (ディスカス). (2014年1月23日)
- ^ “Micron Italy lay-offs escalate into international diplomatic row” ( ). エレクトロニクス·ウィークリー (メトロポリス·インターナショナル). (2014年1月31日)
- ^ a b "A Revolutionary Breakthrough In Memory Technology" (PDF) (Press release) ( ). インテル. 28 July 2015.
- ^ "3D XPoint Technology Media Kit" (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 28 July 2015.
- ^ "Introducing Intel Optane Technology ― Bringing 3D XPoint Memory to Storage and Memory Products" (Press release) ( ). インテル. 28 July 2015.
- ^ "Intel and Micron Produce Breakthrough Memory Technology ― New Class of Memory Unleashes the Performance of PCs, Data Centers and More" (PDF) (Press release) ( ). マイクロン・テクノロジー. 28 July 2015.
- ^ “Micron Layoffs: 2,400 Job Cuts, 7.5 Percent of Staf” ( ). チャンネルE2E. (2016年6月30日)
- ^ Micron reportedly completes layoffs ( ). KTVB-TV. 14 July 2016.
- ^ “Inside 1α — the World’s Most Advanced DRAM Process Technology”. 2022年1月2日閲覧。
- ^ “1α DRAM Technology”. 2022年1月2日閲覧。
- ^ GOODRICH, JOANNA (2021). “From Refugee to Micron VP”. IEEE Spectrum 58 (12): 58-59.
- ^ 『インテルとマイクロン、新メモリ技術「3D XPoint」を発表 - CNET Japan』(プレスリリース)2015年7月28日 。2019年10月6日閲覧。
- ^ “【イベントレポート】ついに明らかになった3D XPointメモリの正体。外部企業がダイ内部を原子レベルで解析 ~相変化メモリとオボニックスイッチで構成 - PC Watch” (2017年8月15日). 2019年10月6日閲覧。
- ^ “【福田昭のセミコン業界最前線】アナリストが見た3D XPointメモリの過去・現在・未来 - PC Watch” (2019年8月29日). 2019年10月6日閲覧。
- ^ https://www.micron.com/about/blogs/2017/june/micron-discontinuing-lexar-removable-storage-retail-business
- ^ “IntelとMicron、2019年以降の3D NAND共同開発を解消”. 2019年10月5日閲覧。
- ^ “「3D XPoint」、Intelは強気もMicronは手を引く? (1/2) - EE Times Japan”. 2019年10月6日閲覧。
- ^ 技術立国ニッポンの決断 〜日の丸メモリー 最後の反撃〜 - テレビ東京 2003年7月22日
関連項目
編集関連項目が多すぎます。 |
- マイクロンジャパン(【旧】KMTセミコンダクター|KTIセミコンダクター)・マイクロンメモリジャパン(【旧】エルピーダメモリ)
- クルーシャル・テクノロジー・バリスティクス・ゲーミング
- テキサス・インスツルメンツ・神戸製鋼所
- イスラエル・コーポレーション・タワージャズ(タワー・セミコンダクター)・タワージャズジャパン
- 力晶半導体・瑞晶電子
- インフィニオン・テクノロジーズ・キマンダ
- インテル・STマイクロエレクトロニクス・ニューモニクス・IM・フラッシュ・テクノロジーズ
- 東芝・インターナショナル・ビジネス・マシンズ・ドミニオン・セミコンダクター
- アプティナ・イメージング
- フォトビット
- 揮発性メモリ
- 不揮発性メモリ
- CMOSイメージセンサ