同じ函数を表す記号だが、表記にはいくつかバリエーションがある。
- : 組合せ論で使用
- : 解析学、特殊函数論で使用
- : (その他の記法)
複素数 x と正整数 n に対して、特殊函数論では (x)n を昇冪[* 2]
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を表すのに用いるが、組合せ論では (x)n を降冪[* 3]
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として用いる。混乱を避けるため、昇冪を (x)n, 降冪を (x)n でそれぞれ表すこともよく行われる[* 4]。さらに グラハム, クヌース & パタシュニク (2020, pp. 48–49, 64) は全く別の冪乗に似た記号を用いる。
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差分学における降冪は微分学における冪の類似対応物である。
ガンマ関数Γを用いると
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となる(ただしガンマ関数の引数が非正整数でない場合)。さらに x が正整数のときは階乗を用いて
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- ポッホハマー記号 (x, n) は複素変数 x に関して有理型函数である。
- 任意の自然数 n ∈ N に対して (x, n) は x の多項式であり、x = 0 を共通根に持つ。
- 変数 x の符号を反転するとき
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- 径数 n の符号を反転するとき、以下の関係式が成り立つ:
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- 商の法則:
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- 特殊値:
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- 二項係数との間に以下の関係がある:
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ポッホハマー記号は函数の冪級数展開を表すのに用いられる。いくつか例を挙げれば、
- ニュートンの二項級数:
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- 超幾何函数:
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ポッホハマー記号の q-類似に q-ポッホハマー記号がある。これは
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で定義される。
多重指数に対するポッホハマー記号を以下のように定めることができる:
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- Pochhammer, L. (1888). “Ueber die Differentialgleichung der allgemeineren hypergeometrischen Reihe mit zwei endlichen singulären Punkten”. Journal für die reine und angewandte Mathematik 102. http://www.digizeitschriften.de/dms/resolveppn/?PPN=GDZPPN002160536.
- Graham, Ronald L.; Knuth, Donald E.; Patashnik, Oren (1988), Concrete Mathematics: A Foundation for Computer Science, Addison-Wesley
- Seaborn, James B. (1991). Hypergeometric Functions and their applications. New York: Springer Verlag. ISBN 0-387-97558-6
- Knuth, Donald E. (1992), “Two notes on notation”, American Mathematical Monthly 99 (5): 403–422, arXiv:math/9205211, doi:10.2307/2325085, JSTOR 2325085, https://jstor.org/stable/2325085