ボディ・ランゲージ (クイーンの曲)

クイーンの楽曲

ボディ・ランゲージ』(Body Language ↑⬱)は、英国のロックバンドクイーン1982年に発表した楽曲で、同年の4月19日にアルバム『ホット・スペース』からの先行シングルとして発売され、B面には「ライフ・イズ・リアル (レノンに捧ぐ)」が収録された[2]。 アメリカのチャートでは11位まで上昇するが、イギリスでは25位にとどまり、イギリスでの不評を象徴する結果となった[3]

「ボディ・ランゲージ」
クイーンシングル
初出アルバム『ホット・スペース
B面 ライフ・イズ・リアル (レノンに捧ぐ)
リリース
規格 レコード (7", 12")
録音 1981年 - 1982年
ジャンル ファンク[1]
時間
レーベル EMI (イギリス)
エレクトラ・レコード (アメリカ)
ワーナー・パイオニアエレクトラ (日本)
作詞・作曲 フレディ・マーキュリー
プロデュース クイーン
マック
クイーン シングル 年表
アンダー・プレッシャー
(1981年)
ボディ・ランゲージ
(1982年)
ラス・パラブラス・デ・アモール (愛の言葉)
(1982年)
ミュージックビデオ
「Body Language」 - YouTube
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概要

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後にロジャー・テイラーが「アルバムとしては悪くないが、時代を先取りしすぎたアルバム」と語った『ホット・スペース』からの先行シングル[4]

アンダー・プレッシャー』も『ホット・スペース』に収録されているシングル曲だが、『アンダー・プレッシャー』は時系列的には「グレイテスト・ヒッツ」に先に収められている国もあるため、実質的にこの曲が『ホット・スペース』からの"シングル・カット第一弾"とされている[5]

ドラムのプログラミングはマーキュリーによるものである[6]

ミュージック・ビデオ

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ゲイ浴場の内装を模したと思われるスチーム・サウナのような場所で男女が戯れる」[7]という内容のミュージック・ビデオとストレートで卑猥すぎる歌詞はアメリカで大いに物議を醸し、多くのTV局がこの曲のビデオの放送を禁止する事態となった。MTVにおいて「最初に放送禁止になった曲」となっている[8]。ビデオはカナダのトロントで1982年の4月に撮影された。監督はブライアン・グラント(Brian Grant)[9]

評価

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チャートとは裏腹に、アルバム自体の評価はレコード・ミラーサウンズ、ニュー・ミュージカル・エクスプレスの各イギリスの音楽紙で好評だった[10]

また、この曲は全米のバーやダンスクラブでは人気を博した[9]

  • ローリングストーン誌は「全く楽しくないファンク」と評している[11]
  • 東郷かおる子は「作品単体として取り上げれば、『ボディ・ランゲージ』のファンキーな味は魅力的」と評している[12]

メンバーによる発言

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  • ブライアン・メイはこの曲について「ホット・スペースのためにフレディが書いてきた曲のいくつかには、明らかにゲイ・セクシュアルの視点から書かれたものがあった。僕たちにはいろいろな信念を持った友人がいるのですべてを受け入れていくのはいいだろうけれど『ボディ・ランゲージ』のようなゲイ・アンセムは、僕が締め出されているような感覚があった」と語っている[13]
  • ジョン・ディーコンは『地獄へ道連れ』、『アンダー・プレッシャー』、『ボディ・ランゲージ』を立て続けにリリースしたことで「長年のファンを幻滅させ、ロックファンの一部を失ったかもしれない。それは自覚しているし、次のアルバムに活かす」と語っている[14]

シングル収録曲

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  1. ボディ・ランゲージ - Body Language (Mercury)
  2. ライフ・イズ・リアル (レノンに捧ぐ) - Life Is Real (Song For Lennon) (Mercury)

ただし、カナダでは『アンダー・プレッシャー』のカップリングで『ボディ・ランゲージ』がB面のシングルが発売されており[15]、1983年にはアメリカでB面が『コーリング・オール・ガールズ』のシングルが発売されている[16]など、通常のカップリングとは異なるものもある。

収録アルバム 

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  • 1992年発売の「グレイテスト・ヒッツ」のハリウッド・レコード盤に収録[17]

チャート

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ピーク
イギリス 25
オーストラリア 28
カナダ 3
ドイツ 27
イタリア 13
オランダ 6
ニュージーランド 19
ポーランド 3
スウェーデン 10
アメリカ 11

別バージョン 

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  • 1991年にアメリカのハリウッドレコードから発売された『ホット・スペース』のCDには、ボーナス・トラックとしてスーザン・ロジャースによるリミックス・バージョンが収録されている[6]

ライブ 

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1982年11月3日の西武ライオンズ球場でのコンサートを始めとして「ホット・スペース・ツアー」で演奏された[18]。しかしながら当時VHSで発売された「ライブ・イン・ジャパン」には収録されなかった[19]。また1982年6月5日の「ミルトン・キーンズ・ボウル」のコンサートでは演奏されなかったため[20]、『オン・ファイアー/クイーン1982』にも収録されていない。

担当

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脚注

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  1. ^ John Milward (10 June 1982). Hot Space. Rolling Stone. Retrieved 9 June 2013.
  2. ^ Queen - Body Language”. Discogs. 2020年8月22日閲覧。
  3. ^ 和久井光司『地球音楽ライブラリー クイーン』TOKYO FM 出版、1996年、66頁。ISBN 4924880892 
  4. ^ 『MUSIC LIFE Presents クイーン (シンコー・ミュージックMOOK)』シンコー・ミュージック・エンタテイメント、2019年1月9日、97頁。ISBN 978-4-401-64687-6 
  5. ^ 日本版シングルのジャケットより。Elektra P-1650
  6. ^ a b Purvis,2012 (Kindle版 2048/17364)
  7. ^ 「クイーンは何を歌っているのか?」. 株式会社CDジャーナル. (2019年9月8日) 
  8. ^ Staff, C. P.. “Banned from MTV: 10 videos that got the axe”. City Pages. 2020年8月22日閲覧。
  9. ^ a b Purvis,2012 (Kindle版 4925/17364)
  10. ^ Purvis,2012 (Kindle版 2127/17364)
  11. ^ Milward, John (1982年6月10日). “Hot Space” (英語). Rolling Stone. 2020年8月22日閲覧。
  12. ^ 『炎』バーン・コーポレーション、1998年12月、59頁。 
  13. ^ マーティン パワー (著), 田村 亜紀、川原 真理子 (訳)『クイーン ─ 全曲解説シリーズ  』シンコーミュージック、2006年9月1日、143頁。ISBN 978-4401630547 
  14. ^ Purvis,2012 (Kindle版 12639/17364)
  15. ^ Queen & David Bowie - Under Pressure”. Discogs. 2020年8月22日閲覧。
  16. ^ Queen - Body Language / Calling All Girls”. Discogs. 2020年8月22日閲覧。
  17. ^ 『レコード・コレクターズ増刊 クイーン アルティミット・ガイド』ミュージック・マガジン、2005年11月、87頁。 
  18. ^ Body Language by Queen Song Statistics | setlist.fm”. www.setlist.fm. 2020年8月22日閲覧。
  19. ^ Official release: Live In Japan (VHS, LD) [QueenConcerts]”. www.queenconcerts.com. 2020年8月22日閲覧。
  20. ^ Queen Setlist at Milton Keynes National Bowl, Milton Keynes” (英語). setlist.fm. 2020年8月22日閲覧。

参考文献 

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  • Purvis, Georg (2012). Queen: Complete Works (English Edition). Titan Books 
  • Lemieux, Patrick; Unger, Adam (2018). The Queen Chronology (2 ed.). Across The Board Books