ホヴズ
ホヴズ(古ノルド語: Hǫfuð)は、北欧神話の神ヘイムダッルルの剣。この名称は古ノルド語で「(人間の)頭」[1]を意味し、ノルウェー方言の hovud や現代ドイツ語の Haupt に類似するものである。谷口幸男訳『エッダ 古代北欧歌謡集』では〈頭〉と訳出されている[2]。英語化 (Anglicisation) された形 Hofud からホフドと表記されていることもある。
この剣は、『スノッリのエッダ』第1部『ギュルヴィたぶらかし』の第26章で言及されている。
原文(アンソニー・フォークス (Anthony Faulkes) の校訂。強調は引用者による):
日本語訳:
- Heimdalar sverð er kallat Hǫfuð.[3]
- ヘイムダッルルの剣はホヴズ(頭)と呼ばれる。
また、『スノッリのエッダ』第2部『詩語法』第8章では、ヘイムダッルルの頭は「剣のケニングである」という言及がある[4][5]。
原文:
日本語訳:
- Heimdallar höfuð heitir sverð. Svá er sagt, at hann var lostinn mannshöfði í gegnum. Um þat er kveðit í Heimdallar galdri, ok er síðan kallat höfuð mjötuðr Heimdallar.[6]
- ヘイムダッルルの頭とは剣の言い換え(ヘイティ)である。話によれば、彼は人の頭に貫かれたという。これは『ヘイムダッルルの呪文歌』で歌われており、それから頭はヘイムダッルルの死と呼ばれている。
脚注
編集参考文献
編集- Simek, Rudolf (2007) translated by Angela Hall. Dictionary of Northern Mythology. D.S. Brewer. ISBN 0859915131.
- Faulkes, Anthony (1982), edition of: Snorri Sturluson. Edda. Prologue and Gylfaginning. London: Viking Society for Northern Research. ISBN 0903521210.
- V. G. ネッケル 他編、谷口幸男 訳『エッダ 古代北欧歌謡集』新潮社、1973年、ISBN 978-4103137016
- 谷口幸男「スノリ「エッダ」「詩語法」訳注」『広島大学文学部紀要』第43巻特輯号3、広島大学文学部、1983年12月、1-122頁、ISSN 04375564、NAID 40003290104。
- Snorri Sturluson; Anthony Faulkes (trans. and ed.) (1995). Edda. Everyman’s Library. London: Everyman. ISBN 0-460-87616-3