ペトラ・フォン・カントの苦い涙
『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』(ペトラフォンカントのにがいなみだ、独: Die bitteren Tränen der Petra Von Kant, 英: The Bitter Tears of Petra von Kant)は、1972年の西ドイツの恋愛ドラマ映画。ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが1971年に書いた同題の5幕構成の戯曲[2][3]を、ファスビンダー自らが監督・脚本を務めて映画化した作品で、出演はマーギット・カーステンゼン、ハンナ・シグラなど。
ペトラ・フォン・カントの苦い涙 | |
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Die bitteren Tränen der Petra Von Kant | |
監督 | ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー |
脚本 | ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー |
原作 |
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 『Die bitteren Tränen der Petra von Kant』 |
製作 |
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー ミハエル・フェングラー |
出演者 |
マーギット・カーステンゼン ハンナ・シグラ カトリン・シャーケ エファ・マッテス ギーゼラ・ファッケルディ イルム・ヘルマン |
音楽 | プラターズ |
撮影 | ミヒャエル・バルハウス |
編集 | テア・アイメス |
製作会社 |
フィルムフェアラーク・デア・アウトーレン Tango Film |
配給 | フィルムフェアラーク・デア・アウトーレン |
公開 |
1972年6月25日(BIFF) 1972年10月5日 |
上映時間 | 124分 |
製作国 | 西ドイツ |
言語 | ドイツ語 |
興行収入 | $8,144[1] |
第22回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。
イルム・ヘルマンに捧げられている(フィルム冒頭に「本作でマルレーネを演じる者に捧ぐ」という献辞がある)。
日本では劇場公開されていないが、2018年12月22日にDVDが発売された[4]他、同日に発売された「ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー Blu-ray BOX」にも収録されている[5]。
ストーリー
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キャスト
編集- ペトラ・フォン・カント: マーギット・カーステンゼン - ファッションデザイナー。
- カリン: ハンナ・シグラ - 自堕落で奔放な若い女性。
- シドニー: カトリン・シャーケ - ペトラの友人。ペトラにカリンを紹介。
- ガブリエル: エファ・マッテス
- ヴァレリー: ギーゼラ・ファッケルディ
- マルレーネ: イルム・ヘルマン - ペトラのアシスタント。
作品の評価
編集- 原作戯曲の舞台初演は不評であったと伝わるが、「翌年の映画化に際して、結末をドラマティックに変更したことにより、作品の印象が改善された」と評価されている[2]。
- Rotten Tomatoesによれば、26件の評論のうち高評価は88%にあたる23件で、平均点は10点満点中8点、批評家の一致した見解は「思い返せばさらに力強さを増す思慮深いドラマである『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』は、人とのつながりを求めて苦悩する女性の姿を繊細に描いている。」となっている[6]。
- Metacriticによれば、9件の評論のうち、高評価は8件、賛否混在は1件、低評価はなく、平均点は100点満点中73点となっている[7]。
リメイク
編集2022年にフランソワ・オゾン監督により、主人公2人を男性に置き換えて『苦い涙』としてリメイクされ、第72回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として初上映された[8]。主演はドゥニ・メノーシェ、ハリル・ベン・ガルビア。
備考
編集ルカ・グァダニーノ監督がメインキャスト全員を女優で固めて撮影した映画『サスペリア』(2018年)は、本作にオマージュを捧げているとされる[9]。また同作は、ファスビンダー監督の元妻で作品にも多数出演した女優イングリット・カーフェンを寮母役として起用している[10][11][9]。
脚注
編集- ^ “The Bitter Tears of Petra von Kant” (英語). Box Office Mojo. 2022年9月29日閲覧。
- ^ a b 寺尾 格「ファスビンダーのメロドラマと市民悲劇」、『専修大学人文科学研究所月報』第212号・ファスビンダー特集、2004年9月20日。(なお、同号に「シンポジウム鼎談(小野沢稔彦+渋谷哲也+寺尾格)『ファスビンダーとニュー・ジャーマンシネマ』」を収載。)
- ^ “戯曲「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」”. OVNI (2015年3月5日). 2023年2月20日閲覧。
- ^ “ペトラ・フォン・カントの苦い涙【DVD】”. amazon.co.jp. 2022年9月29日閲覧。
- ^ “ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー Blu-ray BOX”. amazon.co.jp. 2022年9月29日閲覧。
- ^ "The Bitter Tears of Petra von Kant". Rotten Tomatoes (英語). 2022年9月29日閲覧。
- ^ "The Bitter Tears of Petra von Kant" (英語). Metacritic. 2022年9月29日閲覧。
- ^ Ravindran, Manori (2022年1月12日). “Francois Ozon’s ‘Peter Von Kant’ to Open Berlin Film Festival” (英語). Variety 2022年9月29日閲覧。
- ^ a b 斉藤博昭 (2019年1月27日). “『サスペリア』2作を徹底比較! オリジナル版との違いとこだわり、解釈のヒントを解説”. otocoto. 2023年2月19日閲覧。
- ^ 佐藤友紀 (2019年1月24日). “「女優だけで映画を撮りたかった」という非凡さ/映画『#サスペリア』のルカ・グァダニーノ監督インタビュー”. SPUR(シュプール). 2023年2月20日閲覧。
- ^ “ダコタ・ジョンソン──役と、自分自身と真摯に向き合う華麗なるDNAを受け継ぐ。”. VOGUE JAPAN (2019年1月25日). 2023年2月19日閲覧。