セタノール
セタノール (cetanol) は、アルコールの1種であり、中でも高級飽和脂肪族アルコールに分類される。セチルアルコール (cetyl alcohol)、パルミチルアルコール (palmityl alcohol) とも呼ばれる。IUPAC系統名は 1-ヘキサデカノール (1-hexadecanol)。
セタノール | |
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1-ヘキサデカノール | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 36653-82-4 |
KEGG | C00823 D00099 (医薬品添加物) |
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特性 | |
化学式 | C16H33OH、もしくは CH3(CH2)15OH |
示性式 | CH3(CH2)15OH |
外観 | 常温常圧で白色のろう状固体 |
融点 |
49 ℃[1] |
沸点 |
190 ℃[1] (15 mmHg) |
関連する物質 | |
関連物質 | ヘキサデカナール |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
性質
編集水に不溶で、アルコール特有の臭いがある。常圧(760 mmHg)において融点は 49 ℃ であり、沸点は344 ℃である[1]。したがって、常温常圧においては固体である。なお、参考までに15 (mmHg)まで減圧すると、沸点は 190 ℃まで低下する[1]。
歴史
編集セタノールは、フランスの化学者ミシェル=ウジェーヌ・シュヴルールによって1813年に発見された[1]。鯨蝋を加熱して得られた脂肪分を水酸化カリウムと反応させ、冷却した後にセチルアルコールの薄片が残ったとされる。 セチル cetyl の名前の由来も、鯨によるものであり、くじら座を示すラテン語の Cetus である。ヘキサデカン (C16H34) の旧称 セタン はここから来ている。
現代では捕鯨禁止により、パーム油等の植物油を精製し製造されたものが代用されている。パルミチルアルコールという別名は、パーム (palm) 油に由来する。なお、パルミチン酸のカルボキシ基を還元して水酸基にしたものが、セタノール(パルミチルアルコール)である。
用途
編集化粧品等の原料に利用されている。保湿クリームに乳化ワックスとして用いるほか、界面活性剤としてシャンプーに用いられる。増粘剤としても用いられる事もある。他に、機械のナットやボルトへの潤滑剤(高級アルコール系潤滑剤など)の原料として使われる。