ヘイ・ブルドッグ
「ヘイ・ブルドッグ」(Hey Bulldog)は、ビートルズの楽曲である。1969年に発売された10作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『イエロー・サブマリン』に収録された。レノン=マッカートニーの作品で、ポール・マッカートニーの協力のもとで、ジョン・レノンが書いた楽曲[5]。「レディ・マドンナ」のミュージック・ビデオの撮影中にレコーディングされた楽曲で、同作と同じくピアノのリフを主体とした楽曲となっている。
「ヘイ・ブルドッグ」 | ||||||||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||||||||
収録アルバム | 『イエロー・サブマリン』 | |||||||||||||||
英語名 | Hey Bulldog | |||||||||||||||
リリース | 1969年1月13日 | |||||||||||||||
録音 |
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ジャンル | ||||||||||||||||
時間 | 3分14秒 | |||||||||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||||||||
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イギリスやアメリカでは、シングルとして発売されることはなかったが、ヨーロッパではビートルズ解散後の1972年にシングル盤『オール・トゥゲザー・ナウ』のB面曲としてリカットされた。
背景
編集本作のレコーディングが行われる数日前、マッカートニーは吠え声のような効果音が入ったポール・ジョーンズの楽曲「The Dog Presides」でドラムを担当した。その後のビートルズのレコーディング中に、マッカートニーは唐突に犬の吠える声を真似しだした[6]。本作は当初「Hey Bullfrog」というタイトル[7][5]で作曲され、リハーサルが行なわれていたが、レノンとマッカートニーが犬の吠え声を真似たコーラスを入れることになり、「Hey Bulldog」に改題することとなった[5]。
当初映画『イエロー・サブマリン』のプロジェクトについて、メンバーは良く思っていなかった。その後作品を気に入ったことにより意識を改め、制作側から新曲を求められたことから、本作を手早く仕上げることとなった[8]。本作についてレノンは、「良い音のレコードだけど、何の意味もない」と語っている[8]。
「She Can Talk To Me」と題されたデモ・テイクが存在しており、このテイクは半音階の上昇を模倣したコーラスで構成されている[9]。
レノンが書いた元の歌詞では「measured out in news」となっていたが、マッカートニーは誤って「measured out in you」と歌ってしまった。レノンはこれを気に入り、歌詞を変更した[9]。
レコーディング
編集「ヘイ・ブルドッグ」のレコーディングは、1968年2月11日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ3で行なわれ[9]、インドへ出発する前にレコーディングされた最後の楽曲となった[5]。この日は「レディ・マドンナ」のプロモーション・ビデオの撮影が計画されていたため、カメラで撮影されながらのレコーディングとなった[9]。
レノンがピアノ、マッカートニーがタンバリン、ジョージ・ハリスンがリズムギター、リンゴ・スターがドラムという編成でベーシック・トラックが録音され、10テイクで完成となった[10]。トラック2にマッカートニーがベース、ハリスンがファズを効かせたギターで弾いたダブルトラックのメインのリフを録音し、スターはオフビートで叩いたスネアドラムをコーラスとコーダに追加した[10]。続いてレノンとマッカートニーがスタンドマイクを共有して、レノンの手書きの歌詞を読みながら、メインのボーカル・トラックを作成[10]。なお、マッカートニーは、レノンのボーカル・パート(A)より下のキーで歌っている[9]。
レコーディング時の様子はトニー・ブラムウェルによって撮影されていたが、最後のオーバー・ダビング時にはカメラが止められていた[10]。この時にレノンがボーカルのリフレインをダブルトラックで録音したほか、ハリスンのギブソン・SGスタンダードを借りてギターソロを録音したとされている[10]。
同日の夜にテープの回転速度を速めたモノラル・ミックスが作成され、アニメ映画用にキング・フィーチャーズ・シンジケートに送られた[10]。10月29日にサウンドトラック・アルバム用にステレオ・ミックスが作成された[10]。なお、イギリスではサウンドトラック・アルバム『イエロー・サブマリン』のモノラル盤が発売されているが、同盤に収録されたのはステレオ・ミックスをモノラル化した音源となっている[10]。
リリース・評価
編集1968年に公開されたビートルズのアニメ映画『イエロー・サブマリン』では、ビートルズがブルードッグを茶化すシーンで使用されている。しかし、アメリカでの公開時には本作が使用されたシーンはカットされた[10]。その後、ソフト化の際に本作のシーンが復活した[10]。
アメリカで1969年1月13日にアップル・レコードから『イエロー・サブマリン』が発売され、「ヘイ・ブルドッグ」は「オール・トゥゲザー・ナウ」と「イッツ・オール・トゥ・マッチ」の間の4曲目に収録された[11]。イギリスではこの4日後に発売された[12]。オールミュージックのトム・マギニスは「ポール・マッカートニーの『レディ・マドンナ』と肩を並べるほどの力作」[13]、リッチー・アンターバーガーは「レノンの悪趣味な一面も見られるが、素晴らしいビートと軸となるピアノのリフ、そして全体的に素晴らしい演奏で構成されている」[14]と評している。
1999年に本作のレコーディングの様子を撮影した映像を再編集して、本作のプロモーション・フィルムが制作され[15]、2015年に発売された『ザ・ビートルズ 1+』に収録された。また、1999年に発売された『イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』には、エコーがかけられ、リード・ボーカルとベースのトラックの定位が変更されたリミックス・バージョンが収録された[10]。
2006年に発売された『LOVE』に収録の「レディ・マドンナ」で、本作のギターリフが使用された[16]。
『ローリング・ストーン』誌が発表した「100 Greatest Beatles Songs」で第81位にランクインした[6]。
クレジット
編集※出典[10]
カバー・バージョン
編集脚注
編集出典
編集- ^ DeRogatis, Jim (2003). Turn On Your Mind: Four Decades of Great Psychedelic Rock. Milwaukie, Michigan: Hal Leonard. p. 48. ISBN 0-634-05548-8
- ^ Terence J. O'Grady (1 May 1983). The Beatles, a musical evolution. Twayne. p. 149. ISBN 978-0-8057-9453-3 . "Finally, Lennon's "Hey Bulldog," also recorded in January, 1968, is a rhythm and blues-influenced pop-rock song..."
- ^ Mojo. 150-153. EMAP Performance Limited. (2006)
- ^ Neaverson, Bob (March 1999). The Beatles Movies. Cassell. p. 94. ISBN 9780304337972 . "One of Lennon's most powerful acid-rock songs to date ('Hey Bulldog')..."
- ^ a b c d Womack 2016, p. 208.
- ^ a b “81 - 'Hey Bulldog'”. Rolling Stone (2020年4月10日). 2021年5月13日閲覧。
- ^ ビートルズと60年代 1996, p. 322.
- ^ a b Sheff 1981, p. 172.
- ^ a b c d e Everett 1999, p. 155.
- ^ a b c d e f g h i j k l Winn 2008, p. 157.
- ^ Miles 2007, pp. 281, 284.
- ^ Lewisohn 1988, p. 164.
- ^ Maginnis, Tom. Hey Bulldog - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2021年5月13日閲覧。
- ^ Unterberger, Richie. “Yellow Submarine - The Beatles | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. All Media Group. 2021年5月13日閲覧。
- ^ 1+ (book). The Beatles. Apple Records. 2015.
- ^ “It's hard not to LOVE the new Beatles album”. Miami Herald (2006年11月21日). 2006年11月23日閲覧。
- ^ “悩んで学んで | 奥田民生”. ソニーミュージックオフィシャルサイト. ソニー・ミュージックエンタテインメント. 2021年5月13日閲覧。
- ^ The Way The World Looks/Under The Influence EP - Wes Carr | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年5月13日閲覧。
参考文献
編集- Everett, Walter (1999). The Beatles as Musicians: Revolver Through the Anthology. Oxford University Press. ISBN 0-1951-2941-5
- Lewisohn, Mark (1990) [1988]. The Beatles Recording Sessions. Harmony Books. ISBN 0-5175-8182-5
- マクドナルド, イアン (1996). ビートルズと60年代. 奥田祐士(訳). キネマ旬報. ISBN 4-8737-6177-8
- Miles, Barry (2007). The Beatles: A Diary: An Intimate Day by Day History. London: Omnibus Press. ISBN 978-1-84772-082-5
- Sheff, David (1981). The Playboy Interviews with John Lennon and Yoko Ono. Playboy Press. ISBN 0-8722-3705-2
- Winn, John C. (2008). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. Three Rivers Press. ISBN 0-3074-5239-5
- Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. ABC-CLIO. ISBN 1-4408-4427-5
外部リンク
編集- Hey Bulldog - The Beatles