プロパティリスト
プロパティリスト(property list)は、macOS Cocoa・NeXTSTEP・GNUstepなどで利用されるオブジェクトシリアライゼーションのためのファイルである。また、 .plist
という拡張子をもつので、plistファイルと呼ばれることが多い。
拡張子 | .plist |
---|---|
MIMEタイプ | application/x-plist |
開発者 | Apple および GNUstep、 かつては NeXT |
種別 | データシリアライゼーション |
プロパティリストは NSPropertyListSerialization
クラスによってパースされる。プロパティリストが含むことができるのは、Foundation
または Core Foundation
のオブジェクトのみである。プロパティリスト全体は配列(NSArray
)または連想配列(NSDictionary
)でなければならない。
実用では、ユーザーの設定を保存するのによく使われる。これはWindowsにおけるレジストリと似た使い方である。また、プロパティリストはバンドルの情報を格納するためにも用いられ、以前のMac OSではリソースフォークが近い用途に用いられていた。
表現形式
編集プロパティリストが表現するデータは抽象的なもので、永続化のためのファイルフォーマットは固定されてはいない。元々、NeXTSTEPではひとつのフォーマットが使われていたが、その後のGNUstepやmacOSのフレームワークで異なるフォーマットが誕生した。
NeXTSTEP
編集NeXTSTEPにおいては、プロパティリストは可読なフォーマットとして設計され、人間が手で編集し、プログラミング言語風の構文をもつASCIIテキストに直列化された。
文字列 (NSString
) は、
"This is a plist string"
バイナリデータ (NSData
) は16進表記で、
< 54637374 696D67 >
配列は、
( "one", "two", "three" )
連想配列は、
{
"key" = "value";
…
}
と表記する。
このオリジナルのプロパティリストには制限があり、NSValue
(数値、真偽値など)のオブジェクトは表現できなかった。
GNUstep
編集GNUstep は NeXTSTEP のフォーマットを採用し、いくつかの拡張を施した。
NSValue
をサポートした。<*INNN>
(NNN
が数値)のように表記する。NSDate
(時刻)をサポートした。<*DYYYY-MM-DD HH:MM:SS timezone>
のように表記する。
GNUstep はまた、後述するmacOSのフォーマットも読み書きすることができる。(defaults)
- GNUstep に付属するツールにplget[1]などがある。
$ cat com.example.app.plist | plget key
$ cat com.example.app.plist | plget key | plget key
のようにすることでplist内の階層化されたキーに対応する値が取得できる。
macOS
編集macOSはNeXTSTEPのフォーマットも扱うことができるが、Appleは別にふたつの新しいフォーマットを開発した。
Mac OS X 10.0では、NeXTSTEPのフォーマットは非推奨とされ、Appleが定義したDTD [2]を持つ、新しいXMLフォーマットが登場した。
しかし、XMLは空間効率に問題があるため、10.2で新しいバイナリフォーマットが登場した。これはv10.4以降のデフォルトのフォーマットとなった。
10.2以降で利用できるユーティリティ「plutil」を使うと、プロパティリストの文法チェックや、フォーマット間の変換が可能となる。
macOSのXMLフォーマットで使われるタグと、それに対応するFoundation
のクラスを示す。ルート要素は<plist>
である。また、GNUstepのフォーマットとは多少違いがある。
クラス名 | XML要素 |
---|---|
NSString
|
string
|
NSNumber
|
real 、integer 、true 、false
|
NSDate
|
date
|
NSData
|
data
|
NSArray
|
array
|
NSDictionary
|
dict
|
dict
要素の中身は
<dict>
<key>key</key>
<string>value</string>
</dict>
のように記述する。