ブレートシュナイダーの公式(ブレートシュナイダーのこうしき、Bretschneider's formula)は、四角形の面積を与える公式である。四角形ABCD について、p, q, r, s をそれぞれの辺の長さ、T を半周長、A と C を互いに対角とすると、四角形の面積は
に等しい。円に内接する四角形の面積を表したブラーマグプタの公式の一般化であり、任意の四角形について成り立つ。名前の由来はドイツの数学者カール・アントン・ブレートシュナイダー(1808–1878)にちなむ。
四角形の面積を S とすると、
- (±は、凸四角形と凹四角形の場合を省略します)
より
-
を得る。また、余弦定理より、
-
であるから
-
を得る。4S2 についての式と辺々を足し合わせ、加法定理 cos(A + C) = cos A cos C − sin A sin C を用いると、
-
となる。倍角の公式 を用いて変形すると、
-
となる。この式は、半周長
-
を用いて
-
となり、ブレートシュナイダーの公式を得る。
円に内接する四角形については、対角の和の半分が 90°であることから、ブラーマグプタの公式
- S = √(T − p)(T − q)(T − r)(T − s)
が成り立つ。また、円に外接する四角形については、対辺の和が等しく、T = p + r = q + s であることから
-
が成り立つ。さらに外接円と内接円を持つ四角形、つまり双心四角形については、
- S = √pqrs
となる。また、上記の証明は p = 0 として三角形の面積を考えているとしても通用し、ヘロンの公式
- S = √T(T − q)(T − r)(T − s)
を得る。