ブラックヒルズ地質学研究所
ブラックヒルズ地質学研究所(ブラックヒルズちしつがくけんきゅうじょ、Black Hills Institute of Geological Research、BHI)は、サウスダコタ州ペニントン郡ヒルシティに位置する研究機関。恐竜の化石の発掘・研究・コレクションを業務とするほか、施設内で一般向けに展示も行っている[1][2]。また、世界各地での恐竜展への学術協力もしており、日本での企画展も例外ではない[1][3]。
業種 | 鉱物・化石標本の発掘・準備・収集・展示 |
---|---|
事業分野 | 地質学 |
前身 | ブラックヒルズ・ミネラル社 |
設立 | 1978年 |
創業者 |
ピーター・ラーソン ジム・ホナート |
本社 | ヒルシティ、、 |
主要人物 | ピーター・ラーソン |
製品 |
スー スタン レイモンド |
ウェブサイト | http://www.bhigr.com/ |
2021年時点で所長はピーター・ラーソン[4]。民間企業である。研究所に博物館を併設する。
活動圏はサウスダコタ州を拠点に、隣接するノースダコタ州、モンタナ州、ワイオミング州などの白亜紀またジュラ紀の地層を中心とする。
歴史
編集1946年にビル・ロバーツが設立したブラックヒルズ・ミネラル社を母体とする。その後1973年、当時学生であったピーター・ラーソンとジム・ホナートはミネラルショーに初参加し、ミネラルショーを参入する市場として認識する。自身の鉱物や化石標本の売却により資産を得て、さらなる地質・古生物標本の収集・展示を計画した彼らは、ブラックヒルズ・ミネラル社のオーナーとして、1974年のミネラルショーで初出品した。このビジネスを元に事業を展開し、1978年に会社を再編成してブラックヒルズ地質学研究所として法人化。1979年にヒルシティへ拠点を移し、公会堂や地域ホールとして利用されていた1938年建築の施設を本社とした[5]。
1973年からピーターの弟ニールと鉱物学者のロバート・ファーラーもビジネスに参加。ニールは1978年から、ロバートは1990年から正式に研究所の職員に就職した[5]。1978年にはサウスダコタ州の牧場所有者ルース・メイソンとコンタクトを取る。メイソンはエドモントサウルスのボーンベッドを発見しており、研究所は10年以上の歳月を費やして骨を収集し、20年後には約1万本の骨を収集してカタログ化した[5]。
1990年にはティラノサウルスの標本スーを発掘して保管、クリーニングを開始した。しかし化石の権利を巡って土地の所有者が異議を申し立て、1992年5月に連邦捜査局がスーを押収、権利関係は法廷闘争に発展した。結果として土地所有者の主張が認められてスーの骨格は所有者の手に渡り、オークションで売却され、フィールド自然史博物館が買い取った[5][6]。
また、研究所は1992年にはスタンを発掘・保管し、その後系列博物館であるヒルシティ博物館で展示した。レプリカの販売や他団体による研究を認めていたため、スタンを研究材料に多くの研究が行われた。しかしここで、2012年にビジネス上のトラブルで取締役を解任されたニールが、研究所の財産を売却しての自分の持ち株分35%の支払いを要求したことにより、研究所とニールの間に軋轢が生じる。2015年にニールは研究所を告訴し、裁判の結果、研究所はスタンの売却を決定。2020年に約33億円で落札された[6]。
標本
編集ブラックヒルズ研究所が発掘・所蔵した主な標本を列挙する。
出典
編集- ^ a b c Pat Butler (2013年4月9日). “Replica of rare triceratops skin goes on display in Hill City”. Rapid City Journal. 2021年5月27日閲覧。
- ^ 大竹菜々子 (2021年4月8日). “最も完全なトリケラトプスの化石を展示する「DinoScience 恐竜科学博 ~ララミディア大陸の恐竜物語~」”. トラベルWatch. インプレス. 2021年5月27日閲覧。
- ^ “ナショナル ジオグラフィック夏の2大イベント「地球と宇宙の環境科学展」「恐竜2009」”. 日経ナショナルジオグラフィック (2009年6月30日). 2021年5月27日閲覧。
- ^ “世界で最も完全で美しいトリケラトプスの全身骨格、日本上陸 ソニーの恐竜展で”. ITmedia (2021年4月8日). 2021年5月27日閲覧。
- ^ a b c d “Company Profile: Company History”. ブラックヒルズ地質学研究所. 2021年5月27日閲覧。
- ^ a b “33億円で落札のティラノ全身化石、今後の研究に懸念も”. 日経ナショナルジオグラフィック (2020年10月16日). 2021年5月27日閲覧。
- ^ “いよいよ今週末スタート!『ヨコハマ恐竜展2017』(9月3日まで)”. 横浜国際平和会議場 (2017年7月12日). 2021年5月27日閲覧。
- ^ “T. rex travelling to the Netherlands”. Business Wire. (2016年8月23日) 2021年5月27日閲覧。
- ^ Larson, Neal L.; Peter Larson; Kenneth Carpenter (2008). “One Hundred Years of Tyrannosaurus Rex: The Skeletons”. Tyrannosaurus Rex, the Tyrant King: 43–44.
- ^ “Tricaratops - Fossil Replicas”. ブラックヒルズ地質学研究所 (2007年). 2021年5月21日閲覧。
- ^ Phil R. Bell; Nicolás E. Campione; W. Scott Persons; Philip J. Currie; Peter L. Larson; Darren H. Tanke; Robert T. Bakker (2017). “Tyrannosauroid integument reveals conflicting patterns of gigantism and feather evolution”. BIOLOGY LETTERS 13 (6). doi:10.1098/rsbl.2017.0092 .