ブタクサ

キク科ブタクサ属の一年草

ブタクサ(豚草、学名Ambrosia artemisiifolia)は、キク科ブタクサ属の一年草[4]北米原産で、アフリカ以外の世界各地に帰化分布する。花粉症の主因としても知られる。和名英語の俗名 "hogweed"(豚の草)の直訳に由来する。中国名は、豚草(別名:豬草、瘤果菊、艾葉瘤果菊)[1]

ブタクサ
福島県会津地方、ブタクサ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: ブタクサ属 Ambrosia
: ブタクサ A. artemisiifolia
学名
Ambrosia artemisiifolia L. (1753)[1]
シノニム
和名
ブタクサ(豚草)
英名
Ragweed
ブタクサの葉

分布

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北アメリカ原産[4][5]

南アメリカヨーロッパアジアオーストラリアの広い範囲に外来種として移入分布している[6]。日本では、明治初期(1880年)に渡来した帰化植物として入り、昭和初期ごろに定着化[7]。現在では害草化して全国の道端や河原などに分布する[7]

特徴

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一年生の草本。雌雄同株風媒花。高さは30 - 120センチメートル (cm) [4]。ふつう、全体に軟毛がある[7]は下方では対生し、上方では互生する[7]。細く切れ込んだ2回羽状複葉が多いが、切れ込み方が浅いものもある[7]。葉の質はやわらかく、裂片の先はあまり尖らない[7]

開花時期は夏から秋(7 - 9月頃)[4]頭状花(頭花)[7]雄花は、約2 - 3ミリメートル (mm) の黄色い小花が複数集まった房が細長く連なり、その下に雌花が数個咲く。雄の頭花の総苞片は合着して皿形となり、その中に12 - 16個の筒状花を入れ、雄蕊が5個で離生する[7]。雌の頭花は1つの花からなり、雌蕊以外は退化し、花柱だけが総苞の外に伸び出す[7]

果実は総苞に包まれて偽果となり、長さ3 - 5 mm、中心に長いくちばし状の突起と、その周辺にこぶ状の突起がある[7]

同属のオオブタクサ (A. trifida) は草丈がブタクサより高く、300 cmにも達する[4]。また、葉は掌状で3 - 5裂の切れ込みがあり、葉の形がクワに似ていることから、クワモドキとも呼ばれる[4]

花粉症の原因として知られる[7]。日本国内ではスギヒノキの花粉症が問題視される以前、1960年代後半からアレルゲンとして注目されてきた[8]。秋の花粉症では代表的なアレルゲンであり、アメリカでは全人口の5 - 15%がブタクサ花粉症との統計がある。

外来生物法によって要注意外来生物に指定されている。

出典

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ambrosia artemisiifolia L. ブタクサ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月11日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ambrosia elatior L. ブタクサ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月11日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ambrosia artemisiifolia L. var. elatior (L.) Descourt. ブタクサ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月11日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 浅井元朗『身近な雑草の芽生えハンドブック』文一総合出版、2012年、21頁。 
  5. ^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 
  6. ^ ブタクサ 国立環境研究所 侵入生物DB
  7. ^ a b c d e f g h i j k 長田武正 1976, p. 81.
  8. ^ 猛威 黄色い悪草 終戦時に進駐し大繁殖 花粉で鼻炎の心配も『朝日新聞』昭和44年(1969年)11月9日朝刊、12版、15面

参考文献

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関連項目

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