フェイススケール
フェイススケール(英: Face scale)とは、現在の痛みを「にっこり笑った顔」から普通の顔、そして「しかめっ面」そして「泣き顔」までの様々な段階の顔を用意して、神経痛などの痛みを訴えている患者にどのぐらい痛むのかを示してもらうことで、その痛み度を客観的に知るために、ペインクリニック・麻酔科などで用いられる用具・用紙のことである。[1]
痛み(疼痛)の具合は客観的にはわからない。先進的な医療機関ならば電流知覚閾値検査装置(ニューロメーター)など痛みを数値化して測定する機械もあるが、まだまだ普及していない。そこで、どこでも容易に痛みの度合いを伝えることができる手段が、この方法である。患者にこれを問診票などで言葉で記入してもらっても、医師にはなかなか伝わりにくい。これを指で示してもらうなどすることで、医師はどのぐらい患者が苦痛に感じているのかを理解しやすくなる。また、定期的にこのチェックを行うことで、痛みが悪化しているのか、それとも改善しているのかを知る手がかりにもなる。
痛みの強さの評価法としては、フェイススケールの他に、直線状のヴィジュアルアナログスケール(Visual Analogue Scale:VAS)、0〜10までに数値で評価するニュメリカルレーティングスケール(Numerical Rating Scale:NRS)、言葉として表現するバーバルレーティングスケール(Verbal Rating Scale:VRS)が挙げられる[2][3]。これら痛みの強さの評価法のことを英語では総称してペインスケール(Pain scale)と呼ぶ。
電流知覚域検査装置の具体例として日本ではペインビジョンが挙げられる[4]。ただしこれによる痛み度の評価はいくらかの主観性を含んでいることにより限界がある[5]。
関連項目
編集脚注
編集- ^ がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン, pp. 32–33.
- ^ がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン, p. 32.
- ^ “痛みの評価法”. 日本ペインクリニック学会. 2016年1月13日閲覧。
- ^ 長谷川丈, et al.「ペインビジョンによる疼痛治療の評価」『日本ペインクリニック学会誌』第15巻第2号、2008年、144-149頁、doi:10.11321/jjspc.07-0020。
- ^ 戸田克広「線維筋痛症を含む chronic widespread pain および chronic regional pain 患者における痛み度を含む評価指標の相関--PainVision による痛み度の有用性と限界」『整形・災害外科』第54巻第6号、2011年、731-737頁、2016年1月13日閲覧。
参考文献
編集- 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編集)『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014年版』金原出版株式会社、2014年6月23日。ISBN 978-4307101653 。